DX

DXの成功事例6選を紹介!成功の共通点についても分かりやすく解説

DXの事例を紹介

「DXを進めたいけど、どのように取り組めばいいか分からない」「参考になるような事例を確認しながら自社の取り組みに活かしていきたい」とお悩みの方も多いと思います。

2018年に経済産業省がDXレポートを発行したことがきっかけで、DXという言葉は日本に浸透し、様々な取り組みが実施されるようになりました。ただまだまだ日本におけるDXは課題が多いというのも実情です。

そこで本記事ではDXを進めるためにも参考となるDXの事例をご紹介します。同業種や同業界の事例を確認しながら、今後のDXを進めるための参考にしてください。

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DXとは

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは「データとデジタル技術を活用して、会社を変革し競争上の優位性を確立する(ビジネスで生き残ること)」の取り組みを意味しています。

経済産業省が企業のDXに関する取り組みを促すために策定した「デジタルガバナンス・コード」では以下のようにDXが定義されています。

DXの定義は次のとおりとする。「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」

出典:経済産業省『デジタルガバナンス・コード3.0』p.2

DXの定義についてもっと詳しく知りたい方は、以下の記事で詳しく解説していますので、気になる方はぜひご覧ください。

参考記事:DX(デジタルトランスフォーメーション)の定義とは?抑えておきたい3つの用語も解説

DXとIT化の違いとは

まず、IT化は、既存業務を効率化・自動化することを目的としており、たとえば「紙の書類をデジタル化する」など、部分的な改善が中心です。一方で、DXは単なる業務効率化にとどまらず、企業のビジネスモデルや価値提供プロセスそのものを革新し、競争優位性を生み出す取り組みとされています。

次に、ビジネスモデルへの影響度が異なります。IT化では既存の業務プロセスが改善されるものの、ビジネスモデル自体は変わりません。しかし、DXは新たな製品・サービスを生み出したり、既存のビジネスモデルを大きく変革したりするため、企業のあり方そのものを再構築する力を持ちます。

さらに、経営戦略との結びつきも重要なポイントです。IT化は現場レベルでの効率化が中心で、経営戦略との直接的な関係性は薄いですが、DXは経営陣のリーダーシップが求められる全社的な取り組みです。

要するに、IT化は「現場の効率化」、DXは「企業全体の変革」を目的とする点で根本的に異なると説明されています。

参考記事:DX(デジタルトランスフォーメーション)とIT化の違いとは?3つのポイントで解説

DXに取り組む企業が直面する4つの課題

DXの成功事例をご紹介する前に、そもそもDXに取り組んでいる企業はどんな課題に直面するのでしょうか。ここではDXに取り組んでいるが、成果が出ていない企業に焦点を当て、成果が出ていない企業の実態を解説します。

より詳しく成果が出ている企業と出ていない企業でどれくらい数値的な差があるのかなど、より詳しく知りたい方は以下の記事で解説していますので、ぜひご覧ください。

参考記事:DXの課題とは?DXの推進状況・成果別にみる課題を徹底解説

1. DX・ITに知見のある人材がいない

ただデジタル技術を導入するだけでは、DXを成功させることはできません。DXを進める上ではDXによって何を実現したいのか、具体的にどこから着手するのかなどのDXの戦略を策定する人材、実行する人材が必要不可欠ですが、DXに取り組んでいるが成果が出ていない企業はこのDX人材が不足しています。

DXの成功のためには、経営層が自ら変革を主導して全社でDXに取り組む必要があります。DXはデータやデジタル技術を活用するため、特にIT分野に知見がある役員がいたほうが、DXは進みやすいですが、IT分野に知見のある役員がいない企業のほうがDXを進めるうえで成果が出づらいという傾向があります。

2. データを上手く活用できていない

データを上手く活用できている企業と活用できていない企業を比較しても、データを上手く活用できる企業のほうがDXの成果が出る傾向があります。

データを活用するうえで、データ活用の基盤が整っていることが重要です。ただデータ活用ができるツールを導入するだけでは上手くいかず、そもそもデータを活用するという組織文化が重要になります。

3. 人材の育成予算を獲得できていない

DX人材の育成予算の確保ができている企業のほうが、DXを進めるうえで成果が出る傾向があります。成果が出ている企業は育成予算を確保し、また次年度の予算計画でも育成予算を増やしています。

DXを進めるためには幅広いスキルが求められます。そのためDX人材を獲得するだけでは、DXの実現は難しく、中長期的な視点で育成をしていく必要があります。

4. 求めるDXを推進する人材の設定があいまいになっている

DXで成果が出ていない企業は、成果が出ている企業に比べて、DXを推進する人材像を設定していない割合が高くなっています。

求める人材像が設定できれなければ、そもそも育成予算の確保も難しいため、予算を確保するためにも、まずは自社にとってどんな人材が必要かを明らかにするようにしましょう。

DXを進めるためには具体的にどんな人材が必要なのか、どんなスキルが必要なのかとさらに詳しく知りたい方は以下の記事で解説しているので、ぜひご覧ください。

参考記事:DX人材とは?求められるスキル・マインドを徹底解説

DXの成功事例6選を紹介

具体的にDXに成功している企業はどのような課題を抱え、どのような取り組みを実施して、成果をあげているのか気になる方も多いと思います。そこで経済産業省が発表している「DXセレクション」のレポートを参考に事例をご紹介していきます。

出典:経済産業省『DX Selection 2024

1. 浜松倉庫株式会社

浜松倉庫株式会社は静岡県浜松市で倉庫事業、運送事業、駐車場事業などの事業を展開している企業です。2015年から、生産性向上のための将来を見据えた新しい業務の在り方を、若手管理職を中心とした社内プロジェクトで検討していました。

具体的には集中的に社内システムや業務改善の仕組みを学ぶ研修や、 毎月DX推進担当が各営業所を定期訪問することでDX推進をフォローする体制を整えるといった取り組みを実施しています。

デジタルサービスを活用することでデータ入力の時間を1日の業務の80%から5%削減を実現したり、今まで経験と勘をもとに進捗を判断していたものをリアルタイムで進捗を把握できるようにして、生産性を30%向上させています。

2. 株式会社リノメタル

株式会社リノメタルは埼玉県八潮市で金属プレス加工・熱処理加工による機能部品の量産などの事業を展開している企業です。「既存顧客への柔軟な対応」や「新規顧客開拓」実現のため、生産管理業務において「ミス・ムダ・属人化」からの脱却、 製造以外の事務における「業務の非効率さ」「伝達・連絡ミス」「ノウハウ・データの属人化」を改善するためにDXに取り組んでいます。

具体的にはアドラー心理学を活用した仕組みづくりを行うことでチームビルディングを促進、 5年間で28個のクラウドサービスを導入、製造現場においては「ものづくり補助金」も活用しながら1億円近くの投資を行って、生産管理システムを導入と、多くの変革を実行しています。

結果、全社的に「業務効率化、ノウハウ蓄積、情報一元管理、コミュニケーション・コンプライアンス・セキュリティレベルの向上」が前進し、生産性管理業務では月間268時間の削減に成功しています。

3. 株式会社トーシンパートナーズホールディングス

株式会社トーシンパートナーズホールディングスは東京都武蔵野市でマンションの企画・開発・販売、不動産売買・仲介、賃貸などを展開している企業です。継続的に成長できる企業へと邁進していくために、DXによるデジタル技術とデータの活用が急務、かつ必須と捉え、本格的にDXの推進を開始しています。

2021年11月に情報システム部内にDX推進組織を設置したり、社内研修など社員のDXスキル向上に向けた施策を推進するなど、社内の体制の変革を行っています。またAIを活用した早期賃貸付けプロジェクトを始動し、賃貸募集時における適正賃料生成モデルを作成するといった新しい取り組みも実施しています。

結果グループ全社の業務効率化によって年間約8,800時間の工数削減を実現しています。また独自アプリの開発とIoT技術との連携によって、顧客サポートの活性化も推進しています。

4. 株式会社髙梨製作所

株式会社髙梨製作所は山形県西村山郡河北町で熱可塑性および熱硬化性プラスチック射出成形、金型製作を展開している企業です。今後、山形県の人口減少は深刻化していくことが想定されたため、これまで通りの業務体制では企業として存続することが難しくなると考えDXに取り組んでいます。

経営層による全社員へのデジタル技術の紹介や勉強会の開催を実施したり、デジタル技術導入時のサポート体制の完備など社内体制の充実化に取り組んでいます。

部門を横断的に利用できるシステムを導入し、データに基づいた生産活動ができるようになり、段取り時間を12,000時間から2,900時間まで削減しています。

5. Jマテ.カッパープロダクツ株式会社

Jマテ.カッパープロダクツ株式会社は新潟県上越市で非鉄金属製品製造業を展開している企業です。地方での労働生産人口減少に対する危機感、働き方改革や労働環境改善への対応のためにDXに取り組んでいます。

スモールスタートとアジャイル開発による柔軟な仕組み作り、デジタルスキル向上による組織強化、 データ分析とAI技術の活用による意思決定の高度化を狙い、実際にRPAによる業務自動化で年間累計3000時間の業務削減を達成しています。

またその他にもダッシュボード導入による生産性37%向上やDX認定取得後から年18件のメディア掲載による企業ブランドの向上も実現できています。

6. 協和工業株式会社

協和工業株式会社は愛知県大府市でユニバーサルジョイント製造販売を展開している企業です。基幹システムが陳腐化し、システム外で各社員が個別に情報管理をし始めた事で、業務の属人化、情報の非共有化が進み、問い合わせなどの価値を生まない作業がまん延していたことがきっかけでDXに取り組んでいます。

システム内製化を目指し全体最適化を理解しプログラミングできる人材の育成を実施したことで、時間当たり売上高 13.5%増と工程内不良金額 86.4%減を実現しています。

DXが成功している企業の3つの共通点

1. 経営陣がDXの取り組みにコミットしている

DXの成功には経営陣のコミットが必要不可欠です。会社を変革する必要があるため、経営陣がコミットしないとなかなか他の従業員が動いてくれないなどの問題が発生してしまいます。そのため経営陣が主体となって、DXの戦略・実行を遂行していくことが重要になります。

実際にさきほどご紹介した成功事例でも、経営陣自らDXを進めるために育成環境を整えたり、社内体制の変革を図っています。

2. 人材の育成に力を入れている

DXを実現するためにも人材の育成が必要不可欠です。社内の特定の人たちのみでDXを実現するのは難しく、データをどのように現場で活用するかなど、多くの従業員を巻き込んでいく必要があります。

そのため全員がDXを進めるという意識が必要になるため、ただ「意識しましょう」ではなくそもそもDXを意識するための仕組みも必要になってきます。そのためにデジタル技術の紹介や勉強会の開催など、人材の育成に力を入れていく必要があります。

3. デジタル技術の導入だけで終えていない

DXでよくある失敗として、デジタル技術の導入がDXのゴールになってしまい、導入後そのデジタル技術を活用しないまま終わってしまうケースがよくあります。

さきほどご紹介した事例でも、「まずデジタル技術を活用しよう」というきっかけでDXに取り組んでいる企業はなく、業務が属人化している、労働環境を改善したい、人口減少を想定して業務体制を変革するなどデジタル技術の導入が出発点になっていることはありません。

そもそもなぜDXに取り組むのかをしっかりと定めたうえでDXを進めていくことが、成功のポイントになります。

まとめ

DXを進めていくためにも、人材の確保やデータをどのように活用するのかなど様々な課題が存在します。それらを解決していくためにも、まずは自社と同じような課題感を抱えてDXに成功した事例はないのかとヒントを得ることはDXを進めるうえで、とても重要な活動になります。

今回はDXの成功事例を6つご紹介しましたが、他にもDX銘柄に選定されている企業の事例など、様々な事例の情報にアクセスできるようになりました。

DXを進めていくためにも、しっかりと同業種の事例や共通した課題感を抱えている企業の事例がないかなど、しっかりと情報収集をしていきながらDXを実現させていきましょう。

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この記事を書いた人
スマート書記ブログチーム

エピックベース株式会社が運営する「スマート書記」のブログ編集部です。議事録や文字起こし、生成AIやAIエージェントに関するノウハウなど、企業が業務効率化を実現し、さらにはDXを推進するための情報をお届けします。

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