DXの課題とは?DXの推進状況・成果別にみる課題を徹底解説
「DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進したいけど、うまくいかない」「どこに課題があるか他の企業やデータも参考に知りたい」とお悩みの方も多いと思います。
IPA独立行政法人情報処理推進機構が2024年に発表した『DX動向2024』の資料をもとに、日本におけるDXの現状や、DXの課題についてまとめています。
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DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは「デジタル技術を活用して、ビジネスやサービス、組織の在り方を根本から変えること」です。
より分かりやすく理解するためにも、簡単にお伝えすると以下のようなイメージです。
1. 市場のお客様が変化しているので
インターネットの普及により今までとは異なる形で情報が伝わるようになったり、新しい技術やビジネスモデルを持つ企業が次々と登場するようになった
2. 社内を変革しつつ
業務プロセスを見直したり、従業員が新しい仕組みに対して前向きに取り組むための文化を醸成する
3. さらに変化に対応するためにデータやデジタル技術を活用して
クラウド、ビッグデータ、SNS、AIなどの技術やデータを活用する
4. 新しいサービスやビジネスモデルを作るという変革を行って
5. 顧客に良いサービスだと認識して思ってもらい
6. ビジネスで生き残ろう
より詳しくDXの定義や背景について知りたい方は以下の記事で詳しくご紹介しているので、ぜひご覧ください。
日本のDX推進の取り組み状況と成果
日本では2018年に経済産業省がDXレポートを発行したことがきっかけで、DXという言葉が浸透し始めました。そこから数年が経過していますが、そもそも日本企業ではどのくらいの割合でDXに取り組んでいるのか?と疑問に思う人もいると思います。実際にどれくらいの企業が取り組みを行い、成果を出しているのでしょうか。
DXの取り組んでいる企業の割合は年々増加している
DXに取り組む企業は年々増加をしています。全社で取り組んでいるのか、部門ごとに取り組んでいるのかなど取り組む範囲に差はありますが、『DX動向2024』では
- 全社戦略に基づき、全社的にDXに取り組んでいる
- 全社戦略に基づき、一部の部門においてDXに取り組んでいる
- 部署ごとに個別でDXに取り組んでいる
と取り組む範囲に関係なく、上記の3回答をまとめると以下の表のように約73.7%の企業がDXに取り組んでいます。
2021年度 | 2022年度 | 2023年度 |
---|---|---|
55.8% | 69.3% | 73.7% |
出典:独立行政法人情報処理推進機構『DX動向2024』図表1-1
2021年度の時点では55.8%だったため、この2年間でDXがさらに企業の間に周知され、取り組む企業が増えていることがわかると思います。
また、上記の3つの回答の中でもこの2年間で「全社戦略に基づき、全社的にDXに取り組んでいる」と回答する企業が15.8ポイント増加しており、DXを全社的に進めている企業が増えてきていることがわかります。
2021年度 | 2022年度 | 2023年度 |
---|---|---|
21.7% | 26.9% | 37.5% |
出典:独立行政法人情報処理推進機構『DX動向2024』図表1-1
DXの成果が出ている企業の割合は年々増加している
さきほど、全社なのか部署ごとなのか取り組む範囲に関係なく、DXに取り組む企業の割合が増加していると解説しましたが、それらの企業は取り組んだ結果、成果が出ているのか?と疑問に感じる人もいるでしょう。
取り組みをした企業の中で成果が出ていると感じている企業の割合もここ2年で割合が増えています。
2021年度 | 2022年度 | 2023年度 |
---|---|---|
49.5% | 58.0% | 64.3% |
出典:独立行政法人情報処理推進機構『DX動向2024』図表1-8
2021年度では49.5%だったのが、2023年度では64.3%の割合の企業が「成果が出ている」と回答しており、取り組み状況が増加していると同様に成果が出ている企業も増加しています。
7つの取り組み別の成果
では、成果が出ている企業は具体的にどんな取り組みを実施していて、どの取り組みに対して成果を感じているのでしょうか。取り組み別の成果の状況についてまとめてみました。
取り組み項目 | 2023年度 |
---|---|
1. アナログ・物理データのデジタル化 | 78.00% |
2. 業務の効率化による生産性の向上 | 76.00% |
3. 既存製品・サービスの高付加価値化 | 37.70% |
4. 新規製品・サービスの創出 | 25.00% |
5. 組織横断/全体の業務・製造プロセスのデジタル化 | 52.90% |
6. 顧客起点の価値創造によるビジネスモデルの根本的変革 | 20.70% |
7. 企業文化や組織マインドの根本的な変革 | 33.20% |
出典:独立行政法人情報処理推進機構『DX動向2024』図表1-13
上記はDXに取り組み「成果が出ている」と回答した企業を対象としており、「すでに十分な成果が出ている」「すでにある程度の成果が出ている」と回答した企業の各取り組み項目を100%としたときの割合となっています。
取り組み項目別の成果をみると、DXの初期段階に行われる「1. アナログ・物理データのデジタル化」や「2. 業務の効率化による生産性の向上」では成果が出ていると回答している企業は約7割を超えています。
一方で「4. 新規製品・サービスの創出」「6. 顧客起点の価値創造によるビジネスモデルの根本的変革」のようなデジタル技術を活用するだけではなく、「変革を起こす」という取り組みの割合に関しては、まだまだ成果を実感している企業は少ないという結果になっています。
日本のDX推進における課題
まだまだ変革を起こすところまで成果を感じている企業が少ない中で、そもそもDXに取り組むときどんな課題があるのでしょうか。ここでは
- そもそもDXに取り組んでいない企業が直面している課題
- DXに取り組んでいるが成果が出ていない企業が直面している課題
とそれぞれの状況に合わせた課題について解説していきます。
DXに取り組んでいない企業が直面している課題
DXに取り組んでいない企業の、今後のDXの取り組み状況については以下のような結果になりました。
2022年度 | 2023年度 | |
---|---|---|
DXに取り組む予定がない | 38.0% | 63.0% |
DXに取り組むか、わからない | 24.3% | 48.1% |
出典:独立行政法人情報処理推進機構『DX動向2024』図表1-4
「DXに取り組む予定がない」「DXに取り組むか、わからない」ともに割合が増加しています。取り組まない理由については従業員数規模別に回答の違いがあるが、
- DXの戦略立案や統括を行う人材が不足している
- DXを現場で推進、実行する人材が不足している
- DXに取り組むための知識や情報が不足している
- DXに取り組むためのスキルが不足している
という理由はどの従業員数規模別でも上位を占めています。
DXの戦略立案や推進する人材がいないこと、また自分たちでDXを推進しようにも、知識や情報、スキルが不足していることが、DXに取り組めない背景になっていることがわかります。
DXに取り組んでいるが、成果が出ていない企業の4つの課題
一方でDXに取り組んでいるが「成果が出ていない」と回答している企業はどのような状況なのでしょうか。DXの成果が出ている企業と出ていない企業の実態を比較して解説しています。
1. IT分野に見識のある役員がいない
DXで成果が出ていない企業は、成果が出ている企業に比べてIT分野に見識のある役員がいない傾向がみられます。
成果 | IT分野に見識のある役員がいない割合 |
---|---|
出ている | 16.4% |
出ていない | 35.5% |
出典:独立行政法人情報処理推進機構『DX動向2024』図表1-11
DXを推進するためにはデータとデジタル技術を活用する必要があるため、そもそもIT分野への見識は欠かせません。またDXは経営層が自ら変革を主導して全社で取り組むことが必要があるため、IT分野に見識があるかどうかは重要な要素の一つといえるでしょう。
2. データを上手く活用できていない
DXで成果が出ていない企業は、成果が出ている企業に比べて、データを上手く活用できていないという課題があります。
成果 | データを活用している割合 |
---|---|
出ている | 73.1% |
出ていない | 37.8% |
出典:独立行政法人情報処理推進機構『DX動向2024』図表2-2
上記は全社で活用している場合と事業部門・部署ごとに活用している場合を含んだ割合になりますが、大きくデータ活用に差が開いていることがわかります。
データを上手く活用できない要因として、データを活用する基盤がそもそも整っていない、データを活用する組織文化がないと考えられます。そのため、ただデータを蓄積するだけではなく、どのようにしてそのデータを活用していくのかを念頭にDXを推進していくことが望ましいです。
3. DXを推進する人材の育成予算が確保できない
DXで成果が出ていない企業は、成果が出ている企業に比べて、育成予算を確保するのが難しいという課題があります。育成予算の増減に関する指標では、成果が出ている企業は育成予算を増やす割合が高い一方で、成果が出ていない企業は育成予算を増やしているものの、成果が出ている企業と比べると割合が低い結果になっています。
成果 | DXを推進する人材の育成予算を増やした割合 |
---|---|
出ている | 36.1% |
出ていない | 27.0% |
出典:独立行政法人情報処理推進機構『DX動向2024』図表3-9
4. DXを推進する人材像の設定があいまいになっている
DXで成果が出ていない企業は、成果が出ている企業に比べて、DXを推進する人材像を設定していない割合が高くなっています。
成果 | DX を推進する人材像の設定していない割合 |
---|---|
出ている | 33.8% |
出ていない | 54.1% |
出典:独立行政法人情報処理推進機構『DX動向2024』図表3-11
これはさきほどご紹介した「DXを推進する人材の育成予算が確保できない」にも関係しますが、そもそも人物像を設定しないと、なかなか育成予算を確保するのも難しいといえるでしょう。
予算を確保するためにも、まずはDXを推進する人物像を明らかにするようにしましょう。どのように人物像を設定すればいいか分からない方は、独立行政法人情報処理推進機構が発信している以下の記事をぜひご覧ください。
参考:独立行政法人情報処理推進機構『DX推進スキル標準(DSS-P)概要 | デジタル人材の育成』
まとめ|DX推進の課題は「人材」「予算」「データ活用」
IPA独立行政法人情報処理推進機構が2024年に発表した『DX動向2024』を読み解くと、まだDXに取り組んでいない企業は
- DXの戦略立案や統括を行う人材が不足している
- DXを現場で推進、実行する人材が不足している
とそもそもDXの戦略を立て、推進する人材が不足しているため、DXに取り組めていない、または取り組む予定がないという状況に直面しています。
またDXを推進しているが成果が出ていない企業は
- IT分野に見識のある役員がいない
- データを上手く活用できていない
- DXを推進する人材の育成予算が確保できない
- DXを推進する人材像の設定があいまいになっている
と人材の側面とともに、データ活用・予算の確保が課題になっています。自社がDXに取り組んでいる場合、そもそもどこが課題になっているか本記事の情報が少しでも参考になればと思います。
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