DX推進部門とは?目的や役割、組織のパターンについても解説
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「DX推進部を新しく設立したいけど、どうすればいいか分からない」「DX推進部に所属することになったけど、どんな業務があるのか知っておきたい」とお悩みの方も多いと思います。
DX推進部とはDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するために設立された専門部署です。DXは企業を変革させ、競争上の優位性を確立させる取り組みで、その業務は多岐にわたります。
そこで本記事ではDXとはそもそもなんなのか、DX推進部の部署としての目的や役割についてご紹介します。DX推進部の設立をこれから考えている経営者や管理職の方も、まさに現在DX推進部に所属している方もぜひ本記事をご覧ください。
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DXとは
DX推進部は具体的にどんな目的や役割をもった部門なのかを理解するためにも、そもそもDXとはどんな取り組みを指すのかを整理しましょう。
DX(デジタルトランスフォーメーション)の意味を簡単にご紹介すると「データとデジタル技術を活用して、会社を変革し競争上の優位性を確立する」取り組みのことです。経済産業省や総務省がDXの定義を発表していますが、経済産業省では以下のように定義しています。
DXの定義は次のとおりとする。「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」
出典:経済産業省『デジタルガバナンス・コード3.0』p.2
日本では労働力不足などの社会問題への対応や、インターネットの普及により消費者のニーズが多様化・変化していることからDXの取り組みが必要不可欠になっています。また、今までのやり方にこだわり過ぎてしまうと、新しいデジタル企業が市場に参入した結果、既存企業が市場シェアを奪われる事例も出てきており、これらに対応するためにも近年DXの取り組みは注目されています。
より詳しくDXの定義について知りたい方は、以下の記事でご紹介しているので、ぜひご覧ください。
DX推進部という専門部署が必要な3つの理由
DXを実現するためにも、DX推進部の重要性が高まっています。とはいえ、そもそもなぜDX推進部という専門部署が存在するのでしょうか。ここではDX推進部が必要な3つの理由をご紹介します。
1. 企業全体での最適化が必要になる
DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進していくと、多くの企業が個別の部署や業務単位でデジタルツールの導入を進めます。ただし、このときに全社的な視点が欠けていると、ツールに蓄積されたデータを活用する視点が抜けてしまい、横断的にデータが活用できずに終わってしまいます。
このような課題を解決するためにも、全社横断でデジタル戦略を策定し、最適化を図る専任の「DX推進部」が必要になります。DX推進部が他の部署のハブとなり、部門間の連携を促進することで、全社的なデジタル活用が進みやすくなります。
2. デジタルツールの導入後の活用が進まない
企業全体での最適化が必要ですが、そもそもDX推進部がないと、デジタルツールの導入が進まないケースもあります。DX推進部は「デジタルツールの導入」ではなく「デジタルツールの活用」までをゴールに全社的にツールの導入を進めていく必要があります。この役割を持つ部署がいないと、結局現場はデジタルツールを導入しても、ツールを活用することができず、結局今まで通りの業務を続けてしまいます。
またデジタルツールを活用していくうえでも、現場が活用しやすいように、実際の業務フローに合わせてカスタマイズを行い、スムーズにツールを使いこなせる環境を整える必要があります。
多くの企業がデジタルツールを導入しても、活用ができていないことから、DX推進部が活用までを視野にいれて、動いていくことが重要になります。
3. 社内の育成が必要になる
多くの企業では、従業員のデジタルに関するリテラシーが不足していて、新しいツールを導入しても、十分に活用できていないという課題があります。
この課題を解決するためにも、DX推進部が中心となって、従業員のデジタルスキルを向上させる取り組みが重要になります。具体的にはツールに限らず、「データ」を活用するための基本的な知識や、eラーニングの提供、DX推進に関するワークショップの開催などを行い、従業員が継続的に学べる環境を整備していく必要があります。
DXを実現するためにも、組織全体のデジタルリテラシーの向上は必要不可欠です。そのためにもDX推進部が中心となっていくことが重要です。
DX推進部が持つ3つの目的
DX(デジタルトランスフォーメーション)は「データとデジタル技術を活用して、会社を変革し競争上の優位性を確立する」取り組みを指しています。この取り組みを実現するためにも、具体的にDX推進部門にはどんな目的があるのでしょうか。ここではDX推進部が持つ目的を3つにわけてご紹介します。
1. サービスの変革
DXという言葉の定義の通り、DXは最終的に競争上の優位性を確立することが重要です。そのためにも既存サービスを変革していく必要があります。これは既存サービスに限らず、新しいサービスを生み出す活動も含まれています。
インターネットの普及により、消費者のニーズは常に変化し、多様化しています。これらの変化に対応するためにも、今までのサービス提供だけでは、競争上の優位性を維持することが難しくなっています。DX推進部は最新のデジタル技術を取り入れながら、市場のニーズに適した形でサービスを進化させていく目的を持っています。
2. 業務の変革
サービスの変革は主に売上に繋がる活動ですが、一方で守りの活動、つまり今までの業務を変革していき、無駄な時間を削減することで、生産性を飛躍的に向上させるのもDX推進部の目的の1つになります。
サービスの変革など、より戦略的な業務に集中的に時間をかけるためにも、無駄な業務を削減していくことが必要不可欠です。デジタルツールを導入することで、アナログ的な業務を自動化する方法が一般的ですが、そもそもその業務が必要なのかと、業務のあり方を考える役割も担っています。
3. 組織の変革
新しいサービスを生み出す活動や、業務を変革していくためにも、組織を変革していくことが重要になります。いくら最新のデジタル技術をDX推進部として導入しても、現場の従業員が活用しなければ、DXはうまくいきません。
そのためにもデジタルツールや技術を活用する企業文化を根付かせる必要があります。DX推進部はただサポートするだけではなく、定期的に研修を開催する、デジタルツールを活用できるように仕組みを整えるなど、組織の文化や働き方を変革する重要な部署になっています。
DX推進部の3つの役割
DX推進部が持つ目的を実現するためにも、具体的にどのような役割があるのでしょうか。ここではDX推進部の役割を3つにわけてご紹介します。
1. DX戦略の立案と社内への浸透
DXを実現するためにも、明確なDX戦略を策定し、それらを社内に浸透させることが必要不可欠です。DX戦略とは、たんにIT化を進めることではなく、DXによって何を達成するのか、達成に向けて何に集中的に取り組むのかを明らかにします。
ただDX戦略を策定するだけではDXが進みません。多くの企業では、従業員の理解や協力を得ることが課題になります。そのため、DX推進部は社内研修やワークショップを実施し、従業員にDX推進の重要性を理解してもらう取り組みを行う必要があります。またDXは経営陣のコミットが必要不可欠です。経営陣と現場の橋渡し役となり、DX推進のためにも、社内のコミュニケーションを円滑にすることもDX推進部の役割として求められます。
2. デジタルツールの導入と利用促進
DX推進を加速させるためにはデジタルツールの活用が欠かせません。ただしDXを進めていくとツールは導入したものの、実は現場では活用されていないというケースも少なくはありません。これらの課題を解決するためにも、従業員がしっかりと効果的に活用できるようにサポートする役割を担います。
具体的にはツールの操作マニュアルの作成や、ツールの利用事例を社内に共有する、ツールを提供している会社に勉強会を依頼する、活用しやすいようにデジタルツールをカスタマイズするなど、従業員が活用できるようになるまで、サポートをしていく必要があります。
3. 業務プロセスの改善
今までの業務プロセスを見直し、デジタル化によってアナログ的な業務の時間を削減する、そもそも業務フローを見直し、より効率的な仕組みを作ることがDX推進部には求められます。
現状の業務プロセスを分析し、どの部分に無駄や非効率が存在するのかを特定していくことが重要です。またその上で、データを活用して業務フローを最適化し、より効率的でコスト効果の高い仕組みを設計していきます。
業務プロセスの改善には、現場の意見を反映させることも重要です、DX推進部は現場の従業員と協力しながら、企業全体の生産性向上に貢献していくことが求められます。
DX推進部の5つの組織パターン
DX推進部の目的と役割をご紹介しましたが、では具体的にDX推進部は既存の部署とどのように連携をしていけばいいかお悩みの方も多いと思います。そこでIPA 独立行政法人が発表している企業内部の推進体制をご紹介します。
出典:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構『デジタル・トランスフォーメーション推進人材の機能と役割のあり方に関する調査』p105
1. 独立事業部門型
DX推進部が既存事業を担当する部門とは別の組織として設立される組織パターンです。このDX推進部は主に新たなビジネスモデルを生み出す目的として設置されています。
既存の事業部門の負担も少なく、既存事業の強みを残したままDXに取り組むことが可能になります。一方で既存事業との連携が取りづらく、このDX推進部が立ち上げた事業が既存事業の競合になるリスクも存在しています。
2. 全社企画・支援型
DX推進部が全社のDX戦略を立案して、各部門をサポートする組織パターンです。さきほどご紹介した「独立事業部門型」との違いは、このDX推進部が中心になって新たなビジネスモデルを生み出すことはせずに、他部門のサポートに重点を置いています。
社内の複数・多数の部門においてDXを推進するときに有効なパターンとなっており、全社規模でのDX推進が可能になります。その分、既存部門との関わり方が難しいという課題があります。
3. DX企業新設型
DX推進部としてではなく、別の組織としてDX組織を設立する組織パターンです。IT企業やコンサル企業が自社の子会社として設立するケースや、複数の企業が共同でベンチャー企業などを設立するケースが見られます。
新しく組織を設立することで、企業の制約に捉われずに、新事業の創造が可能になります。一方で企業設立のために資金や時間が必要になるのと、組織を新しく設立する以上、リスクが高いという課題があります。
4. 企画部門推進型
DX推進部を経営企画部のような既存の企画系部門の中に設置するパターンです。既存の部門の中にDX推進の機能があるため、試行的な取り組みを効果的に実施できるというメリットがあります。
一方で、DX推進部の目的のひとつである、新しいビジネスモデルの創出のときには別の体制を考える必要があります。
5. IT部門推進型
この組織パターンも「企画部門組織型」と同様に、IT部門または情報システム部門の中にDX推進部の機能をもった組織を設立します。このパターンは既存業務の効率化に効果的な組織パターンです。
一方で新しいビジネスモデルの創出に取り組むときは、IT部門や情報システム部門だけのスキルでは実現が難しいため、こちらも別の体制を考える必要があります。
DX推進部に必要な人材の5つのタイプ
DXが「データとデジタル技術を活用して、会社を変革し競争上の優位性を確立する」取り組みである以上、DXを実現するためには様々な人材が必要になります。そこでここではDXを推進するためにも必要な人材のタイプを5つにわけてご紹介します。
より詳しくDXに必要な人材とはどんな人材なのかを知りたい方は、以下の記事でご紹介していますので、ぜひご覧ください。
1. ビジネスアーキテクト
ビジネスアーキテクトは企業の新規事業開発や既存事業の効率化を目的に、業務の変革をリードする人材です。社内の関係者と連携し、目標達成に向けた仕組みを設計・推進します。デジタル技術の知識だけでなく、一貫したプロセス推進力が求められます。
2. デザイナー
デザイナーは顧客視点を重視し、製品やサービスの方向性を策定する人材です。DXの各プロセスに関与し、ビジネス価値の最大化を目指します。顧客に寄り添い、新たな価値を創造し、課題解決を促進します。
3. データサイエンティスト
データサイエンティストはデータの収集・分析・活用を担い、業務変革や新規ビジネスの実現を支えます。データの整理と効果的活用がDX成功の鍵です。ビジネス戦略の検討から仕組みの設計・運用まで幅広く担当し、現場支援も行います。
4. ソフトウェアエンジニア
ソフトウェアエンジニアはデジタル技術を活用したシステムやソフトウェアの設計・実装・運用を担い、技術力でDXを支えます。サービスの構想から具体化までのスキルが求められます。
5. サイバーセキュリティ
サイバーセキュリティ人材はデジタル環境のリスク対策を担い、安全性を高めます。インシデントの防止や被害抑制を通じ、デジタル基盤全体のセキュリティを確保します。
まとめ
DX(デジタルトランスフォーメーション)は「データとデジタル技術を活用して、会社を変革し競争上の優位性を確立する」取り組みです。この取り組みを実現させるためにも専門的な知識を持つ、DX推進部を設立する重要性が求められていますが、企業によってもDX推進部を新規設立したり、既存部門のその機能を持つ組織を作ったりと、様々な組織パターンがあります。
DX推進部は競争上の優位性を確立するためにも、サービス・業務・組織を変革することが求められ、多くの業務を担当する必要があります。またその分専門的な知識を持つ人材の配置も必要になります。今後DX推進部の設立を検討しているかたは、本記事で紹介した内容を参考に、進めていきましょう。
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