DX

【徹底解説】RPAとDXの違いとは?関係性と活用ステップ、成功事例を紹介

この記事でわかること

  • RPAとDXの定義
  • DX推進におけるRPA活用ステップ
  • RPAを活用したDX推進の成功事例

企業のデジタル変革を語るとき、必ず出てくるのが「RPA」と「DX」です。RPAはロボットによる業務自動化、DXはデジタル技術でビジネスや組織を変革する取り組みを指します。どちらも効率化とセットで語られるため混同されがちですが、実は目的も範囲も全く異なります。

多くの企業では、「RPAを入れた=DXが進んだ」と誤解しがちです。確かにRPAは即効性がありますが、全社的な変革につながらず部分最適に終わるリスクがあります。さらに業務内容が整理されていないと自動化対象を誤り、逆に混乱を招くといったことも生じえます。結果として「自動化疲れ」に陥り、DXの本質から遠ざかるケースも見られます。

本記事では、RPAとDXの正しい定義や関係を整理し、DX推進におけるRPA活用のステップを紹介します。さらにRPAだけではDXにならない理由や、成功事例も解説します。これを読めば「違いが分からない」「どこから始めればいいか分からない」という悩みを解消し、成果につながるDXの一歩を踏み出せます。

また、業務効率化にお悩みの方は、ぜひ議事録作成時間を削減できるスマート書記をお試しください。スマート書記は使えば使うほどAIの精度が上がる特許取得済の独自アルゴリズムを活用し、機密情報を学習させることなく、議事録作成時間を最大90%削減することが可能です。

スマート書記を14日間無料で試す or サービス資料をみる

スマート書記がわかる人気3点セット資料(サービス概要・導入事例・機能詳細)をみる

RPAとDXの定義|似ているようで全く違う概念

RPAとDXはどちらも「業務効率化」「生産性向上」といった文脈で語られることが多いため、同じ意味だと誤解されがちです。しかし、実際には両者はまったく異なる概念です。まずはそれぞれの定義を明確にして、混同を解消しましょう。

RPAの定義

RPA(Robotic Process Automation)とは、これまで人間がパソコン上で行っていた定型的な業務をソフトウェアロボットに自動実行させる技術です。具体的には、データ入力、集計、帳票作成、メール送信などのルーチンワークを自動化することで、人間の作業時間を削減し、ミスを防ぎます。

RPAの特徴は「ルールベースで再現可能な業務」に特化している点です。たとえば、毎日同じフォーマットで届く請求書のデータを会計システムに転記する、顧客リストを抽出してメールを送るといった作業はRPAが得意とする分野です。一方で、状況判断や意思決定が必要な業務はRPAだけでは対応が難しい場合があります。

RPAについては下記記事でも詳しく解説していますので、掘り下げて知りたい方はぜひ参考にご覧ください。

参考記事:【完全版】RPAとは?仕組み・メリット・導入事例をわかりやすく解説

DXの定義

DX(Digital Transformation)とは、デジタル技術を活用してビジネスモデルや組織文化、業務プロセスそのものを変革し、企業価値や競争力を高める取り組みを指します。単なるITツール導入にとどまらず、経営戦略レベルでの変革が求められる点が特徴です。

たとえば、アナログで行っていた営業プロセスをデジタル化し、取得したデータを分析して新しいビジネスモデルを創出する、顧客体験を再設計して収益構造を変えるといった取り組みがDXにあたります。

つまり、DXは企業全体を巻き込んだ「デジタル時代への適応戦略」であり、RPAを含むさまざまな技術がDX実現のための手段として活用されます。

RPAが「業務の効率化」にフォーカスしたピンポイントな施策であるのに対し、DXは「ビジネス変革」という広いゴールを持つ包括的な概念といえます。

RPAはDXの一部?両者の関係を整理

RPAとDXはしばしば同じ文脈で語られますが、両者の関係性を理解することは非常に重要です。RPAを導入しただけでDXが達成できるわけではありませんが、DX推進の重要なピースとなることは間違いありません。

RPAは「手段」、DXは「目的」

DXの本質は、デジタル技術を活用して企業の価値創造や競争力を高めることです。言い換えればDXは「目的」です。一方、RPAはその目的を達成するための「手段」です。

たとえば、営業部門で毎日発生する受注データ入力をRPAで自動化すると、担当者は単純作業から解放され、顧客対応や新規提案といった付加価値の高い業務に集中できます。これは業務効率化という一歩にすぎませんが、その結果として生まれる余力を使い、顧客体験を改善したり、新しいサービスを開発する取り組みにつなげていくことでDXが進んでいきます。

補完関係と相乗効果

RPAとDXは相互に補完し合う関係です。RPAを活用することで業務の可視化と標準化が進み、DXに必要なデータ基盤が整います。また、DXによる新しい業務プロセス設計の中で、RPAが自動化の担い手として活躍することも少なくありません。

さらに、AIや機械学習とRPAを組み合わせることで、単なる定型業務の自動化を超えて、より高度な意思決定のサポートや予測分析が可能になります。これにより、DXの取り組み全体が加速し、企業全体の変革スピードを高めることができます。

重要なのは、RPA導入をゴールとするのではなく、それを起点にどのように全社的な変革へと発展させるかを戦略的に考えることです。

DX推進におけるRPA活用3ステップ

DXを推進するうえでRPAをどう活用すべきか、具体的なステップを整理しておきましょう。RPAは単なる自動化ツールではなく、DXの入り口として有効に機能します。

STEP1|業務プロセスの見える化

まず取り組むべきは業務プロセスの可視化です。現場でどんな作業が行われているのか、どこにムダや属人化があるのかを明確にしなければ、効果的な自動化はできません。プロセスマッピングや業務ヒアリングを行い、定型的かつルールベースで処理できる業務を洗い出します。

STEP2|小規模自動化の実証実験

次に、小規模な業務からRPAを導入して実証実験(PoC)を行います。例えば、毎日発生する請求データの転記や、定型メール送信など負荷が高いが単純な作業を選びます。これにより、現場の従業員がRPAの効果を実感し、導入への抵抗感を減らせます。また、運用上の課題やエラー発生時の対応フローもこの段階で検証しておくと、スムーズな全社展開につながります。

STEP3|データ活用・意思決定の自動化

RPA導入で得られた時間的余裕やデータを活用し、より高度なDX施策に進みます。BIツールやAI分析を組み合わせ、リアルタイムで経営指標を可視化したり、将来予測に基づいた意思決定を自動化したりすることが可能です。ここまで来ると、単なる業務効率化ではなく、企業の意思決定スピードや競争力そのものが向上します。

この3ステップを段階的に実行することで、RPAは単発的なコスト削減施策ではなく、DXを推進する戦略的なレバーとして機能するようになります。

RPAだけではDXにならない理由

RPAは業務効率化に大きな効果を発揮しますが、それだけではDXのゴールには到達できません。ここでは、RPA導入だけでは不十分な理由を整理します。

部分最適で終わるリスク

RPAは基本的に「今ある業務をそのまま自動化する」ためのツールです。つまり、非効率な業務プロセスが残ったまま自動化すると、単にその非効率さを高速で繰り返すだけになってしまいます。結果として、全体の業務フローや顧客体験は改善されず、部分的なコスト削減にとどまるリスクがあります。

また、現場単位でバラバラにRPAを導入すると、部門ごとに異なるロボットが乱立し、管理やメンテナンスの負担が増加することもあります。これでは長期的に持続可能な業務改革とは言えません。

全社的変革の必要性

DXの本質は企業全体のビジネスモデルや価値提供の仕組みを変革することにあります。RPA導入はその一部に過ぎず、データ活用、システム統合、組織文化の変革、人材育成など、包括的な取り組みが不可欠です。

例えば、RPAで請求書処理を効率化しても、経営層がリアルタイムでキャッシュフローを把握し、意思決定に活かせなければ真のDXとは言えません。業務効率化を出発点としつつ、データドリブンな経営、顧客体験の再設計、新規事業創出といったより高次な目標へと進化させる必要があります。

結局のところ、RPAはDXへの「入り口」であり、「ゴール」ではありません。部分的な成功に満足せず、全社的な視点で変革を進めることが、真のDX実現のカギとなります。

成功事例:RPAを活用したDX推進のケーススタディ

RPAはDXの入り口として機能するだけでなく、実際に企業の競争力向上に寄与した事例も多数報告されています。ここでは、RPAがどのようにDX推進に活かされているのかを企業別に詳しく紹介します。

日本通運|Nippon Express

日本通運は、物流業務の効率化と働き方改革を推進する一環としてRPAを導入しました。2021年3月までに国内拠点で 年間728,721時間の業務時間削減を達成したと公式に発表しています。これは単なる数字の削減にとどまらず、現場社員が残業から解放され、より付加価値の高い業務に集中できる環境を整えることにつながりました。

また、RPA導入の過程でプロセスの標準化や業務の可視化が進み、属人化していた作業が組織全体で共有可能な形に変わった点も大きな成果です。 

さらに、UiPathとの取り組みでは 年間341,567時間 の削減を報告し、2021年度末までに 100万時間削減 を目標としています。このプロジェクトでは、全国の事務系社員約18,000人を対象に「誰でも使えるRPA」を意識した教育・浸透施策も実施されました。

これにより、単なるシステム導入にとどまらず「社員が自ら改善に参加する文化」を醸成することにも成功しています。 

参考記事:日通、RPA導入の推進で労働時間を72万時間削減
     2021年度末までに自動化による100万時間削減を計画

三井住友フィナンシャルグループ|SMBCグループ

SMBCグループは金融業界の中でも早くからRPAを導入し、全社的に展開しています。その結果、これまでに 約600万時間弱 の業務時間削減を実現しました。対象となった業務は、事務処理、帳票作成、定型的なデータ入力など多岐にわたり、効率化の恩恵はバックオフィス業務からフロント業務にまで広がっています。

特筆すべきは、単なる自動化にとどまらず、ペーパーレス化や印刷量の半減 といったサステナブルな取り組みと連動している点です。さらに「市民開発(シチズンデベロップメント)」と呼ばれる、現場社員が自らRPAを開発して活用する体制を構築し、従業員一人ひとりがデジタル変革の担い手となる環境を整えています。

このようにRPAを全社的なDXの戦略に位置付けることで、単なる時間削減を超えた組織文化の変革を実現しています。

参考記事:RPAで約600万時間削減、印刷量半減。SMBCグループが本気で取り組む、生産性向上と業務効率化の極意。

まとめ|RPAはDXへの入り口、全体最適の視点が重要

RPAとDXは混同されがちですが、実際には「手段」と「目的」という明確な違いがあります。RPAはルールベースの業務を効率化するためのツールであり、DXは企業全体の価値創造プロセスを変革する取り組みです。

RPAはDX推進の重要な第一歩として有効です。業務プロセスの見える化、標準化、自動化を進めることで、データ活用や意思決定の迅速化に必要な基盤が整います。しかし、RPA導入だけで満足してしまうと部分最適にとどまり、DXの本質である全社的変革にはつながりません。

成功する企業は、RPAで得られた余力を戦略的に活かし、顧客体験の再設計、新しいビジネスモデルの創出、データドリブン経営への転換といった次のステップへと発展させています。つまり、RPAはゴールではなくスタート地点です。

この記事を参考に、自社のRPA活用状況を見直し、DXの全体像を描いたうえでどのようにステップアップするかを検討することが、持続的な競争優位につながります。

議事録のDXでお悩みなら「スマート書記」

スマート書記は議事録作成時間を最大90%以上削減できるAI議事録サービスです。議事録作成時間の削減だけではなく「会議の要点の音声をピンポイントで共有」することもでき、業界問わず大手企業、自治体など様々な累計5,000社以上で利用されています。

DXを始めたいけど、何から着手すればいいか分からない方は、ぜひAI議事録サービス「スマート書記」をお試しください。

この記事を書いた人
スマート書記ブログチーム

エピックベース株式会社が運営する「スマート書記」のブログ編集部です。議事録や文字起こし、生成AIやAIエージェントに関するノウハウなど、企業が業務効率化を実現し、さらにはDXを推進するための情報をお届けします。

よくある質問とその回答

Q. RPAを導入するだけでDXは達成できますか?

いいえ、RPA導入だけではDXは達成できません。RPAは定型業務の効率化に特化したツールであり、企業全体のビジネスモデルや顧客体験を変革するには不十分です。DXを実現するには、RPAで削減した工数や得られたデータを活用し、意思決定の高度化、新サービスの創出、組織文化の変革などへと発展させる必要があります。

Q. RPAと業務改革(BPR)の違いは?

BPR(Business Process Re-engineering)は、業務プロセスそのものを抜本的に見直し、再設計する取り組みです。一方、RPAは既存の業務プロセスを前提として、その一部を自動化します。したがって、RPAは「現状を前提とした効率化」、BPRは「ゼロベースで業務を再構築する変革」という違いがあります。理想的には、BPRでプロセスを最適化したうえでRPAを導入することで、最大の効果が得られます。

関連記事

14日間無料トライアル
または資料請求

料金や導入に関する疑問やご相談など
お気軽にお問い合わせください。

※トライアルは法人または団体として商用のご契約を検討いただける
お客様を対象としております