DX(デジタルトランスフォーメーション)とIT化の違いとは?3つのポイントで解説
「自社でIT化を進めているけど、これってDXと何が違うの?」「DX(デジタルトランスフォーメーション)とIT化の違いが正直分からない」「本格的にDXを進めていくためにも社内にIT化との違いを説明したいが上手く伝えられない」とDXとIT化の違いについてお悩みの方も多いと思います。
DXとIT化にはそれぞれの目的など、大きく3つの違いについて分けることができます。本記事ではそもそもDXとは?IT化とは?の解説から、それぞれの違いについて解説しています。
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DX(デジタルトランスフォーメーション)とは
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは「デジタル技術を活用して、ビジネスやサービス、組織の在り方を根本から変えること」です。
経済産業省が企業のDXに関する取り組みを促すために策定した「デジタルガバナンス・コード」では以下のようにDXが定義されています。
DXの定義は次のとおりとする。「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」
出典:経済産業省『デジタルガバナンス・コード3.0』p.2
DXの目的は企業価値を向上させ競争上の優位性を確立すること
DXの目的は企業価値を向上させ、競争上の優位性を確立することです。そもそもなぜDXを行う必要があるのか?については以下の3つの背景があります。
1. 業界や社会全体を巻き込んだ変化が起きる(デジタル・ディスラプション)
従来のやり方に固執していると、新しいデジタル企業が市場に参入した結果、既存企業が市場シェアを奪われる事例が出ています。これをデジタル・ディスラプション(デジタルによる破壊)といい、この動きが加速しています。実際に以下のような事例が確認できます。
文教堂グループホールディングス(日本)
- 1898年に創業し、全国に161店(2018年8月時点)を展開する中規模の書店チェーン
- 2019年6月、私的整理の一種である事業再生ADRの利用を申請し、受理されたと発表
- インターネット通販やデジタルコンテンツの普及により書籍の市場規模は縮小傾向が続いていたため
- インターネット通販やデジタルコンテンツ配信は、デジタルデータを用いたDX(課題の発見、課題を数値化・指標化して「見える化」、「短サイクルの効果検証」を繰り返して対策を絞る、更なる改善のため業務プロセスを幅広く見直し「全体最適化」を図る)が可能であり、リアル店舗における書籍販売に競争力で勝ることが要因
イエローキャブ(米国)
- 米サンフランシスコ最大のタクシー会社。2016年1月、連邦破産法第11条の適用を申請
- UberやLyftなどの新興のアプリベースの相乗りサービス会社との競争や、それらの企業にドライバーを引き抜かれたため
- Uberは、タクシーのようなサービスを個人で行えるようにすると共に、現地の言語を使用できない旅行者でも使用ができるように自動支払い機能を導入(一言も話さずに利用できるようになる)するDX(新しいビジネスモデルの創造)によって競争力を得た
出典:総務省『デジタル・トランスフォーメーションによる経済へのインパクトに関する調査研究の請負』p.7
2. 社会課題への対応
少子高齢化による労働力不足、環境問題など、社会課題は複雑化・深刻化の一途をたどっています。これらの課題を乗り越えつつ成長を続けるためには、デジタル技術を活用しつつ、生産性やイノベーションを高める必要があります。
特に少子高齢化については統計上2065年の日本では「約2.6人に1人が65歳以上、約3.9人に1人が75歳以上」になると見込まれています。
出典:内閣府『高齢化の現状と将来像|令和2年版高齢社会白書(全体版)』
3. 消費者ニーズの変化・多様化
スマートフォンやSNSの普及によって、消費者はいつでもどこでもオンラインで情報を得られるようになりました。消費者はそこで得られる多くの情報をもとに、より細分化されたニーズを持ち、多様な行動を取るようになっています。
つまり企業と消費者の接点はリアル店舗だけではなくなり、ECサイトやSNSなど、さまざまな側面から情報収集できるようになったため、これらの変化に対応していく必要があります。
IT化とは
IT(Information Technology)とは情報技術のことであり、IT化は企業や組織が従来アナログで行っていた業務をデジタルツールやソフトウェアを導入して効率化・自動化する取り組みです。
IT化についてはDXのように経済産業省が定めた定義はありませんが、
- 紙の書類を電子ファイルに変換して管理する
- 勤怠管理を手動ではなくシステムを導入して事務作業の負担を軽減したりする
など、今まで手作業に頼っていたプロセスをITを活用して効率化していきます。同じような言葉として「デジタル化」という言葉がありますが、言葉のニュアンスなどで若干の違いはありますが、ほぼ同じ意味として使われることが多いです。
最近はIT化の代わりに「デジタル化」という言葉が使われることが多くなりましたが、IT化とデジタル化もほぼ同じ意味と考えて良いと思います。イメージとしては、デジタル化の方が、意味的な範囲が少し広いかなという程度です。
出典:経済産業省 中小企業庁 『「デジタル・トランスフォーメーション」DXとは何か? IT化とはどこが違うのか?』
IT化の目的はアナログの業務をデジタル化して業務効率を向上させること
IT化の目的は「業務効率を向上させること」です。アナログで行っていた手作業をIT化することで人手によるミスを減らし、業務をスピードアップすることでコスト削減や業務効率を向上させることが狙いです。
IT化は、コンピューターが普及し始めた1970年代から80年代にかけて、まずはオフィスのバックオフィス業務や工場の生産管理などで徐々に進んできました。その後インターネットが登場し、電子メールやWebサービスなどがビジネスに導入されるにつれて、IT化の範囲は大きく拡大しました。いまでは多くの企業がクラウドやモバイルデバイスを使って業務を行うなど、日常業務にITが深く溶け込んでいます。
DXとIT化の違いが分かる3つのポイント
似たような意味でよく混同されるDXとIT化の違いについてまとめています。主に以下の3つのポイントでDXとIT化は異なっています。
1. 目的の違い
DXの目的は「企業価値を向上させ、競争上の優位性を確立すること」であり、IT化の目的は「アナログの業務をデジタル化して業務効率を向上させること」です。もっと簡単にいうとDXは「企業価値を向上させること」「業務効率を向上させること」という形になります。
DX(企業価値を向上させる)を実現するための手段の一つとして、IT化(業務効率を向上させる)があるとイメージすると分かりやすいでしょう。
出典:経済産業省 中小企業庁 『「デジタル・トランスフォーメーション」DXとは何か? IT化とはどこが違うのか?』
2. ビジネスモデルへの影響度の違い
DXは、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するため、ときには既存ビジネス以外の領域にも影響します。
それに対して、IT化は既存のビジネスモデルの中で行われている業務をどう効率化していくかという手段にとどまります。基本的には現在のビジネスの延長線上の課題を解決するというイメージです。
3. 経営戦略との結び付きが強いかどうか
DXは「企業価値を向上させる」ためにもビジネスモデルや企業文化などの変革に取り組む必要があります。ビジネスモデルや企業文化など企業にとってもインパクトの大きい領域になるため、経営陣のコミットメントが必要不可欠となり、深く経営に関係してきます。
それに対してIT化は現場部門の課題解決や業務効率化といった要素が強く、必ずしも経営陣がコミットメントする必要はありません。
もちろん先程のDXとIT化の目的の違いで説明した「DX(企業価値を向上させる)を実現するための手段の一つとして、IT化(業務効率を向上させる)がある」のように経営陣がDXを実現するためにもまずはIT化を進めていくこともあり、その過程でIT化に対して経営陣がコミットするケースは存在します。
まとめ|DXは目的、その手段にIT化がある
DXとはなにか?IT化とはなにかについて解説しました。DX化とは「企業価値を向上させ、競争上の優位性を確立すること」でIT化とは「業務効率を向上させること」です。
つまりDX(企業価値を向上させ、競争上の優位性を確立すること)を実現するためにIT化(業務効率を向上させること)という手段があります。
またDXは既存ビジネス以外の領域にも影響があるが、IT化は既存のビジネスかつ業務の課題を解決するという違い、DXは経営戦略に紐づくが、IT化は必ずしも経営戦略とは紐づかない違いがあることについて解説しました。
企業の目的を達成するためにもDXとIT化の違いを理解して取り組みを進めるようにしましょう。
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