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DX推進とは?具体的な事例や進め方、おすすめのツールも解説

DX推進とは

DX推進とは企業にとって重要な活動です。ただし実際には「DXを推進したいけど、どのようにして進めればいいか分からない」「今対応しているIT化やAI活用とは具体的にどう違うのか」「事例を参考にしながら進めていきたい」と悩みを持つ方も多くいると思います。

そこで本記事ではDX推進の定義から、その必要性とDX推進のステップや必要な人材のタイプなどをご紹介していきます。DX推進にお悩みの方も、これからDX推進に取り組む方もぜひ参考に本記事をご覧ください。

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目次

DX推進とは

DX推進とは簡単にいうと企業が「データとデジタル技術を活用して、会社を変革し競争上の優位性を確立する」取り組みを進める活動を指しています。DX推進は単なるデジタルツールの導入にとどまらず、会社を変革していくことが重要になるため、組織の変革や既存サービスの変革、業務プロセスの変革など、その活動は多岐にわたります。

そもそもDXとは

DX推進を理解するためにも、そもそもDX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉がどういう意味かを整理していきましょう。DXという言葉を最初に提唱したのは当時スウェーデンのウメオ大学の教授であったエリックストルターマン氏です。エリックストルターマン氏の「Information Technology and the Good Life」という論文の中で表現されていました。そこから日本では2018年に経済産業省がDXレポートを発行したことがきっかけで、DXという言葉が浸透し始めました。

日本では経済産業省と総務省がそれぞれ以下のように定義しています。

DXの定義は次のとおりとする。「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」

出典:経済産業省『デジタルガバナンス・コード3.0』p.2

企業が外部エコシステム(顧客、市場)の劇的な変化に対応しつつ、内部エコシステム(組織、文化、従業員)の変革を牽引しながら、第3のプラットフォーム(クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術)を利用して、新しい製品やサービス、新しいビジネスモデルを通して、ネットとリアルの両面での顧客エクスペリエンスの変革を図ることで価値を創出し、競争上の優位性を確立すること

出典:総務省『デジタル・トランスフォーメーションの定義

つまりDXとは「データとデジタル技術を活用して、会社を変革し競争上の優位性を確立する」取り組みを指しています。重要なのは「データとデジタル技術を活用して」というポイントです。DXを推進していくと単にデジタルツールの導入で終わってしまったというケースも少なくありません。「データとデジタル技術を導入して」ではなく、企業がデータを活用できるようにしたり、活用できるように従業員に研修を実施したりなど、様々な活動が必要になってきます。

より詳しくDXの定義について知りたい方は以下の記事でご紹介していますので、あわせてご覧ください。

参考記事:DX(デジタルトランスフォーメーション)の定義とは?押さえておきたい3つの用語も解説

DXとIT化の違い

よく間違われるIT化との違いも整理しておきましょう。IT化の目的は「業務効率を向上させること」です。アナログで行っていた手作業をIT化することで人手によるミスを減らし、業務をスピードアップすることでコスト削減や業務効率を向上させることが狙いです。

そのためDXとは目的が異なります。DXはあくまでも「企業価値を向上させ、競争上の優位性を確立すること」であるためDX(企業価値を向上させる)を実現するための手段の一つとして、IT化(業務効率を向上させる)があるとイメージすると分かりやすいでしょう。

目的以外にもビジネスモデルへの影響度の違いや経営戦略との結びつきの強さに違いがありますが、より詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。

参考記事:DX(デジタルトランスフォーメーション)とIT化の違いとは?3つのポイントで解説

DXとAI活用の違い

IT化と同じようにAI活用との違いもご紹介します。2022年にChatGPTが登場したことによってAI(人工知能)が今まで以上に注目を集めるようになりました。AIもIT化と同じように目的が異なっています。

AIという言葉に明確な定義は存在しませんが「人間のように考えたり学習したりする能力を持ち、様々なコンテンツを新たに生み出すことのできる技術」です。つまりDXでいう「デジタル技術」に含まれるような形となります。

そのためIT化と同様にDXが目的で、AIがDXを達成するための手段というイメージになります。こちらについてもより詳しく知りたい方は以下の記事でご紹介しているので、ぜひご覧ください。

参考記事:DXとAIの違いを解説!DX推進にAIを活用するメリットや注意点も紹介

企業にとってDX推進が必要な3つの理由

ではそもそもなぜ企業はDXを推進する必要があるのでしょうか。DX推進の必要性を3つの観点でご紹介します。

1. デジタルによる変化が起きている

デジタル技術が進化してきたことによって、デジタル技術の活用を前提として新しい企業が市場に参入するケースが増えています。実際に新しい企業が既存企業の市場シェアを奪う事例も起きており、この動きは昨今加速しています。例えば以下のような事例です。

■日本直販(総通)

テレビショッピングの草分け、日本直販を運営する総通は2012年11月、民事再生法の適用を大阪地裁に申請

倒産の原因は、10年以上にわたる粉飾決算。インターネット通販に押されて業績が悪化していた

インターネット通販は、デジタルデータを用いたDX(課題の発見、課題を数値化・指標化して「見える化」、「短サイクルの効果検証」を繰り返して対策を絞る、更なる改善のため業務プロセスを幅広く見直し「全体最適化」を図る)が可能であり、テレビショッピングに競争力で勝ることが要因

■AKIRA

子供服に特化したリサイクルショップ「ECO&KIDS AKIRA」の店舗名で事業を展開、最盛期には全国で74店舗を展開

2018年10月に破産

急速に台頭したフリマアプリに商材と顧客を両方とも奪われて経営が悪化した

フリマアプリの代表であるメルカリは、スマホ完結型サービスを構築して「AI出品機能」や「写真検索機能」等のCX向上を行うというDX(既存ビジネスと異なる付加価値提供)によって急激に成長

出典:総務省『デジタル・トランスフォーメーションによる経済へのインパクトに関する調査研究の請負』p.7

この変化に対応するためにも、企業が競争力を強化する取り組みであるDX推進の必要性が高まっています。

2.労働力不足などの社会課題が複雑化・深刻化している

日本では少子高齢化による労働力不足や環境問題など多くの社会課題が複雑化・深刻化していっています。これらの問題を乗り越えながら企業が成長を続け得るためにはデジタル技術を活用しながら、生産性を高めイノベーションを起こしていく必要があります。

特に少子高齢化については2065年に「約2.6人に1人が65歳以上、約3.9人に1人が75歳以上」になることが統計上見込まれているため、今後よりこの問題は加速していくことが想定されるため、DX推進が必要になっています。

高齢化の現状と将来像のグラフ

出典:内閣府『高齢化の現状と将来像|令和2年版高齢社会白書(全体版)

3. 消費者ニーズの変化・多様化している

スマートフォンやSNSの普及によって、消費者はいつでもどこでもオンラインで情報を得られるようになりました。消費者はそこで得られる多くの情報をもとに、より細分化されたニーズを持ち、多様な行動を取るようになっています。

つまり企業と消費者の接点はリアル店舗だけではなくなり、ECサイトやSNSなど、さまざまな側面から情報収集できるようになったため、これらの変化に対応していく必要があります。

DX推進を成功させるための7つのステップ

DXの必要性を理解したところで、具体的にどのようにしてDXを推進していけばいいかと迷っている方もいると思います。DXを推進するための7つのステップをご紹介します。

ステップ以外にもそもそもDX推進にはどのようなフェーズがあるのかなど、より詳しくDX推進の進め方について知りたい方は以下の記事もぜひご覧ください。

参考記事:DXの進め方を7つのステップで解説|3つの気をつけるポイントも紹介

1. 経営ビジョンの策定

DX(デジタルトランスフォーメーション)の成功には、まず経営層が企業の将来像・自社の存在意義を明確にすることが重要です。

例えば、「2030年までに特定の地域で顧客と従業員に選ばれる会社を目指す」のようなイメージです。ここではまだ具体的な行動計画を立てる段階ではなく、企業全体の方向性や目標を明確化することが重要になります。

2. DX戦略の策定

経営ビジョンが確立したら、そのビジョンを実現するためのDX戦略を策定していきます。さきほど「2030年までに特定の地域で顧客と従業員に選ばれる会社を目指す」を例に出しましたが、これを実現するために、何をしていくべきかをより具体化していきます。

例えば、まずは従業員に選ばれる会社にするために「特定の地域で一番働きやすい環境を作る」「従業員満足度の調査の特定の数字を何%上げる」「残業をゼロにする」などが挙げられます。

3. 現状の把握、課題の洗い出しと特定

DX戦略を進めていく上で、現状を分析し、どの部分がDXの課題となっているかを特定していくことが重要です。この段階では、データ分析や業務フローの見直しを通じて課題を明らかにしていく必要があります。

例えば、「各部門で活用しているデータベースが統一されていないため、情報の重複や漏れが発生していることから、業務効率化が進んでいない」のようなイメージです。DX戦略は未来を描いているのに対して、このステップでは現在の問題点を深ぼっていくことに重点をおきます。

4. ロードマップの策定

課題を特定した後は、その課題を解決するための具体的なロードマップを策定していきます。ここでは実現可能な計画を策定していくことが重要になります。

例えば先ほど例であげた「各部門で活用しているデータベースが統一されていないため、情報の重複や漏れが発生していることから、業務効率化が進んでいない」を解決するために、別のツールを導入するのか、一部門ずつ課題をいつまでに解決していくのかなど、具体的な手順を計画していきます。

5. 実現に向けた社内体制の構築

計画を実現するため、社内の協力は必要不可欠です。ここでロードマップのみを策定して、社内体制が構築できず、結局DXが進まないということがよく起きます。しっかりとDXを進めることができるように、社内体制を構築しましょう。

さきほどの例では「部門を横断した課題」があるため、各部門ごとに業務内容を深く理解している人材を1名ずつアサインする、DXに関するデータ活用を始めたとしたITリテラシーが高い人材を配置するなど、適切な人材を考え社内体制を構築していくようにしましょう。

6. DXの実行

策定したロードマップと体制のもと、実際に計画を実行に移していきます。この段階ではデジタルツールの導入やそれに伴った業務プロセスの改善、データの活用をしていきます。

例えば、AIを活用したカスタマーサポートツールを導入し、問い合わせ対応の時間を50%削減、分析ダッシュボードを展開し、営業部門がリアルタイムで顧客のニーズを把握できるようにするなど、実際の業務やシステムの運用を開始していきます。

7. DXの実行を評価し改善を繰り返す

DXは「会社を変革し競争上の優位性を確立すること」を目的としているため、短期的ではなく長期的な視点・視座が必要です。DXを進めてすぐに成果が出るとは限らないため、実行したことを評価し、また評価だけにとどまらず成果を出すために次はどうしていくべきかと改善を繰り返して大きな成果が出るようにしていきましょう。

DXを推進して成果が出ていない企業が直面している4つの課題

さきほどはDX推進のステップをご紹介しましたが、実際には多くの企業がDXを推進しながら課題に直面しています。ここではDX推進に取り組むときに陥りやすい課題を4つご紹介します。そもそもDX推進の取組状況はどうなっているのか?と気になる方は以下の記事でご紹介していますので、あわせてご覧ください。

参考記事:DXの課題とは?DXの推進状況・成果別にみる課題を徹底解説

1. IT分野に見識のある役員がいない

DXで成果が出ていない企業は、成果が出ている企業に比べてIT分野に見識のある役員がいない傾向がみられます。

成果IT分野に見識のある役員がいない割合
出ている16.4%
出ていない35.5%

出典:独立行政法人情報処理推進機構『DX動向2024』図表1-11

DXを推進するためにはデータとデジタル技術を活用する必要があるため、そもそもIT分野への見識は欠かせません。またDXは経営層が自ら変革を主導して全社で取り組むことが必要があるため、IT分野に見識があるかどうかは重要な要素の一つといえるでしょう。

2.データを上手く活用できていない

DXで成果が出ていない企業は、成果が出ている企業に比べて、データを上手く活用できていないという課題があります。

成果データを活用している割合
出ている73.1%
出ていない37.8%

出典:独立行政法人情報処理推進機構『DX動向2024』図表2-2

上記は全社で活用している場合と事業部門・部署ごとに活用している場合を含んだ割合になりますが、大きくデータ活用に差が開いていることがわかります。

データを上手く活用できない要因として、データを活用する基盤がそもそも整っていない、データを活用する組織文化がないと考えられます。そのため、ただデータを蓄積するだけではなく、どのようにしてそのデータを活用していくのかを念頭にDXを推進していくことが望ましいです。

3. DX推進のための人材の育成予算が確保できない

DXで成果が出ていない企業は、成果が出ている企業に比べて、育成予算を確保するのが難しいという課題があります。育成予算の増減に関する指標では、成果が出ている企業は育成予算を増やす割合が高い一方で、成果が出ていない企業は育成予算を増やしているものの、成果が出ている企業と比べると割合が低い結果になっています。

成果DXを推進する人材の育成予算を増やした割合
出ている36.1%
出ていない27.0%

出典:独立行政法人情報処理推進機構『DX動向2024』図表3-9

4. DX推進の人材定義が明確化されていない

DXで成果が出ていない企業は、成果が出ている企業に比べて、DXを推進する人材像を設定していない割合が高くなっています。

成果DX を推進する人材像の設定していない割合
出ている33.8%
出ていない54.1%

出典:独立行政法人情報処理推進機構『DX動向2024』図表3-11

これはさきほどご紹介した「DXを推進する人材の育成予算が確保できない」にも関係しますが、そもそも人物像を設定しないと、なかなか育成予算を確保するのも難しいといえるでしょう。

DX推進に必要な人材の5つのタイプ

DX推進は企業を変革する活動のため、多くの専門スキルが必要になります。ここではDX人材を5つのタイプにわけてご紹介します。具体的なスキルなども知りたい方は以下の記事をご覧ください。

参考記事:DX人材とは?求められるスキル・マインドを徹底解説

1. ビジネスアーキテクト

ビジネスアーキテクト人材は企業の新規事業開発、既存事業の業務効率化や改善を目的として、ビジネスや業務の変革を実現するためのプロセス全体を設計・推進し、目標達成をリードする人材を指しています。社内の関係者間の協働関係を構築しつつ、新たな目標達成に向けた仕組みやアプローチを設計する中心的な役割を担います。

単にデータやデジタル技術に関する専門知識を持つ人材にとどまらず、目的の達成に向けた一貫性のあるプロセス推進を主導するスキルが求められます。

特徴として挙げられるのは、また、ビジネスモデルの構築やバリュープロポジションの明確化、業務フローや収益モデルの設計・実現といった多くの取り組みを俯瞰し、適切な判断を下す役割も担います。

2. デザイナー

デザイナー人材はビジネスの視点だけでなく顧客やユーザーの視点を総合的に捉え、製品やサービスの方向性や開発プロセスを策定し、それらに基づいた価値のあるデザインを担う人材を指しています。

DXを進める上での設計・構想・実装・仮説検証・導入・効果検証といった全てのプロセスに関与して、ビジネス価値の最大化を目指します。デザイナーは、顧客やユーザーに寄り添い、新たな価値を創造し、課題解決を促進する役割を果たします。単なるデザインの実現ではなく、プロジェクトの特性に応じた柔軟なアプローチや、関係者間の協力を円滑にするための調整力も含まれています。

3. データサイエンティスト

データサイエンティスト人材は業務の変革や新規ビジネスの実現に向けて、データの収集、分析、活用を担う仕組みの設計・実装・運用を行う人材を指しています。近年、社会全体のIT化やデジタル化の急速な発展に伴い、今までよりも企業が取り扱うデータ量が増加しているため、この膨大なデータをいかに整理し、効果的に活用するかがDXを成功させるためにも重要な要素になってきています。

4. ソフトウェアエンジニア

ソフトウェアエンジニア人材はデジタル技術を活用したサービスを提供するためのシステムやソフトウェアの設計、実装、運用を担う人材を指しており、DXの成功を技術力によって支える役割となっています。

主にサービスの構想段階や企画から、形あるものへと具体化していくスキルが必要になります。「エンジニア」や「ITエンジニア」ではなく「ソフトウェアエンジニア」という名前がついている理由は、デジタル化の進展に伴い、多様なハードウェアやデバイスを扱う重要性を含みつつ、特に差別化できる成果を生み出す役割を明確にするためです。

さらに今までとは違い、新しいサービスが次々と登場するようになりましたが、それらの新しい技術や時代の変化に対応しながらも、これまでの基盤を活かして継続的に価値を提供していく必要があります。

5. サイバーセキュリティ

サイバーセキュリティ人材は業務プロセスを支えるデジタル環境におけるサイバーセキュリティリスクの影響を抑制するための対策を担う人材を指しています。デジタル技術を活用したサービスの展開においてセキュリティを確保することが必須であるという前提のもと、インシデントの未然防止や被害の抑制を通じて、デジタル環境の安全性を高める役割を果たします。

DXの成功のためにも、従来のIT部門以外の事業部門でもセキュリティ対策の責任を負う機会が増加していることに由来しています。情報資産の保護だけでなく、OT(Operational Technology)やIoT(Internet of Things)を含むデジタル基盤全体のセキュリティ対策を統合的に取り扱う必要があります。

DX推進を成功させるための3つのポイント

DX 推進で成果が出ている企業にはいくつかの共通点が存在します。ここでは3つのポイントにわけてご紹介します。

1. 経営陣がDXの取り組みにコミットしている

DX推進のときに陥る課題として「IT分野に見識のある役員がいない」とご紹介しました。そのため、DX推進の成功には経営陣のコミットが必要不可欠です。経営陣がコミットしないとなかなか他の従業員が動いてくれないなどの問題が発生してしまいます。そのため経営陣が主体となって、DXの戦略・実行を遂行していくことが重要になります。

2. 人材の育成に力を入れている

またDX人材を外部から確保するだけではなく、従業員全員の育成に力を入れているのもDX推進に成功している企業の共通点です。DXには多くの従業員を巻き込み、現場の人たちがデータやデジタル技術を活用する必要があるため、特定の人材のみ知識がある状態では成功できません。デジタル技術の紹介や勉強会の開催など、人材の育成に力を入れていく必要があります。

3. デジタル技術の導入だけで終えていない

DXでよくある失敗として、デジタル技術の導入がDXのゴールになってしまい、導入後そのデジタル技術を活用しないまま終わってしまうケースがよくあります。ステップでもご紹介しましたが、まずは経営ビジョンの策定し、DX戦略を策定していくことが重要になります。

DX推進に成功した企業の事例3選

具体的にDX推進で成果をあげている企業はどのような企業なのか気になる方も多いと思います。そこで経済産業省が発表しているDXセレクションのレポートを参考に3つ事例をご紹介します。

出典:経済産業省『DX Selection 2024

1. 浜松倉庫株式会社

浜松倉庫株式会社は静岡県浜松市で倉庫事業、運送事業、駐車場事業などの事業を展開している企業です。2015年から、生産性向上のための将来を見据えた新しい業務の在り方を、若手管理職を中心とした社内プロジェクトで検討していました。

具体的には集中的に社内システムや業務改善の仕組みを学ぶ研修や、 毎月DX推進担当が各営業所を定期訪問することでDX推進をフォローする体制を整えるといった取り組みを実施しています。

デジタルサービスを活用することでデータ入力の時間を1日の業務の80%から5%削減を実現したり、今まで経験と勘をもとに進捗を判断していたものをリアルタイムで進捗を把握できるようにして、生産性を30%向上させています。

2. 株式会社リノメタル

株式会社リノメタルは埼玉県八潮市で金属プレス加工・熱処理加工による機能部品の量産などの事業を展開している企業です。「既存顧客への柔軟な対応」や「新規顧客開拓」実現のため、生産管理業務において「ミス・ムダ・属人化」からの脱却、 製造以外の事務における「業務の非効率さ」「伝達・連絡ミス」「ノウハウ・データの属人化」を改善するためにDXに取り組んでいます。

具体的にはアドラー心理学を活用した仕組みづくりを行うことでチームビルディングを促進、 5年間で28個のクラウドサービスを導入、製造現場においては「ものづくり補助金」も活用しながら1億円近くの投資を行って、生産管理システムを導入と、多くの変革を実行しています。

結果、全社的に「業務効率化、ノウハウ蓄積、情報一元管理、コミュニケーション・コンプライアンス・セキュリティレベルの向上」が前進し、生産性管理業務では月間268時間の削減に成功しています。

3. 株式会社トーシンパートナーズホールディングス

株式会社トーシンパートナーズホールディングスは東京都武蔵野市でマンションの企画・開発・販売、不動産売買・仲介、賃貸などを展開している企業です。継続的に成長できる企業へと邁進していくために、DXによるデジタル技術とデータの活用が急務、かつ必須と捉え、本格的にDXの推進を開始しています。

2021年11月に情報システム部内にDX推進組織を設置したり、社内研修など社員のDXスキル向上に向けた施策を推進するなど、社内の体制の変革を行っています。またAIを活用した早期賃貸付けプロジェクトを始動し、賃貸募集時における適正賃料生成モデルを作成するといった新しい取り組みも実施しています。

結果グループ全社の業務効率化によって年間約8,800時間の工数削減を実現しています。また独自アプリの開発とIoT技術との連携によって、顧客サポートの活性化も推進しています。

DX推進におすすめの5種類のDXツール

DX推進のときにデジタルツールを導入することが目的となってしまい、DX推進が失敗に終わってしまうケースも少なくありません。とはいえDX推進にはデジタルツールの活用が必要不可欠です。あくまでも手段としてデジタルツールを導入する前提で、おすすめのDXツールの種類を5つご紹介します。自社の課題にあわせてどんな種類があるのか参考にご覧ください。

1. 業務自動化ツール

全体の流れや作業手順が定まっているような定型的な作業であったり、ルーティン業務を自動化することによって生まれた時間を使って、従業員がより価値の高い業務に取り組めるような環境を整えることができます。RPAツールとも呼ばれるツールもあれば、定型的な業務の代表でもある議事録作成を自動化するツールもあります。

AI議事録ツールを導入して、業務効率化を実現した事例を知りたい方は以下の記事もご覧ください。

参考事例:商談の議事録作成時間がゼロに。対応できる商談数が増え、提案のクオリティ改善も実現

2. ビジネスインテリジェンスツール

BIツールとも呼ばれるツールで、膨大なデータを整理・分析することで、企業や組織の経営に役立つインサイトを提供してくれるツールです。企業や組織のビジネス的競争力をより高めてくれます。

3. プロジェクト管理ツール

業務やプロジェクトの進行管理をサポートしてくれるツールです。業務の進行状況が可視化されることで、タスクの割り当てや制作進行などのスケジュール管理を効率化してくれます。プロジェクト管理ツールに関しては、こちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にご覧ください。

参考記事:【目的別】おすすめのプロジェクト管理ツール12選!選び方・注意点も解説

4. 顧客管理ツール

CRMツールとも呼ばれるツールで、

  • 顧客の基本情報を一元的に管理
  • 過去のコミュニケーション履歴を保存
  • 顧客情報や営業活動を元にした分析

などが行えるツールです。顧客のニーズが把握でき、顧客満足度を向上させられます。

5. コミュニケーションツール

コミュニケーションツールとは、チームや企業、組織内外における情報共有や業務連絡を効率的に行うためのソフトウェアやプラットフォームのことを指します。これらのツールを使用することで、従業員間のコミュニケーションが円滑になり、業務の効率化や生産性の向上を図ることができます。

コミュニケーションツールに関しては、こちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にご覧ください。

参考記事:【2025】おすすめのコミュニケーションツール14選!導入のメリットや注意点についても解説

まとめ|DX推進は企業にとって重要な取り組み

DX推進とは簡単にいうと企業が「データとデジタル技術を活用して、会社を変革し競争上の優位性を確立する」取り組みを進める活動を指しています。この活動は企業がビジネスで生き残るためにも重要で必要不可欠な活動になっています。

DX推進が必要になった背景として、デジタル技術の変化や社会課題への対応など様々な理由がありますが、これらに対応するためにも、単なるデジタルツールの導入で終わらず、経営戦略と紐づけていくことが重要になります。また変革をしていくためにも従業員の育成などDX推進には多くのやるべきことが存在します。

本記事を参考にDX推進を一歩ずつ、確実に取り組んでいけるようにしましょう。

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DXを始めたいけど、何から着手すればいいか分からない方は、ぜひAI議事録サービス「スマート書記」をお試しください。

この記事を書いた人
スマート書記ブログチーム

エピックベース株式会社が運営する「スマート書記」のブログ編集部です。議事録や文字起こし、生成AIやAIエージェントに関するノウハウなど、企業が業務効率化を実現し、さらにはDXを推進するための情報をお届けします。

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