DX(デジタルトランスフォーメーション)の定義とは?抑えておきたい3つの用語も解説
「DX(デジタルトランスフォーメーション)って言葉は知っているけど、結局どんな言葉なのかあまりイメージができない」「自分がやっている活動はDXに該当するのか」「DXとはなにかをもっと深く理解したい」とお悩みの方も多いと思います。
DX(デジタルトランスフォーメーション)は概念を表している言葉のため、DXという言葉を理解するためには自分なりの解釈が必要になってきます。本記事では正確なDXの定義と、DXの定義を理解するために抑えておきたい他の用語の定義についてまとめています。
DXの定義について深く知りたいという方はぜひご覧ください。
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DX(デジタルトランスフォーメーション)の定義とは
日本におけるDXの定義
日本ではDX(デジタルトランスフォーメーション)を経済産業省と総務省がそれぞれ以下のように定義しています。
DXの定義は次のとおりとする。「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」
出典:経済産業省『デジタルガバナンス・コード3.0』p.2
企業が外部エコシステム(顧客、市場)の劇的な変化に対応しつつ、内部エコシステム(組織、文化、従業員)の変革を牽引しながら、第3のプラットフォーム(クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術)を利用して、新しい製品やサービス、新しいビジネスモデルを通して、ネットとリアルの両面での顧客エクスペリエンスの変革を図ることで価値を創出し、競争上の優位性を確立すること
出典:総務省『デジタル・トランスフォーメーションの定義』
ともに普段見慣れない言葉が使用されていて、少し分かりづらいと感じる部分もあるかもしれません。シンプルにまとめると以下のようなイメージです。
1. 市場のお客様が変化しているので
インターネットの普及により今までとは異なる形で情報が伝わるようになったり、新しい技術やビジネスモデルを持つ企業が次々と登場するようになった
2. 社内を変革しつつ
業務プロセスを見直したり、従業員が新しい仕組みに対して前向きに取り組むための文化を醸成する
3. さらに変化に対応するためにデータやデジタル技術を活用して
クラウド、ビッグデータ、SNS、AIなどの技術やデータを活用する
4. 新しいサービスやビジネスモデルを作るという変革を行って
5. 顧客に良いサービスだと認識して思ってもらい
6. ビジネスで生き残ろう
重要なのは「変革して競争上の優位性を確立すること(ビジネスで生き残ること)」がゴールとなっているため、「ITサービスを導入する」といったIT化とは異なっています。DXとIT化の違いについて詳しく知りたい方はぜひ以下の記事もご覧ください。
そもそもDXという言葉が生まれた背景とは?
そもそもなぜDX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉が生まれたのでしょうか。DXという言葉を最初に提唱したのは当時スウェーデンのウメオ大学の教授であったエリックストルターマン氏で、「Information Technology and the Good Life」という論文の中で表現されていました。この論文を和訳したデジタルトランスフォーメーション研究所によると以下の通りです。
デジタルトランスフォーメーションとは人々の生活のあらゆる側面に、デジタル技術が引き起こしたり、影響を与える変化のことである。
出典:デジタルトランスフォーメーション研究所『デジタルトランスフォーメーション(DX)とは? 〜提唱者の定義を振り返る〜』
この最初の表現から数年後にIDC Japanが日本企業のDXの調査結果を発表し、またDXに関する本が出版されたりしたり、先ほど説明した経済産業省が日本としてのDXの言葉を定義することで、急速にDXという言葉が使用されるようになりました。
DXの定義を理解するためにも抑えておきたい3つの用語
1. エコシステム
エコシステムとは、もともと「生態系」を示す生物学の専門用語です。生物とその生息環境が互いに影響し合いながら存在する「つながり」の集合体のことを指しています。
たとえば「森のエコシステム」であれば、
- 木や草、動物、微生物、昆虫など様々な生物が暮らしている。
- 木は二酸化炭素を吸収し酸素を放出して空気をきれいにする。
- 動物は木の実を食べたり、他の生物と共存しながら食物連鎖の中で役割を果たす。
- 微生物は枯れ葉や死んだ動植物を分解し、栄養を再循環させることで森全体の健康を支えている。
のような形でそれぞれがつながっている状態をイメージすると分かりやすいかと思います。
つまり先ほどお伝えした総務省の『デジタル・トランスフォーメーションの定義』で表現されていた外部エコシステムとは、社外におけるつながりを指しています。企業は単独で活動をするものではなく、パートナー企業や顧客、業界団体など様々なプレイヤーがいて成り立つものなので、これらが急速に変化しているためDXが必要になっています。
また内部エコシステムとは社内におけるつながりを指しています。部門や、業務プロセス、技術、企業文化など、つながりは人のみを指しているものではなく、企業内部全てのつながりを指しています。DXを進めるためにもまずはこの内部エコシステムの変革が必要になっています。
2. Digitization(デジタイゼーション)
DXの定義ではDigitization(デジタイゼーション)という言葉は使用されていませんでしたが、同じような「デジタル化」に含まれる概念として解説します。
国際開発企画(UNDP)では以下のように定義しています。
既存の紙のプロセスを自動化するなど、物質的な情報をデジタル形式に変換すること
出典:総務省『デジタル・トランスフォーメーションの定義』
つまり紙の文書、写真、音声、映像など、アナログな情報をコンピュータが扱えるデジタルデータに変換することを指しています。
例えば紙の書類のデジタル化でいえば、企業が保管している紙の契約書、請求書、報告書などをスキャナーで読み取り、PDFや画像データに変換する。顧客データのデジタル化でいえば、紙ベースの顧客リストやアンケート結果をデジタルデータベースに入力し、CRM(顧客関係管理システム)で一元管理するなどがデジタイゼーションといえるでしょう。
アナログのやり方をデジタル化するために、何かしらのソフトやアプリ、クラウドを導入することがデジタイゼーションであるとイメージすれば分かりやすいと思います。
3. Digitalization(デジタライゼーション)
Digitalization(デジタライゼーション)の言葉もDXの定義では使用されていませんでしたが、こちらも同じような「デジタル化」に含まれる概念として解説します。
国際開発企画(UNDP)では以下のように定義しています。
組織のビジネスモデル全体を一新し、クライアントやパートナーに対してサービスを提供するより良い方法を構築すること
出典:総務省『デジタル・トランスフォーメーションの定義』
つまり既存の業務プロセスをデジタル化して、新たな価値を届けることを指しています。さきほどのデジタイゼーションはあくまでも「紙の書類」や「顧客管理」など1つの焦点をデジタル化するという意味でしたが、今回のデジタライゼーションという言葉は1つの焦点ではなく「プロセス」となっています。
DXが日本で求められるようになった3つの背景
DXの定義を理解したところで、そもそもなぜここまでDXが求められるようになったのでしょうか。さまざまな要因がありますが、ここでは代表的な3つの背景について解説します
1. 業界や社会全体を巻き込んだ変化が起きる(デジタル・ディスラプション)
従来のやり方に固執していると、新しいデジタル企業が市場に参入した結果、既存企業が市場シェアを奪われる事例が出ています。これをデジタル・ディスラプション(デジタルによる破壊)といい、この動きが加速しています。実際に以下のような事例が確認できます。
文教堂グループホールディングス(日本)
- 1898年に創業し、全国に161店(2018年8月時点)を展開する中規模の書店チェーン
- 2019年6月、私的整理の一種である事業再生ADRの利用を申請し、受理されたと発表
- インターネット通販やデジタルコンテンツの普及により書籍の市場規模は縮小傾向が続いていたため
- インターネット通販やデジタルコンテンツ配信は、デジタルデータを用いたDX(課題の発見、課題を数値化・指標化して「見える化」、「短サイクルの効果検証」を繰り返して対策を絞る、更なる改善のため業務プロセスを幅広く見直し「全体最適化」を図る)が可能であり、リアル店舗における書籍販売に競争力で勝ることが要因
イエローキャブ(米国)
- 米サンフランシスコ最大のタクシー会社。2016年1月、連邦破産法第11条の適用を申請
- UberやLyftなどの新興のアプリベースの相乗りサービス会社との競争や、それらの企業にドライバーを引き抜かれたため
- Uberは、タクシーのようなサービスを個人で行えるようにすると共に、現地の言語を使用できない旅行者でも使用ができるように自動支払い機能を導入(一言も話さずに利用できるようになる)するDX(新しいビジネスモデルの創造)によって競争力を得た
出典:総務省『デジタル・トランスフォーメーションによる経済へのインパクトに関する調査研究の請負』p.7
2. 社会課題への対応
少子高齢化による労働力不足、環境問題など、社会課題は複雑化・深刻化の一途をたどっています。これらの課題を乗り越えつつ成長を続けるためには、デジタル技術を活用しつつ、生産性やイノベーションを高める必要があります。
特に少子高齢化については統計上2065年の日本では「約2.6人に1人が65歳以上、約3.9人に1人が75歳以上」になると見込まれています。
出典:内閣府『高齢化の現状と将来像|令和2年版高齢社会白書(全体版)』
3. 消費者ニーズの変化・多様化
スマートフォンやSNSの普及によって、消費者はいつでもどこでもオンラインで情報を得られるようになりました。消費者はそこで得られる多くの情報をもとに、より細分化されたニーズを持ち、多様な行動を取るようになっています。
つまり企業と消費者の接点はリアル店舗だけではなくなり、ECサイトやSNSなど、さまざまな側面から情報収集できるようになったため、これらの変化に対応していく必要があります。
自社のDXはどこまで進んでいるか確かめるDX推進指標
DXの定義を理解したあと、結局自社はどこまでDXを推進できているのか?と気になる方もいると思います。そこで経営者や社内の関係者がDXの現状や課題に対する認識を共有し、アクションにつなげるためのDX推進指標というものがあります。
このDX推進指標は今の日本企業が抱えるDXの課題を指標項目としており
- 経営者や社内関係者が議論をしながら自社の現状や課題を理解する
- 現状や課題からとるべきアクションの共通認識を持つ
- そもそも気づきを得る機会を提供する
ためのツールとなっています。
詳しく知りたい方は以下のサイトより実際にやってみましょう。
参考:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構『DX推進指標のご案内 | 社会・産業のデジタル変革』
まとめ|DXはデジタル技術を活用して企業価値を向上させ競争上の優位性を確立すること
DXの定義は経済産業省や総務省、それぞれが定めた定義があります。ニュアンスなど細かな部分でDXの定義は違ってきていますが、重要なのは「デジタル技術によって企業を変革し、その結果企業価値を向上させて競争上の優位性を確立すること(ビジネスで生き残ること)」です。
今後のためにもぜひDXの定義を理解しましょう。
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