DXの進め方を7つのステップで解説|3つの気をつけるポイントも紹介
「DXを進めたいけど、どのようにして進めればいいか分からない」「今DXを進めているけど、この進め方でいいのか」と迷っている方も多いと思います。
デジタル技術の活用が急務となっている今、DX(デジタルトランスフォーメーション)の進め方を正しく理解することが、企業の未来を左右します。
本記事では、DXの基礎知識から実践的な手順、成功するためのポイントを分かりやすく解説しています。自社の現状を見極めながら、具体的な取り組み方法を知り、今後のDXの進め方の参考にしてください。
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DX(デジタルトランスフォーメーション)とは
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは「データとデジタル技術を活用して、会社を変革し競争上の優位性を確立すること(ビジネスで生き残ること)」の取り組みを意味しています。
DXという言葉を最初に提唱したのは当時スウェーデンのウメオ大学の教授であったエリックストルターマン氏です。エリックストルターマン氏の「Information Technology and the Good Life」という論文の中で表現されていました。そこから日本では2018年に経済産業省がDXレポートを発行したことがきっかけで、DXという言葉が浸透し始めました。
DXの定義について詳しく知りたい方は以下の記事で詳しく解説していますので、気になる方はぜひご覧ください。
なぜDXを進める必要があるのか?3つの背景
1. デジタルによる変化が起きている
今までのやり方にこだわりすぎてしまうと、デジタルの活用を前提として新しい企業が市場に参入した結果、既存企業が市場シェアを奪われてしまうという事例が発生しています。この現象をデジタル・ディスラプション(デジタルによる破壊)と呼び、昨今この動きが加速しています。具体的にどのような現象なのか、以下の事例もご確認ください。
■日本直販(総通)
- テレビショッピングの草分け、日本直販を運営する総通は2012年11月、民事再生法の適用を大阪地裁に申請
- 倒産の原因は、10年以上にわたる粉飾決算。インターネット通販に押されて業績が悪化していた
- インターネット通販は、デジタルデータを用いたDX(課題の発見、課題を数値化・指標化して「見える化」、「短サイクルの効果検証」を繰り返して対策を絞る、更なる改善のため業務プロセスを幅広く見直し「全体最適化」を図る)が可能であり、テレビショッピングに競争力で勝ることが要因
■AKIRA
- 子供服に特化したリサイクルショップ「ECO&KIDS AKIRA」の店舗名で事業を展開、最盛期には全国で74店舗を展開
- 2018年10月に破産
- 急速に台頭したフリマアプリに商材と顧客を両方とも奪われて経営が悪化した
- フリマアプリの代表であるメルカリは、スマホ完結型サービスを構築して「AI出品機能」や「写真検索機能」等のCX向上を行うというDX(既存ビジネスと異なる付加価値提供)によって急激に成長
出典:総務省『デジタル・トランスフォーメーションによる経済へのインパクトに関する調査研究の請負』p.7
2. 労働力不足などの社会課題が複雑化・深刻化している
近年、少子高齢化による労働力不足が問題になっています。その他にも環境問題など、社会課題はどんどん複雑化・深刻化していっています。これらの課題を乗り越えながら企業が成長を続けるためには、デジタル技術を活用しながら、生産性を高めたり、イノベーションを起こす必要があります。
特に少子高齢化に関しては2065年に「約2.6人に1人が65歳以上、約3.9人に1人が75歳以上」になることが統計上見込まれています。
出典:内閣府『高齢化の現状と将来像|令和2年版高齢社会白書(全体版)』
3. 消費者ニーズの変化・多様化している
スマートフォンが普及し、私たちはどこからでも自分がほしい情報をオンラインで得られるようになりました。今まで消費者はサービスに関しての情報を集めるためには、そのサービスに詳しい人に直接話を聞くことしかできませんでした。
ただ得られる情報が増えたことで、より多くの情報をもとに、より細分化されたニーズを持つようになり、また多様な行動を取るようになっています。
DXを進めるために抑えたいデジタル活用4つのフェーズ
DXをいきなり進めようとしても、何から手をつければいいのかと迷ってしまう方もいらっしゃると思います。DXとは「データとデジタル技術を活用して、会社を変革し競争上の優位性を確立すること(ビジネスで生き残ること)」を指しているため、データとデジタル技術の活用を前提としています。
ここではデジタル活用の段階を4つのフェーズにわけて解説します。自分の企業が今どこのフェーズにいるのか確認しましょう。
1. デジタル化に全く着手ができていない
このフェーズではまだ紙や電話、勤怠管理を出勤簿に手作業で入力するなど、アナログ業務が中心になっています。手作業のもの業務が中心でデジタル技術が活用されておらず、業務の効率化ができていないフェーズとなっています。
その結果、顧客とのコミュニケーションや業務プロセス上で、人的ミスが発生しやすくなっています。このフェーズに該当する場合は、まず現状のアナログ業務をデジタル化する必要があります。
2. アナログ業務のデジタル化(デジタイゼーション)
このフェーズではアナログ業務のデジタル化が進み始めており、デジタル技術による業務の標準化や効率化を目指しているフェーズです。
デジタル技術を活用することで、少しずつ業務負担が軽減されています。またデータが蓄積されることでデータの検索性が上がったり、集計効率のスピードが早くなったりと、今までかかっていた作業時間が短縮され、従業員がより付加価値の高い業務に集中できるようになります。
3. データ活用による業務改善(デジタライゼーション)
このフェーズでは、デジタルツールやデータを活用して、さらに効率的な業務プロセスを実現しようとしているフェーズです。
在庫管理システムを導入することで在庫状況の把握だけではなく発注予測を行い、無駄な在庫の削減や欠品リスクを低減させる。顧客管理システムを営業チームで導入することで顧客のニーズを把握しやすくなり、提案の精度が上がるなど、ただデジタル化をするだけではなく、デジタルを活用してより良くしていくフェーズになります。
4. ビジネスモデルや文化など会社の変革(DX)
最終段階では、デジタル化によってビジネスモデルそのものが変革されます。
例えば蓄積されたデータをもとに、ユーザーの新たな課題を発見し、課題解決のための新しいサービスを開発するなど、単なる業務改善を超えた状態を指しています。
DXを進めるための7つのステップ
では具体的にどのようにDXを進めていくのかと気になる方も多いと思います。ここではDXを進めるための具体的なステップを7つにわけてご紹介します。
1. 経営ビジョンの策定
DX(デジタルトランスフォーメーション)の成功には、まず経営層が企業の将来像・自社の存在意義を明確にすることが重要です。
例えば、「2030年までに特定の地域で顧客と従業員に選ばれる会社を目指す」のようなイメージです。ここではまだ具体的な行動計画を立てる段階ではなく、企業全体の方向性や目標を明確化することが重要になります。
2. DX戦略の策定
経営ビジョンが確立したら、そのビジョンを実現するためのDX戦略を策定していきます。さきほど「2030年までに特定の地域で顧客と従業員に選ばれる会社を目指す」を例に出しましたが、これを実現するために、何をしていくべきかをより具体化していきます。
例えば、まずは従業員に選ばれる会社にするために「特定の地域で一番働きやすい環境を作る」「従業員満足度の調査の特定の数字を何%上げる」「残業をゼロにする」などが挙げられます。
3. 現状の把握、課題の洗い出しと特定
DX戦略を進めていく上で、現状を分析し、どの部分がDXの課題となっているかを特定していくことが重要です。この段階では、データ分析や業務フローの見直しを通じて課題を明らかにしていく必要があります。
例えば、「各部門で活用しているデータベースが統一されていないため、情報の重複や漏れが発生していることから、業務効率化が進んでいない」のようなイメージです。
DX戦略は未来志向であるのに対して、このステップでは現在の問題点を深ぼっていくことに重点をおきます。
4. ロードマップの策定
課題を特定した後は、その課題を解決するための具体的なロードマップを策定していきます。ここでは実現可能な計画を策定していくことが重要になります。
例えば先ほど例であげた「各部門で活用しているデータベースが統一されていないため、情報の重複や漏れが発生していることから、業務効率化が進んでいない」を解決するために、別のツールを導入するのか、一部門ずつ課題をいつまでに解決していくのかなど、具体的な手順を計画していきます。
5. 実現に向けた社内体制の構築
計画を実現するため、社内の協力は必要不可欠です。ここでロードマップのみを策定して、社内体制が構築できず、結局DXが進まないということがよく起きます。しっかりとDXを進めることができるように、社内体制を構築しましょう。
さきほどの例では「部門を横断した課題」があるため、各部門ごとに業務内容を深く理解している人材を1名ずつアサインする、DXに関するデータ活用を始めたとしたITリテラシーが高い人材を配置するなど、適切な人材を考え社内体制を構築していくようにしましょう。
6. DXの実行
策定したロードマップと体制のもと、実際に計画を実行に移していきます。この段階ではデジタルツールの導入やそれに伴った業務プロセスの改善、データの活用をしていきます。
例えば、AIを活用したカスタマーサポートツールを導入し、問い合わせ対応の時間を50%削減、分析ダッシュボードを展開し、営業部門がリアルタイムで顧客のニーズを把握できるようにするなど、実際の業務やシステムの運用を開始していきます。
7. DXの実行を評価し改善を繰り返す
DXは「会社を変革し競争上の優位性を確立すること」を目的としているため、短期的ではなく長期的な視点・視座が必要です。DXを進めてすぐに成果が出るとは限らないため、実行したことを評価し、また評価だけにとどまらず成果を出すために次はどうしていくべきかと改善を繰り返して大きな成果が出るようにしていきましょう。
例えばさきほどのカスタマーサポートツールの導入で、分析ダッシュボードの展開までは実行でき、それ自体は成果としても、それを営業部門が上手く活用できていないなどの問題が発生します。
ダッシュボードの展開だけで満足せず、どのようにすれば営業部門が活用できるかを考えたり、営業部門の人とすり合わせを行ったりして、改善を繰り返していくようにしましょう。
DXを進めるときに気をつけたい3つのポイント
DXを進めるうえでは、以下の3つのポイントに気をつけて進めるようにしましょう。
1. デジタルツールの導入を目的にしない
DX(デジタルトランスフォーメーション)を進めるうえで、最も気をつけたいことは「デジタルツールの導入を目的としてしまう」ことです。
デジタルツールを導入したことで、どのように業務プロセスが改善されたのかなどの効果測定をしない、そもそもデジタルツールの導入を検討しているタイミングでどの業務プロセスが課題になっているのかが明確になっていないときは、「デジタルツールの導入が目的」となってしまっている可能性があるので十分に注意しましょう。
2. 経営陣がDXにコミットしていない
DXには企業の変化が伴います。今までやっていた業務を変更することもあり、社内から反対意見や現状維持を求める声があがる、デジタルツールを導入する際や外部人材の活用など予算を確保する必要があるなど、会社にとってインパクトが大きい取り組みになるため、一従業員のみでDXを進めてしまうと、頓挫してしまう可能性が高くなります。
DXが将来的に企業を存続させるため・価値を高めるための重要な取り組みであることを全従業員に理解してもらうためにも、経営陣が主体的にコミットできるような環境を意識しましょう。
3. 壮大に描きすぎて何も始まらない
1つ目の気をつけるポイントとして「デジタルツールの導入を目的としない」をお伝えしましたが、逆に壮大にDX戦略を考えすぎて、結局何も実行していないケースもあります。
また目標が抽象的すぎたり、関係者が計画のスケールに圧倒されたりすると、プロジェクトが停滞する可能性があります。まずは前に進めること、そして前に進んだ結果得られた情報から継続的に改善をしていくことを意識するようにしましょう。
まとめ|自社のフェーズを理解して、進め方を検討しよう
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは「データとデジタル技術を活用して、会社を変革し競争上の優位性を確立すること(ビジネスで生き残ること)」を指しており、長期的な取り組みが必要になってきます。
DXはデジタル技術を活用する前提となっており、デジタル活用には4つのフェーズがあります。
- デジタル化に全く着手ができていない
- アナログ業務のデジタル化(デジタイゼーション)
- データ活用による業務改善(デジタライゼーション)
- ビジネスモデルや文化など会社の変革(DX)
またDXを進めていくためには以下の7つのステップを意識しましょう。
- 経営ビジョンの策定
- DX戦略の策定
- 現状の把握、課題の洗い出しと特定
- ロードマップの策定
- 実現に向けた社内体制の構築
- DXの実行
- DXの実行を評価し改善を繰り返す
自社のフェーズを理解して、いま自社はどのステップに取り組んでいるのかを理解し、進め方を検討していきましょう。
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