DX

DX人材とは?求められるスキル・マインドを徹底解説

DX人材とは

DX(デジタルトランスフォーメーション)を成功させるためには、DXを推進する人材、いわゆる「DX人材」の存在が不可欠です。

DX人材はただデータ活用やデジタル技術に関する知識を持っている人材ではなく、業務プロセスの変革、データ活用スキルを活かした戦略的意思決定や、テクノロジースキルなど様々なスキルやマインドが求められる人材です。

本記事ではそんなDX人材に必要なスキルやマインドを整理し、ご紹介します。

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DX人材とは

DX(デジタルトランスフォーメーション)人材とはDXの目的である「データとデジタル技術を活用して、会社を変革し競争上の優位性を確立すること(ビジネスで生き残ること)」を推進する人材のことを指します。

具体的には生成AIやデータ分析、クラウド活用などデジタル技術に精通しているだけではなく、業務プロセスの最適化や新しいサービスの構築といったビジネス全体を見渡せる視点も求められます。

なぜDX人材が必要なのか

DXに取り組んでいない企業、取り組んでいるが成果が出ていない企業の大きな要因の一つとしてDXを推進する人材が不足しているという課題が挙げられ、近年このDX人材の獲得・育成の必要性が高まっています。

DX推進における課題の詳細については、以下の記事で詳しく解説していますので、気になる方はぜひご覧ください。

参考記事:DXの課題とは?DXの推進状況・成果別にみる課題を徹底解説

このように日本企業におけるDX推進の重要性は年々高まっており、経済産業省は個人の学習や企業の人材確保・育成の方針になる「デジタルスキル標準」を策定しています。

参考:経済産業省『デジタルスキル標準 ver.1.2<改定後版>』p.83

DX人材に共通して求められる5つのスキル

DXは会社の変革を前提としているため、DXの推進をする人材には多くのスキルが求められます。経済産業省はDX推進を担う人材に必要なスキルを「共通スキルリスト」として求めるスキルを以下の5つに整理しています。

以下で紹介しているスキルはDX人材が必ず全て保有する必要があるわけではなく、あくまでもスキルを網羅的に把握するための目的として紹介しています。実際は一部のスキルのみ高い実践力と専門性を持っている、一方で別のスキルは説明可能なレベルで保有しているなど獲得できているスキルの中でも濃淡があります。

1. ビジネス変革スキル

ビジネス変革スキルとは、企業が市場環境や技術革新に柔軟に対応し、新たな価値を創出するために必要な知識と能力を指しています。このスキルは、単なる業務の効率化にとどまらず、ビジネスモデルや業務プロセスを再構築して、競争優位性や持続的な成長を実現することを目的としています。

具体的には、社会課題や市場動向を正確に把握するビジネス調査のスキルや、成功要因や成長課題をもとに事業構造を設計するビジネスモデル設計のスキルが重要となります。また、製品やサービスの提供に必要な活動を可視化し、デジタル化の方向性を明確にする、さらに、市場ニーズに合致した価値を提供し、顧客に訴求していくマーケティングスキルや、自社ブランドのロイヤリティを高めるブランディングスキルも重要な要素となっています。

2. データ活用スキル

データ活用スキルとは、データと生成AIの技術を活用して、課題解決や成長のためにデータを戦略的に活用する能力を指しています。このスキルは単に「データを活用する」にとどまらず、データの取得、分析、可視化、さらには業務設計まで、多岐にわたるプロセスを含んでいます。

データを理解して、データの収集や統計的分析手法を活用して、ビジネス課題を特定することが重視されており、企業がデータドリブンな意思決定を行うためにも重要なスキルとなっています。

3. テクノロジースキル

テクノロジースキルとは、急速に進化するデジタル技術を活用し、ソフトウェアやサービスを設計・開発・運用するために必要な知識と能力を指しています。

ただテクノロジーに長けているだけではなく、チームの生産性向上を目的とした、アジャイル開発手法の導入など、開発プロセスの改善を図るスキルも重要になります。さらに、フロントエンドやバックエンド開発、クラウドインフラの活用など、システム全体を設計し運用する能力も含まれています。

4. セキュリティスキル

セキュリティスキルとは、情報資産やシステム、ネットワークを保護し、リスクや脅威に対応するために必要な知識と能力を指しています。サイバー攻撃の予防や攻撃されたときへの迅速な対応、事業継続の確保など、多くの取り組みを含んでおり、企業が安全で信頼性の高い運営を行うために重要な要素となっています。

具体的には企業全体のセキュリティ体制を構築・運営し、情報やサイバー空間、IoT環境などの多様な領域においてセキュリティリスクを管理するセキュリティマネジメントスキルや、プライバシー情報の保護に求められる要件

の理解とその実践に関するプライバシー保護スキルなどが含まれています。

リスクを未然に防ぎ、発生した問題に迅速かつ適切に対応することで、組織や顧客の信頼を確保し、安全な事業運営を行うことができるため、他のスキルとは違い、守りの要素が強いですが、重要な要素となっています。

5. パーソナルスキル

パーソナルスキルとは、個人が自身の能力を最大限に発揮し、チームや組織において効果的に貢献するための基盤となるスキルを指しています。人間関係を円滑にするヒューマンスキルや、問題解決や目標達成に必要なコンセプチュアルスキルの両面を含んでいます。

ヒューマンスキルでは、まず「リーダーシップ」が求められます。これは、チームや関係者との信頼関係を構築し、共通の目標に向けてメンバーを巻き込み、タスクを遂行する能力を指しています。一方、コンセプチュアルスキルには、将来を見据えたゴール設定や、既存の枠にとらわれない創造的な問題解決が含まれます。パーソナルスキルは、個人の成長のみならず、組織全体を成功に導くための重要な要素です。

DX人材の5つのタイプ

DXを進めるためにも必要とされる人材を5つの型にわけてご紹介します。

1. ビジネスアーキテクト

ビジネスアーキテクト人材は企業の新規事業開発、既存事業の業務効率化や改善を目的として、ビジネスや業務の変革を実現するためのプロセス全体を設計・推進し、目標達成をリードする人材を指しています。社内の関係者間の協働関係を構築しつつ、新たな目標達成に向けた仕組みやアプローチを設計する中心的な役割を担います。

単にデータやデジタル技術に関する専門知識を持つ人材にとどまらず、目的の達成に向けた一貫性のあるプロセス推進を主導するスキルが求められます。

特徴として挙げられるのは、また、ビジネスモデルの構築やバリュープロポジションの明確化、業務フローや収益モデルの設計・実現といった多くの取り組みを俯瞰し、適切な判断を下す役割も担います。

さきほどご紹介した「DX人材に共通して求められる5つのスキル」の中でも特に「ビジネス変革」のスキルが求められます。

2. デザイナー

デザイナー人材はビジネスの視点だけでなく顧客やユーザーの視点を総合的に捉え、製品やサービスの方向性や開発プロセスを策定し、それらに基づいた価値のあるデザインを担う人材を指しています。

DXを進める上での設計・構想・実装・仮説検証・導入・効果検証といった全てのプロセスに関与して、ビジネス価値の最大化を目指します。デザイナーは、顧客やユーザーに寄り添い、新たな価値を創造し、課題解決を促進する役割を果たします。単なるデザインの実現ではなく、プロジェクトの特性に応じた柔軟なアプローチや、関係者間の協力を円滑にするための調整力も含まれています。

さきほどご紹介した「DX人材に共通して求められる5つのスキル」の中でもビジネスアーキテクトと同様に特に「ビジネス変革」のスキルが求められます。

3. データサイエンティスト

データサイエンティスト人材は業務の変革や新規ビジネスの実現に向けて、データの収集、分析、活用を担う仕組みの設計・実装・運用を行う人材を指しています。近年、社会全体のIT化やデジタル化の急速な発展に伴い、今までよりも企業が取り扱うデータ量が増加しているため、この膨大なデータをいかに整理し、効果的に活用するかがDXを成功させるためにも重要な要素になってきています。

データを活用しながらビジネス戦略の検討からデータの収集方法、仕組みの設計、環境の構築や運用まで幅広い業務を担当します。また単に活用の仕組みを現場に導入するだけでにとどまらず、現場できちんと活用ができるように、活用方法の教育や説明など、現場の支援までを実行するスキルが問われます。またデータ活用に関する専門性を持つだけでなく、「ビジネスアーキテクト」や「デザイナー」といった他分野の人材とも連携し、プロジェクトを総合的に進める能力が求められます。

さきほどご紹介した「DX人材に共通して求められる5つのスキル」の中でも特に「データ活用」のスキルが求められます。

4. ソフトウェアエンジニア

ソフトウェアエンジニア人材はデジタル技術を活用したサービスを提供するためのシステムやソフトウェアの設計、実装、運用を担う人材を指しており、DXの成功を技術力によって支える役割となっています。

主にサービスの構想段階や企画から、形あるものへと具体化していくスキルが必要になります。「エンジニア」や「ITエンジニア」ではなく「ソフトウェアエンジニア」という名前がついている理由は、デジタル化の進展に伴い、多様なハードウェアやデバイスを扱う重要性を含みつつ、特に差別化できる成果を生み出す役割を明確にするためです。

さらに今までとは違い、新しいサービスが次々と登場するようになりましたが、それらの新しい技術や時代の変化に対応しながらも、これまでの基盤を活かして継続的に価値を提供していく必要があります。

さきほどご紹介した「DX人材に共通して求められる5つのスキル」の中でも特に「テクノロジー」のスキルが求められます。

5. サイバーセキュリティ

サイバーセキュリティ人材は業務プロセスを支えるデジタル環境におけるサイバーセキュリティリスクの影響を抑制するための対策を担う人材を指しています。デジタル技術を活用したサービスの展開においてセキュリティを確保することが必須であるという前提のもと、インシデントの未然防止や被害の抑制を通じて、デジタル環境の安全性を高める役割を果たします。

DXの成功のためにも、従来のIT部門以外の事業部門でもセキュリティ対策の責任を負う機会が増加していることに由来しています。情報資産の保護だけでなく、OT(Operational Technology)やIoT(Internet of Things)を含むデジタル基盤全体のセキュリティ対策を統合的に取り扱う必要があります。

さきほどご紹介した「DX人材に共通して求められる5つのスキル」の中でも特に「セキュリティ」のスキルが求められます。

DX人材に必要な7つのマインド・スタンス

ただスキルが高いだけではDXを進めていくことはできません。DXを進めていくためにも基礎となる7つのマインド・スタンスを紹介します。

1. 変化への対応

DXは変革を前提として取り組みになるため、業務プロセスや働き方が大幅に変わることがあります。そのため、それらの変化を受け入れていく必要があります。また受け入れるためにも、能動的に新しい知識を得るための行動を起こしていく必要があります。

2. コラボレーション

DXを成功に導くための、DX人材のみならず社内外の多くの人と協力していくことが必要不可欠になります。様々な専門性を持っている人同士で知識を共有しあい、DXを実現するための方法を考える必要があるため、積極的に協働することが求められます。

3. 顧客・ユーザーへの共感

新しいサービスを生み出したり、変革を行うためにも顧客やユーザーの困りごとやニーズを深く理解していく必要があります。顕在的に抱えているニーズだけではなく、ユーザー自身が気づいていない、言語化されていない潜在的な課題も含めて捉えていく必要があります。

4. 常識にとらわれない発想

従来のやり方に固執してしまうと、顧客やユーザーの課題を解決できない可能性があります。DXを成功させるためにも今までの概念や価値観にとらわれず考え、よりよい解決策や進め方がないかを検討していく必要があります。過去の経験だけで判断するのではなく、つねに自問自答する姿勢を持つことが重要になります。

5. 反復的なアプローチ

DXを進めていくうえで、すべての取り組みが成功するとは限りません。そのため新しい取り組みや改善を失敗が許容できる範囲の小さいサイズで実行し、フィードバックを得ながら反復的に改善活動をしていくことが必要になります。

特に従来のやり方にとらわれず、新しい取り組みを実施したときは計画どおりにいかないことや、顧客やユーザーが求めているものにならなかった可能性もあるため、都度修正していく、都度修正をする前提のマインドを持つことが重要になります。

6. 柔軟な意思決定

「常識にとらわれない発想」と近しいマインドですが、DXを進めていくうえで、前例となる事例がない取り組みをしていく瞬間も発生してきます。そのため「前例がなく、成功するかどうか分からないから実施しない」と判断してしまうと、DX自体が進まなくなってしまうため、臨機応変に意思決定をしていくマインドが重要になります。

7. 事実に基づく判断

さきほど「柔軟な意思決定をしていく」マインドが必要とお話しましたが、意思決定を勘や経験だけで何でも柔軟に意思決定するのは要注意です。自身の勘や経験のみに頼るのではなく、データを活用して客観的な事実を把握しながら判断していくことも重要になります。

まとめ|DX人材はデジタルに関する知識だけではない

DX人材は、ただデータ活用やデジタル技術に関する知識を持っている人材ではなく、業務プロセスの変革、データ活用スキルを活かした戦略的意思決定や、テクノロジースキルなど様々なスキルが求められる人材です。

またスキルだけではなくDXを成功に導くための、社内外の多くの人と協力していくことが必要不可欠になるため、積極的に協働するマインドなども重要な要素となっています。

これらのスキルやマインドはDXを推進していくためにもとても大切な要素です。本記事で紹介した内容をもとにまずは足りない人材やスキルを洗い出し、人材要件を明確にするなど、DXをひとつでも前に進めるための参考になればと思います。

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この記事を書いた人
スマート書記ブログチーム

エピックベース株式会社が運営する「スマート書記」のブログ編集部です。議事録や文字起こし、生成AIやAIエージェントに関するノウハウなど、企業が業務効率化を実現し、さらにはDXを推進するための情報をお届けします。

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