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業務自動化を進める手順を解説!メリットデメリットや注意点、ツール紹介から導入事例まで紹介

この記事でわかること

  • 業務自動化のメリット・デメリット
  • 業務自動化の進め方
  • 業務自動化に役立つツール

近年、ビジネスの現場では「業務自動化」が急速に注目を集めています。人口減少や働き方改革、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進といった社会的背景を受け、限られた人材リソースでいかに業務効率を高め、生産性を向上させるかが、企業にとって大きな課題となっています。その中で注目されているのが、型的・反復的な作業をITツールやソフトウェアによって自動化する「業務自動化」の取り組みです。

しかし、多くの企業担当者が「業務自動化に取り組みたいけれど、何から始めればよいのか分からない」「本当に効果が出るのか不安」「どの業務が自動化に向いているのか判断が難しい」といった悩みを抱えています。実際に、導入に成功している企業がある一方で、途中でうまく進めることができず、期待していた効果を得られなかったという事例も少なくありません。そのため、正しい理解と段階的な導入ステップが非常に重要となります。

本記事では、「業務自動化とは何か?」という基本的な解説から始まり、業務自動化を進めるメリットとデメリット、自動化が進まない原因やその解決策、さらには具体的に自動化できる業務例、導入の流れ、ツールの紹介、成功事例までを体系的にまとめています。これから業務自動化に取り組みたいと考えている方が、迷わず一歩を踏み出せるよう、実践的な情報を網羅しました。

ぜひ本記事を最後までお読みいただき、自社にとって最適な業務自動化のあり方を見つけてください。

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目次

業務自動化とは?

業務自動化とは、人間が手作業で行っていた定型的な業務やルーティンワークを、テクノロジーを用いて自動化することを指します。たとえば、請求書の作成、勤怠管理、在庫管理、顧客対応など、日々の業務の中で繰り返し発生する作業を、ソフトウェアやツールによって効率的に処理することで、人的リソースの負担を軽減し、組織全体の生産性向上を図ることができます。

最近では、RPA(Robotic Process Automation)やAI(人工知能)、AI-OCR(光学文字認識)などの技術が進化したことにより、これまで人の判断が必要だった複雑な業務でも自動化が可能になってきました。さらに、APIやクラウドサービスとの連携によって、部門をまたぐデータのやりとりや業務フローもシームレスに自動化できます。

業務自動化は単に「作業の効率化」にとどまらず、組織の意思決定のスピードアップや、従業員の働き方改革、さらには新たな価値創出の基盤づくりにもつながります。

業務自動化のメリットとデメリット

業務自動化にはさまざまな利点がある一方で、導入には一定のハードルや注意点も存在します。ここでは主なメリットとデメリットを整理し、それぞれの観点から業務自動化の本質を理解していきます。

業務自動化の3つのメリット

1. 生産性向上とコスト削減

最も大きなメリットのひとつは、生産性の向上です。定型的な事務作業やデータ入力などのルーティン業務を自動化することで、従業員はより付加価値の高い業務に専念できるようになります。これにより業務全体のスピードが上がり、人的ミスも減るため、結果的にコスト削減にもつながります。

さらに、自動化によって対応時間が短縮されるため、顧客対応の迅速化にも貢献し、顧客満足度の向上にもつながる可能性があります。たとえば、チャットボットを活用してよくある問い合わせを24時間対応にすれば、サポート部門の負担軽減と共に、顧客満足度の向上が同時に実現できます。

2. ヒューマンエラーの削減

人間による作業には必ずミスがつきものです。特にデータ入力やチェック作業など、単純だが注意力を必要とする業務では、疲労や集中力の低下によってミスが発生しがちです。業務を自動化することで、こうしたヒューマンエラーを最小限に抑えることができます。

たとえば、請求書の金額を手入力する業務を自動化すれば、入力ミスによる取引先とのトラブルを回避でき、信頼性の高い業務運用が可能になります。また、監査やコンプライアンス対応の精度向上にもつながり、リスク管理の観点でも重要な役割を果たします。

3. 従業員満足度の向上

定型業務に追われる日々は、従業員にとってモチベーションの低下を招く要因にもなり得ます。業務自動化により煩雑な作業から解放され、より創造的な業務やコミュニケーションを重視する業務に集中できる環境が整えば、従業員の仕事への満足度も自然と高まります。

また、柔軟な働き方を実現しやすくなる点も見逃せません。たとえば、在宅勤務でも自動化された業務が稼働していれば、物理的なオフィスに縛られる必要がなくなり、ワークライフバランスの向上や離職率の低下にも繋がります。企業文化や働き方改革の推進という観点でも、業務自動化は大きく役立ちます。

業務自動化の2つのデメリット

1. 初期投資と運用コスト

業務自動化の導入において避けて通れないのが、初期投資やランニングコストの問題です。自動化にはRPAツールやAIシステムの導入、既存の業務フローとの統合、カスタマイズ、さらには従業員への研修など、さまざまなコストが発生します。これらの費用は導入規模によって大きく変動しますが、中小企業にとっては負担の大きい出費になることも少なくありません。

また、導入したツールを有効に活用するためには、継続的なメンテナンスや運用改善が必要です。特に、業務プロセスが変化した際には、その都度システムの調整が求められ、運用コストが想定以上に膨らむリスクも存在します。業務自動化は「導入すれば終わり」ではなく、継続的な最適化が必要不可欠である点を理解しておくべきでしょう。

2. システム依存度の上昇

もう一つのデメリットは、業務自動化が進むことでシステムへの依存度が高まりすぎる点です。自動化に頼り切ってしまうと、ツールやシステムに障害が発生した際に業務が完全に停止してしまうというリスクが発生します。特にバックアップ体制や復旧フローが不十分な場合、業務への影響は甚大です。

さらに、自動化されたプロセスの内部で何が起きているかを理解している人材が少なくなると、トラブル時に対応できる人がいないという”ブラックボックス化”の問題も発生します。このような事態を避けるためには、定期的なドキュメント整備や教育体制の構築が必要です。

加えて、技術の進化やサービスの終了によって、既存のツールが使えなくなる場合もあります。ベンダー依存度が高い場合、柔軟な切り替えが難しくなることもデメリットのひとつです。

業務自動化が進まない理由とその解決策

業務自動化をいざ進めようとしたとき、いくつかの障壁が発生します。なぜ発生するのか、業務自動化が進まない根本的な要因とそれに対してどうアプローチをしていくことが有効であるかを解説します。

業務自動化が進まない本質的な理由

業務自動化が注目される一方で、導入がなかなか進まない企業も多く存在します。その背景には、技術的な問題というよりも、組織的・心理的なハードルが大きく関係しています。

多くの企業では、自動化そのものが目的化しており、本来の目的である業務効率化や生産性向上が見失われているのが現状です。自動化を導入することで何を達成したいのかという視点が欠けると、適切なツールの選定や業務の選定も曖昧になり、結果的に期待した効果が得られません。

さらに、経営層と現場の間で目的の共有がされていないことも大きな要因です。経営陣がトップダウンで推進しようとしても、現場がその目的や背景を理解していなければ協力は得られません。現場は日々の業務に忙殺されており、新しい仕組みに対しては「余計な負担になるのではないか」という不安も抱きがちです。

また、「変化への心理的抵抗」も無視できません。人は慣れた方法を好む傾向があり、業務のやり方が大きく変わることにストレスを感じるのです。特に、過去に失敗したIT導入の経験がある企業では、現場の慎重な態度が強まり、自動化に対するネガティブな印象が根強く残ってしまいます。

経営陣と現場側の認識のズレから生まれる導入障壁

業務自動化が実際に導入されない大きな理由の一つに、「経営陣と現場側の認識のズレ」があります。経営層は会社全体的な視点からコスト削減や業務効率化を考えている一方、現場は日々の業務において具体的な課題に直面しています。両者が自動化に期待する内容や課題意識が一致していない場合、自動化がうまくいかないことが多いです。

また、現場の業務が「属人化」していることも大きなハードルです。業務のやり方が担当者ごとに異なっていたり、手順がドキュメント化されていない場合、自動化の設計すら困難になります。業務の標準化がなされていないと、ツールを導入しても期待通りの効果を得ることは難しいでしょう。

さらに、ITリテラシーの格差も無視できません。特に中小企業や非IT部門では、自動化ツールの操作や保守に不安を抱える担当者が多くいます。その結果、担当者がツールの操作を避け、最終的には使われなくなるケースも見られます。

これらの障壁に対処するには、まず業務フローを可視化・整理し、標準化を進めることが必要です。そのうえで、現場を巻き込みながら段階的に導入を進める「スモールスタート型」のアプローチが効果的です。小さな成功体験を積み重ねることで、現場の理解と協力を得やすくなります。

解決に向けた実践的アプローチ

業務自動化を成功させるためには、単にツールを導入するだけでは不十分です。組織全体での共通理解と継続的な改善の仕組みづくりが不可欠です。

まず重要なのは、「自動化の目的を明確にすること」です。たとえば、「請求処理の工数を月間20時間削減する」といった具体的な目標があると、KPIも設定しやすく、関係者の納得も得やすくなります。目的が明確になることで、自動化対象の業務選定もスムーズに進みます。

次に、「スモールスタートでの導入」が有効です。いきなり会社全体の規模で導入しようとすると、コストも手間も膨らみ、失敗のリスクが高まります。まずは一部の部署や業務で試験的に導入し、成果を測定してから展開することで、関係者の不安を軽減できます。

教育と啓蒙活動」も欠かせません。現場の不安を払拭するには、自動化の意義やメリットを丁寧に伝える必要があります。具体的には、定期的な勉強会やワークショップを開催したり、成功事例を社内で共有するなどの工夫が求められます。

さらに、「外部の力を借りる」ことも検討すべきです。ITリソースが足りない場合は、専門のコンサルタントやベンダーの力を活用することで、社内のリソースに依存しすぎず、スムーズな導入が可能になります。

最後に、「継続的な改善サイクルの構築」が重要です。導入して終わりではなく、運用しながら効果を検証し、必要に応じてツールやプロセスを見直すことで、業務自動化は企業にとって持続可能な取り組みとなります。

業務自動化に向いている5つの業務例

業務自動化を効果的に進めるには、まず“どの業務が自動化に向いているのか”を理解することが重要です。自動化に適した業務とは、定型的で繰り返し発生し、ルールベースで処理できるものです。ここでは、特に自動化による効果が大きいとされる5つの業務を紹介します。

1. 経理業務

経理業務は業務自動化との親和性が非常に高い分野です。たとえば、請求書の発行や仕訳入力、経費精算、月次決算などは、多くの場合ルールが明確で、同じような手順を繰り返す業務です。

RPA(Robotic Process Automation)や会計ソフトのAPI連携を活用すれば、これらの業務を自動化し、人的ミスを減らすことができます。また、AI-OCR技術を使えば、紙の請求書や領収書をスキャンし、テキスト化して仕訳に自動反映させることも可能です。

2. 人事業務

人事部門も、業務自動化の恩恵を受けやすい領域です。例えば、従業員の入退社手続き、勤怠管理、給与計算、年末調整の処理などは、非常に多くの書類作成と確認作業が伴います。

特に勤怠データの取りまとめや不備チェック、勤怠ルールに基づく残業計算などは、人の目で行うには煩雑で、間違いが起きやすいポイントです。これらの業務をRPAや人事管理システム(HR Tech)で自動化することで、担当者の負担を大幅に軽減できます。

3. 営業業務

営業は本来、顧客との信頼関係を構築することが求められる「人」の業務です。しかしその一方で、営業活動の裏側には見積書の作成、日報の入力、案件管理、リードのスコアリングといった多くの事務作業が存在します。こうした作業を自動化することで、営業担当者はより多くの時間を顧客とのコミュニケーションに割けるようになります。

たとえば、CRM(顧客管理システム)と営業支援ツールを連携させることで、顧客の行動履歴から自動でリードスコアを計算し、優先すべき顧客を可視化できます。さらに、見積書の作成をテンプレート化し、自動入力・出力を可能にすれば、スピーディな提案も可能になります。

4. 総務・情報システム業務

総務や情報システム部門では、社内からの問い合わせ対応や備品の発注管理、アカウント発行、システム設定といった業務が日常的に発生します。これらの業務もまたルーティン性が高く、自動化に向いています。たとえば、よくある社内問い合わせにはチャットボットを活用すれば、24時間対応が可能になります。

また、入社時に必要なITアカウントの発行やPC設定を自動化することも、情報システム部門の大きな負担軽減になります。従業員の入退社が多い企業では、1人分のセットアップに1時間以上かかるケースもあり、それを一括処理で自動化できれば生産性が飛躍的に向上します。

5. 議事録作成業務

会議の議事録作成は、意外と時間がかかる業務の1つです。録音した音声を聞き直しながら手作業で文章にまとめるというプロセスは、非効率かつ労力のかかる作業です。しかし近年では、AIによる自動音声認識技術が大きく進化しており、議事録作成業務の自動化が現実的になっています。

AI議事録ツールを使えば、ZoomやTeamsなどのオンライン会議から自動で音声を取得し、テキスト化するだけでなく、話者の分離や重要トピックの要約まで対応可能なものもあります。議事録作成の自動化は単なる効率化だけでなく、ナレッジの共有促進や情報の透明化という点でも大きな役割を果たしてくれます。

以上の5つの業務は、自動化の効果が見込まれる代表的な領域です。いずれも定型的でルール化しやすく、かつ担当者の負担が大きい業務です。自動化は単なる「楽をする」ための仕組みではなく、「人がより価値のある仕事に集中する」ための手段です。まずはこれらの業務から自動化を検討してみることをおすすめします。

業務を自動化する4つの具体的な方法

業務自動化を実現するためには、単にツールを導入するだけではなく、実際の業務フローに沿った適切なツールや手法を選び、運用に定着させることが重要です。ここでは、企業が導入しやすく、効果を実感しやすい代表的な4つの方法について詳しく解説します。

1. RPAツールを導入する

RPA(Robotic Process Automation)は、人が行っている定型業務をソフトウェアロボットが代行する仕組みです。たとえば、毎日同じ時間に行うデータの転記や集計作業、定型フォーマットでのレポート作成、請求書の発行など、ルールが明確な反復作業に非常に適しています。

RPAは既存の業務ソフトやWebシステムを操作するため、インフラやシステムを大きく変える必要がなく、導入コストが比較的抑えられる点が魅力です。

さらに、24時間稼働が可能であるため、人手では難しい深夜や休日の対応も自動化できます。これにより、業務効率が大幅に向上し、担当者はより創造的な業務や判断を要する仕事に集中できるようになります。一方で、RPAを有効に活用するには、事前に業務フローの棚卸しと標準化が不可欠です。ブラックボックス化された業務や、例外処理が多い業務には向いていない点にも留意しましょう。

2. AI-OCRツールを活用する

AI-OCR(Optical Character Recognition)は、紙書類やPDFデータなどの非構造化データから、テキスト情報を高精度で抽出する技術です。従来のOCRと異なり、AI-OCRは手書き文字や表の構造まで認識可能であり、より実務に適した解析が可能です。特に、請求書、契約書、申込書、アンケートなどのデータ入力作業に活用すると、業務時間を大幅に短縮できます。

AI-OCRを導入することで、単なる文字認識にとどまらず、ワークフロー全体の効率化にもつながります。たとえば、AI-OCRで読み取ったデータを自動でRPAに連携し、会計システムや顧客管理ツールへ登録するといった使い方も可能です。これにより、手作業による転記ミスを防ぎ、情報の一貫性と正確性が向上します。

また、近年はクラウド型のAI-OCRサービスも増えており、月額数千円から導入できるケースもあります。導入のハードルが下がったことで、中小企業でも手軽に活用できる環境が整っています。

3. マクロやスクリプトを作成する

マクロやスクリプトとは、ExcelやGoogleスプレッドシート、業務システムなどで使用できる自動化プログラムのことです。たとえば、複雑な計算式を一括処理したり、大量のデータを一定のルールでフィルタリングしたりする際に効果を発揮します。

ExcelのVBA(Visual Basic for Applications)やGoogle Apps Scriptなどを活用すれば、非エンジニアでも比較的簡単に業務効率化が実現できます。特に現場主導で「今すぐにでも困っている作業を楽にしたい」というニーズに対し、スピーディーかつ柔軟に対応できるのが強みです。

一方で、属人化しやすいというデメリットも存在します。担当者が異動・退職した際に、誰にも修正できないブラックボックス化されたスクリプトが業務を止めるリスクもあります。こうした事態を防ぐためには、スクリプトの仕様をドキュメント化しておく、定期的にメンテナンスできる体制を整えるなどの工夫が重要です。

4. AIツールを活用する

ChatGPTなどに代表されるAIツールは、単なる業務補助ではなく「知的業務の自動化」において注目を集めています。たとえば、営業メールの文章生成、議事録の要約、FAQの自動応答、マーケティング分析レポートの草案作成など、従来は人が時間をかけていた業務を数秒〜数分で処理できるのが特徴です。

また、AIは学習・改善を繰り返すことで精度が向上するため、継続的な活用によって業務品質そのものを高めることも可能です。

一方で、AIツールの活用には情報セキュリティへの配慮が欠かせません。機密情報を誤って外部サーバに送信しないような体制づくりや、社内ルールの整備が前提となります。

こうしたAIツールは、特別な知識がなくても使えるノーコード・ローコード製品も増えており、導入・運用のハードルが劇的に下がってきています。特に中小企業やスタートアップにとっては、大規模な投資をせずとも先進技術の恩恵を受けられる手段として注目すべき分野です。

業務自動化を行う流れ

業務自動化を成功させるには、明確なステップを踏んで導入を進めることが不可欠です。いきなりツールを導入しても、期待した効果が得られず、逆に混乱を招くことがあります。ここからは、業務自動化を効果的に行うための6つのステップをご紹介します。

Step1|現状業務の可視化と課題の洗い出し

業務自動化の第一歩は、現在の業務プロセスを正しく理解することです。業務を自動化しようと考えると、すぐにツール選定に走ってしまいがちですが、それでは本質的な課題の解決にはなりません。まずは、部署ごと、担当者ごとにどのような業務が行われているかを可視化し、その中でボトルネックとなっている作業、非効率な手作業、属人化しているプロセスなどを丁寧に洗い出します。

ここでは、業務フロー図やプロセスマッピングツールの活用が効果的です。また、現場の声をヒアリングすることで、マニュアルには現れない実態を把握できます。この段階での分析が甘いと、後のステップですれ違いが生まれやすくなり、効果の薄い自動化に陥る可能性があるため、丁寧さが求められます。

Step2|自動化対象業務の選定

業務のすべてを一度に自動化するのは非現実的です。そのため、自動化する対象を選定することが次のステップとなります。ここでのポイントは、

  • 繰り返し頻度が高い
  • ルールが明確
  • 属人性が低い
  • 人手による作業負荷が高い

といった特徴を持つ業務を優先することです。たとえば、経費精算のデータ入力や、日報の集計、メールの自動応答などが該当します。

また、自動化による効果が大きい業務を選ぶことで、社内の理解や協力を得やすくなります。逆に複雑で例外処理が多い業務は、初期段階では避けた方が無難です。この選定プロセスで重要なのは、業務の現場とIT部門、マネジメント層の三者が連携して合意形成を図ることです。

Step3|目標設定とKPI策定

自動化する対象の業務が決まったら、その自動化によって何を達成したいのか、明確な目標を設定します。例えば「作業時間を30%削減する」「月次レポート作成の納期を3日短縮する」など、具体的かつ測定可能な指標を設けることが大切です。これにより、自動化の効果を定量的に評価することが可能になります。

KPI(重要業績評価指標)は、目標達成に向けた進捗を定期的に測るための基準となります。設定にはSMART原則(Specific, Measurable, Achievable, Relevant, Time-bound)を参考にするとよいでしょう。KPIを設けることで、関係者の意識が統一され、導入後の効果検証や改善につながる基盤が整います。

Step4|自動化ツールの選定と導入

次に、自動化に適したツールを選定します。現在では、RPA(Robotic Process Automation)、AI-OCR、チャットボット、ワークフロー自動化ツール、AI議事録ツールなど多種多様な選択肢があります。それぞれのツールには強みと弱みがあり、業務内容に応じて最適なものを選ぶ必要があります。

このとき、「社内にITリテラシーがどれほどあるか」「既存システムと連携可能か」「将来的な拡張性はどうか」といった観点も含めて検討することが重要です。ベンダーのデモやPoC(概念実証)を活用し、導入後の運用がイメージできるかどうかを確認しましょう。選定時に現場担当者を巻き込むことで、導入後の定着率も高まります。

Step5|テストと効果検証

ツールを導入したら、いきなり本番環境で運用を始めるのではなく、まずはテスト運用を行いましょう。ここでは、期待した成果が出るかどうか、例外パターンへの対応はできるか、動作の安定性に問題はないかなどを入念にチェックします。テストフェーズでは、KPIで定めた指標をもとに、定量的な効果測定を行いましょう。

もし想定外のトラブルや仕様の見落としがあれば、この段階で修正を加えることができます。また、ユーザー側の使用感やフィードバックも収集し、操作性や業務フローに齟齬がないかを確認することも大切です。十分なテストを行うことで、導入後の混乱を最小限に抑えることができます。

Step6|運用と改善

テストが完了し、問題がなければ本格的な運用フェーズに移行します。とはいえ、運用開始がゴールではありません。業務や組織の変化に応じて、ツールや設定を柔軟に見直す「改善」の視点が欠かせません。定期的にKPIの達成度をチェックし、課題があれば早めに対応する体制を整えましょう。

また、定着を図るために、マニュアルの整備や社内教育、FAQの共有など、サポート体制の構築も必要です。さらに、業務が効率化されたことで新たに生まれるリソースを活かし、他の業務への自動化展開を進めるといった戦略的な展開も視野に入れましょう。業務自動化は一過性の施策ではなく、持続的な改善活動の一環として位置づけることが成功の鍵です。

業務自動化を行う際の5つの注意点

業務自動化は、企業の生産性向上やコスト削減、従業員満足度の改善など、さまざまなメリットをもたらします。しかし、導入を成功させるためには、いくつかの注意点を押さえる必要があります。ここでは、業務自動化を検討・実施する際に必ず意識すべき5つのポイントについて詳しく解説します。

1. 目的は明確にする

業務自動化を進める際に最も重要なのは、「なぜ自動化するのか」という目的を明確にすることです。たとえば「作業時間を削減したい」「人的ミスを減らしたい」「属人化を解消したい」など、目的が異なれば導入するべきツールや自動化手法も変わってきます。目的が曖昧なままでは、ツール選定の軸がぶれてしまい、結局効果が見えづらくなるリスクがあります。

また、目的は経営層だけでなく、現場メンバーとも共有し合意形成することが不可欠です。現場の理解や納得感がなければ、せっかく導入しても活用されず、宝の持ち腐れになる可能性があります。自動化の「Why(なぜ)」を全員で共有することが、成功の第一歩です。

2. 業務プロセスを見直す

自動化の前には、現在の業務プロセスの見直しが欠かせません。非効率な業務や重複した工程をそのまま自動化してしまうと、「自動化されたムダ」になる可能性があるからです。例えば、承認プロセスが複雑すぎる業務をそのまま自動化すると、かえって管理が煩雑になることもあります。

業務の流れをフローチャートや業務フロー図で可視化し、「この工程は本当に必要か」「誰が何のためにやっているのか」といった視点で精査しましょう。必要がない業務を削減したり、ルールを簡素化することで、自動化の効果を最大限に引き出すことができます。

加えて、現場の声を吸い上げることも重要です。実際に業務を行っている担当者の視点から見ることで、表面化しにくい課題が浮き彫りになる場合もあります。業務プロセスの見直しは、自動化導入の土台づくりと言えるでしょう。

3. まずはスモールスタートで始める

業務自動化は、いきなり大規模に導入するのではなく、小さく始める「スモールスタート」が推奨されます。理由はシンプルで、初めから大規模な業務を自動化しようとすると、設計や検証に時間がかかり、失敗した場合のリスクも大きくなるからです。

例えば、1日の業務のうち定型的でルーティンな作業に着目し、まずはそこだけを自動化してみるという方法が有効です。具体的には、請求書データの転記や、定期的なレポート作成などがスモールスタートの対象として適しています。

また、小規模な成功体験を積むことで、関係者の信頼や自動化への理解を得やすくなるという副次的な効果もあります。段階的に対象業務を広げていくことで、社内に自動化文化を浸透させることができるのです。

4. セキュリティ対策を確認する

業務自動化を進める上で忘れてはならないのがセキュリティ対策です。特にクラウド型ツールや外部サービスを活用する場合、企業情報や顧客情報などの機密データが外部に流出するリスクがあります。

そのため、使用するツールのセキュリティ仕様(データの暗号化、アクセス権限管理、ログの取得機能など)を事前に確認し、自社のセキュリティポリシーに合致しているかどうかをチェックすることが重要です。

加えて、内部統制の観点からも注意が必要です。自動化によって業務が「ブラックボックス化」しないように、担当者ごとの権限設計や、操作ログの取得・確認体制を整備しておくことが求められます。見落としがちな視点として、自動化が導入された後の“人為的ミス”もあります。例えば、設定ミスで誤送信が発生するケースなど、ヒューマンエラーを完全に排除できるわけではありません。

5. 費用対効果の検証を行う

業務自動化は導入して終わりではなく、継続的に費用対効果を検証する姿勢が重要です。たとえば「RPAツールを導入したが、実際の削減時間は月に数時間しかなかった」「月額費用に対して効果が不十分だった」といった事例は珍しくありません。

事前に「どの業務で何時間削減できるのか」「コスト削減にどの程度寄与するのか」を定量的にシミュレーションし、導入後にはその実績と乖離がないかを検証するプロセスを組み込みましょう。

また、数値での効果検証だけでなく、「社員の満足度が上がった」「問い合わせ対応の質が向上した」など、定性的な効果も見逃さず記録することが重要です。これにより、他部署への展開や経営層への説明の材料として活用しやすくなります。

業務自動化に役立つツール9選

ここからは業務自動化に役立つツールをピックアップして

の3つのカテゴリに分けて紹介していきます。

RPAツール3選

1. WinActor

WinActor

引用:WinActor

WinActorは、NTTの研究所で生まれた純国産RPAツールです。人の手で行われる Windows PC での業務の手順を「シナリオ」として記憶して、同じ操作を何回でも繰り返し実行することができます。全国にある販売代理店が、業務コンサルから導入支援、シナリオ作成支援等、多種多様なサービス・サポートに対応してくれます。PC1台でのスモールスタートから、大規模導入まで幅広く対応してくれるところも特徴です。

WinActorの特徴
  • NTTの研究所で生まれた純国産RPAツール
  • 全国にある販売代理店が多種多様なサービス・サポートに対応
  • PC1台でのスモールスタートから、大規模導入まで幅広く対応

サービスサイトURL

2. Automation Anywhere

引用:Automation Anywhere

Automation Anywhereは、単純な反復作業を自動化してくれるRPAツールです。例えば、給与計算・見積作成・経費申請・顧客管理・在庫管理・お問い合わせ対応などの業務の中でも単純で反復的な作業をAIやロボットが代わりに行なってくれます。クラウド型ツールですが、コンプライアンスを実現するために、厳格にデータは暗号化されるため、セキュリティ面も安心です。

Automation Anywhereの特徴
  • 単純作業をAIやロボットで自動化
  • クラウド環境で、いつでも誰でもロボットを作成可能
  • 安心のセキュリティ

サービスサイトURL

3. RoboTANGO

引用:RoboTANGO

RoboTANGOは、繰り返し発生するPCの定型業務を自動化できるRPAツールです。Excelやシステムへの入力・更新作業、データの加工や集計作業など、これまで手作業でおこなっていた作業を自動化できます。1つのライセンスを複数のPCで共有でき、低価格で利用できるため、スモールスタートが可能です。導入前から充実したサポート体制で、初めてツールを導入検討している方でも安心です。

RoboTANGOの特徴
  • 低価格でスモールスタートが可能
  • 導入前から手厚いフォローでサポート体制◎
  • 初心者にもやさしいRPAツール

サービスサイトURL

AI-OCRツール3選

1. eas(イース)

eas

引用:eas

eas(イース)は、あらゆる書類を安全かつ高精度にデータ化してくれるツールです。厳格なセキュリティーのAWSが採用されており、セキュリティ体制も安心です。自分でツールを使用し、デジタル化するコースもあれば、原本を送ってeas側でデータ化してくれるコース、書類のデータ化業務をまるごと委託するコースなど、運用方針に合わせて選ぶことができます。

easの特徴
  • クラウドオペレーターで複雑な書類も早く正確にデータ化
  • 99.98%の高精度なデータ化
  • 安全にデータ化できる万全のセキュリティ体制

サービスサイトURL

2. AnyForm OCR

AnyForm OCR

引用:AnyForm OCR

AnyForm OCRは、入力処理の90%削減可能な帳票データ化ソフトです。認識精度が高く、特許技術「WOCR」が搭載されています。誰でも運用できるノンプログラミングの帳票設計が特徴で、従来OCRでは複雑だった作業も簡単に作業できるようになっています。

AnyForm OCRの特徴
  • 誰でもできる帳票設計
  • 現場で使える豊富な機能
  • 簡単な連携設定

サービスサイトURL

3. FROG AI-OCR

引用:FROG AI-OCR

FROG AI-OCRは、明治~昭和初期までの複雑な資料のテキスト化も可能な高精度なAI-OCRツールです。近代文字を高精度で読み取れるだけでなく、現代文字のテキスト化性能も、継続的な改善を続けており、一般的なOCRツールを上回る精度を達成しています。30枚分を無料で試せる無料デモアカウントも提供されているので、まずはどの程度の精度で読み取れるのか試してみるとよいでしょう。

FROG AI-OCRの特徴
  • 近代文字から現代文字まで高精度で読み取れる
  • 30枚分を無料で試せるデモアカウントあり
  • 本・雑誌などの書籍、多段組や複雑なレイアウトにも対応

サービスサイトURL

AI議事録ツール3選

1. スマート書記

スマート書記サービスサイトイメージ

引用:スマート書記

スマート書記使えば使うほどAIの精度が上がるAI議事録ツールです。複雑な設定や用語登録を行わなくても、今まで通り議事録を作成するだけで、各社に最適化された高精度の文字起こしが可能です。

この高精度の文字起こしにより、自動要約や要点抽出が可能なスマート書記の機能「AIアシスト」の精度も向上し、議事録やドキュメント作成にかかる時間を大幅に削減することができます。またこれらはAIに学習させることなくAI精度を向上させる特許取得済の独自アルゴリズムを活用しているためセキュリティ面でも安心してご利用できます。

スマート書記の特徴
  • 機密情報を学習させることなく、使えば使うほど各社に最適された高精度の文字起こしを提供
  • 様々な議事録・ドキュメントの作成時間を削減できるように複数のAI出力形式に対応
  • 累計6,000社以上の利用社数。大手企業から自治体まで様々な組織で利用されている信頼性の高いセキュリティ

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2. AI GIJIROKU

AIGIJIROKUサービスサイトイメージ

引用:AI GIJIROKU

AI GIJIROKUは、導入企業数9,000社を突破している文字起こしツールです。こちらも文字起こしを活用して議事録作成の工数削減を目的としています。

30ヶ国語に対応したリアルタイム翻訳の機能もあり、海外の方もいる会議などで会話内容の理解を促進するために利用できます。

AI GIJIROKUの特徴
  • Zoomを連携するだけで発言を字幕表示
  • 音声認識精度99.8%
  • リアルタイム翻訳30か国語対応

サービスサイトURL

3. Rimo Voice

firstview-rimovoice

引用:Rimo Voice

Rimo Voiceは、日本語に特化した文字起こしエンジンを採用している文字起こしツールです。1時間の音声を5分で文字起こしできます。音声や動画記録から文字起こししたい方におすすめです。

ICレコーダーの録音データやWeb会議の録画データを読み込ませて文字起こしできるだけでなく、会議中の音声をリアルタイムで文字起こしすることもできます。

Rimo Voiceの特徴
  • 日本語に特化したAIで自動文字起こし
  • テキストと音声がシンクするスライダー機能
  • AIが10秒で要約も作成

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業務自動化できるツールを導入した成功事例

最後に、AI議事録ツール「スマート書記」を導入して実際に業務自動化に成功した事例についてご紹介します。今回ご紹介する事例では、会議の記録を自動化し、議事の抜け漏れ確認工数を削減した事例です。

記録の保存が自動化され、議論内容のまとめと今後のアクションの検討に専念できるように

パワトレインシステム開発部開発1室 星野様

実際にご導入いただき、4ヶ月というところですが、現在実感できている効果を教えてください。

スマート書記を使うことで、会議の「記録を残す部分(録音、文字起こし)」を自動化することができるようになり、議論の結果をまとめて次のアクションを考えることに専念できるようになったことが一番の嬉しさです。

ありがとうございます。星野さまの現在のスマート書記のご利用方法について、具体的にお伺いしてもよろしいでしょうか?

基本的には私が出席する会議ではスマート書記を利用するようにしています。その中で主催する会議については、会議に注力できるように録音や文字起こし機能をしっかり使うイメージです。私が主催でない会議については、後から音声を聞き直して確認する使い方が主になります。

実際ご利用されてみて、「スマート書記はこんな企業に合っていそう!」というのがあればぜひ教えてください。

我々の使い方を踏まえてスマート書記を一言でいうと、「会議内容を文字と音声で可視化するサービス」という感じです。スマート書記は記録としての文字起こしだけではなく、録音した音声でも会議内容を確認することができます。その結果、議論をまとめて次のアクションに繋げるための議事録が作成しやすくなっています。企業規模や業種を問わず、会議の議論をまとめて次のアクションに繋げていくことが大事なので、幅広く活用できるサービスだと思います。

引用記事:会議の記録を自動化し、議事の抜け漏れ確認工数を削減!議論内容のまとめに専念できる環境を実現した方法とは?

まとめ|業務自動化はツールの導入が鍵

業務自動化を成功させるためには、「どの業務を」「どのツールで」自動化するのかを明確にし、目的に合致した選定と運用が不可欠です。単に話題のツールを導入するだけでは効果は限定的で、むしろ現場の混乱を招くことすらあります。だからこそ、自社の業務プロセスをしっかりと可視化し、課題を洗い出した上で、最適なツールを導入することが重要です。

さらに、導入後の運用・定着フェーズにおいても、社内での教育やフィードバック体制を整えることで、自動化の効果は持続的に拡大していきます。特に、RPAやAI-OCR、AI議事録ツールなどは、比較的短期間で成果が見えやすい一方で、継続的な改善が求められる分野でもあります。

また、業務自動化は単なるコスト削減の手段ではなく、企業の成長戦略の一環としても捉えるべきです。人的リソースを単純作業から解放することで、創造的な業務に集中できる環境が整い、結果として社員のモチベーションや企業全体の競争力の向上に繋がります。

業務自動化の第一歩として、まずは現場の声を拾い上げ、小さな業務から段階的に自動化を進める「スモールスタート」からはじめ、その成功体験ひとつひとつを組織全体の改革へと繋げていきましょう。

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スマート書記は議事録作成時間を最大90%以上削減できるAI議事録サービスです。議事録作成時間の削減だけではなく「会議の要点の音声をピンポイントで共有」することもでき、業界問わず大手企業、自治体など様々な累計5,000社以上で利用されています。

DXを始めたいけど、何から着手すればいいか分からない方は、ぜひAI議事録サービス「スマート書記」をお試しください。

この記事を書いた人
スマート書記ブログチーム

エピックベース株式会社が運営する「スマート書記」のブログ編集部です。議事録や文字起こし、生成AIやAIエージェントに関するノウハウなど、企業が業務効率化を実現し、さらにはDXを推進するための情報をお届けします。

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