生成AIの活用事例13選!ビジネス活用方法や注意点、生成AI導入の成功ポイントまで解説
 
            近年、AIの技術は大きく進歩して、私たちの生活やビジネスにも身近な存在となってきました。なかでも、生成AIは注目を集めているのと同時に、現在は大企業だけでなく個人でも誰でも日常的に利用できるツールへと進化しています。
ChatGPTやGemini、Claudeなどの大規模言語モデルのほか、画像や音声、動画など、様々なコンテンツを生成してくれるAIも登場しています。クリエイティブな業種から、ヘルスケア、教育、製造業などあらゆる分野でAIが活用されていく反面、著作権やプライバシーに関する懸念や、倫理的な課題などの新たな問題も浮上してきています。
そこで、本記事では、生成AIの課題と向き合いながら最大限に活用していくために、実際に企業ではどのように生成AIが活用されているのかの事例を紹介しながら、導入ステップや成功ポイントについて解説していきます。
また精度高く要約や要点の整理ができるAIツールを活用したい方は、ぜひ使えば使うほど精度が上がるスマート書記をお試しください。スマート書記は特許取得済の独自アルゴリズムを活用し、機密情報を学習させることなく、使えば使うほど各社に最適される高精度の文字起こしが可能です。
スマート書記がわかる人気3点セット資料(サービス概要・導入事例・機能詳細)をみる
生成AIとは
生成AIは、人工知能の一種です。大量のデータを学習させることで、データの背後にあるパターンや構造を学習して、新しいテキストや画像、音声、動画などを生成するAIのことを指します。ただ単に学習した既存のデータを再現するわけではなく、学習したパターンに基づいて、新たなものを生み出すといった創造的なAIとなっています。
生成AIの4つの種類と特徴
ひとくちに生成AIと言っても、様々な種類の生成AIが存在しています。今回は、代表的な生成AIをご紹介します。
1. テキスト生成AI|ChatGPT、Claude、Gemini、LLaMAなど
大量のテキストデータを学習して自然な文章を生成してくれるAIです。記事の作成や要約、翻訳からプログラムコードの生成などをサポートしてくれます。
2. 画像生成AI|DALL-E、Stable Diffusion、Midjourneyなど
テキストによる命令(プロンプト)に基づいて画像を生成するAIです。サービスによっては商用利用が不可となっていたり、著作権に関しても細かく条件がありますので、使用の際は詳しく利用上の注意を調べる必要があります。
3. 音声・動画生成AI|Synthesia、Descript、ElevenLabs、Runwayなど
短い動画やアニメーションを生成するAIです。それぞれの生成AIによってできることは多少差がありますが、ナレーションの自動生成やアバター動画の作成、字幕の作成なども行えます。ツールによってはまだ日本語に対応されていないものもあります。
4. 音楽生成AI|Jukebox、Amper Music、AIVAなど
既存の楽曲データを学習して、新しい楽曲を生成してくれるAIです。作曲や編曲を自動化して行うことができます。こちらのAIも商用利用や著作権などに関して注意が必要です。詳しくは「生成AIを活用する際の注意点」で解説しています。
生成AI 6つのビジネス活用方法
1. コンテンツマーケティング
コンテンツマーケティングには、文章特化の生成AIや画像やイラストを生成するAIがおすすめです。具体的な活用方法としては、以下の通りです。
- 広告文やキャッチコピー、SNSの投稿文の作成
- 適切なハッシュタグの生成
- SEOに強い記事の生成
- 企業ブログやニュースレターの下書き
- 広告やプレゼン資料向けの画像、イラストの作成
特に文章の下書きやちょっとした画像・イラストの生成に活用することにより、作業時間を大幅に短縮することができます。
2. 商品開発・企画
新商品のアイデアや、新しいサービスのコンセプトが思いつかない、といったときこそ、生成AIの活用が効果的です。たとえば、以下のように活用することができます。
- 企画段階でのアイデア出しのサポート
- 商品のロゴやパッケージデザインの生成
- 顧客の嗜好を分析し、最適な商品やサービスの提案を自動化
生成AIは既存の市場データやトレンド情報を基に、アイデアやコンセプトを生成してくれるので、特に企画段階でのアイデア出しのサポートに最適です。
3. 顧客対応
顧客対応の自動化にも生成AIは活用できます。たとえば、WebサイトやLINEでのFAQ対応を自動化したり、AIチャットボットを導入するなどして、24時間体制で顧客対応できるようにするイメージです。他にも、以下のように活用することができます。
- 顧客からの問い合わせへの返信文の自動生成
- メールの返信の自動化
- 顧客の属性・購買履歴などから顧客ごとに最適な商品・サービスをパーソナライズ提案
4. 業務効率化
AIと言えば、業務効率化、というイメージが大きい方もいるのではないでしょうか。AIを使えば、実際に以下のようなことができます。
- データの分析
- グラフやレポートの自動生成
- 議事録の作成
- ソースコードの自動生成や修正作業
特に議事録の作成でAIを活用することにより、作業の効率化が図れます。具体的には、会議の音声をリアルタイムで文字起こししたり、文字起こししたテキストデータから、AIが要約や重要事項、Todoを自動作成できます。それによって、議事録作成に関わる時間を大幅に削減することができます。
5. 人材育成・研修
人材育成や研修の場面でも生成AIが活用されています。従業員一人ひとりの理解度や習熟度に応じて、学習教材やトレーニング内容をカスタマイズできるため、効率的な学習が可能です。具体的には、たとえば、以下のように活用することができます。
- 営業研修でロールプレイ相手として様々な顧客対応パターンを疑似体験
- 教材作成を自動化
- 学習進捗の自動分析
- 研修資料の自動作成
6. 研究開発・技術支援
研究開発や技術支援の分野でも生成AIは重要な役割を果たしています。具体的には、以下のような活用方法があります。
- 膨大な研究論文や特許データの解析、要約、関連知見の提示
- 新薬候補分子の生成
- 材料開発における新素材の設計
- 技術文書や設計図の自動生成・翻訳
これにより、従来よりも短期間での研究成果や、円滑な国際共同研究や海外拠点との連携も期待されています。
生成AIのビジネス活用事例13選
生成AIをビジネスで活用する例として、コンテンツマーケティング、商品開発や企画、顧客対応、業務効率化の4つの活用方法をご紹介しました。次に、それぞれの活用方法が、実際に企業でどのように取り入れられたのか、業界ごとに事例をご紹介していきます。
広告・マーケティング業
1. 株式会社パルコ|ファッション広告のグラフィック・ムービー・ナレーション・音楽をすべて生成AIで作成
パルコの2023年冬のホリデーシーズンを盛り上げたファッション広告「HAPPY HOLIDAYSキャンペーン」は、生成AIが至るところで駆使された広告です。具体的には、画像生成AIを活用して、モデル撮影を行わずに、人物から背景まで生成AIでグラフィックを制作したり、ムービーやナレーション、音楽まですべて生成AIで作成されました。
生成AIで大量の広告を効率的に作る、という取り組みが主流のなか、株式会社パルコは人とAIの共創でクリエイティブな質を追及しようとした功績を讃えられて、デジタルメディア協会主催の「デジタル・コンテンツ・オブ・ジ・イヤー’23/第29回 AMD Award」で、年間コンテンツ賞「優秀賞」を受賞しました。
参考記事:「HAPPY HOLIDAYS広告」が、AMDアワードで「優秀賞」を受賞
2. 株式会社博報堂DYホールディングス|生成AIを活用した広告動画向け注視点予測サービス「H-AI EYE TRACKER」を提供開始
博報堂DYホールディングスは、グループ横断の研究開発組織「Creative technology lab beat」によって、生成AIを活用した広告動画向け注視点予測サービス「H-AI EYE TRACKER(エイチ・エーアイ・アイ・トラッカー)」の提供を開始しました。
このサービスは、AIが広告動画内で人の視線が集まりやすい箇所を自動的に予測し、ヒートマップとして可視化するというものです。これにより、従来はアイトラッキング装置などで時間とコストをかけて行っていた視線分析を、生成AIによって短時間かつ効率的に行うことが可能になりました。
具体的には、広告制作者は、AIによる予測結果をもとに注目を集めたい要素や見せ方を改善することで、より効果的な広告表現を実現できるようになったのです。
博報堂DYグループは、今後も生成AIを活用したクリエイティブ制作支援の取り組みを通じて、広告制作プロセスの革新を目指しています。
参考記事:博報堂DYグループ独自のAI技術を活用した広告動画の制作サービス「H-AI EYE TRACKER」の提供開始 〜「Creative technology lab beat」第二弾プロダクト〜
3. 株式会社電通デジタル|生成AIを活用した独自サービス「∞AI(ムゲンエーアイ)」の開発
電通デジタルは、生成AIを活用した独自のソリューションサービス「∞AI(ムゲンエーアイ)」を開発しました。このサービスは、企業のマーケティングや事業開発を支援することを目的に、生成AIを活かして業務効率化や新しいアイデアの創出をサポートします。
具体的には、広告・プロモーションにおけるコピーやビジュアルの自動生成、顧客体験を高めるための会話型インターフェースの設計、業務ナレッジの整理など、幅広い領域で活用されています。従来の業務フローを単に置き換えるのではなく、AIを人の発想力や創造性を拡張するパートナーとして位置づけ、クライアント企業の課題解決と価値創出を支援する点が特徴です。
参考記事:4つのAIが、デジタル広告のクリエイティブを無限に改善し続ける!
4. 大日本除虫菊|画像生成AIを 「ブレスト相棒」 に据えた新 CM 制作
大日本除虫菊(キンチョール)は、若年層向け演出を意図した新 CM「ヤング向け映像」篇の制作において、従来の枠にとらわれない表現を目指し、画像生成 AI を活用しました。
大日本除虫菊では、タレント起用やセリフに頼るのではなく、未来都市風の構図やキャラクターイメージ、色調などをプロンプト として AI に投げかけ、プロンプトを修正し続けながらビジュアル案を生成しました。そのようにして数千枚出力された候補の中から、クリエイターチームが質感や構成を厳選し、それを元に CG や実写映像との融合を図ることで、これまでにない幻想的かつインパクトのある演出を実現したのです。
具体的には、「赤い空間」「未来都市」「パッケージモチーフの三角形と青」などの概念をプロンプトに含めつつ、余計なバイアス(例えば過剰な筋肉表現など)を抑えるネガティブ指示語を使って生成制御を行ったといいます。AI から得られた複数案を組み合わせてキービジュアルを設計し、最終的には監督や CG チームと連携しながら 3D 化・実写融合を行い、CM 映像化への道を開きました。
参考記事:AIとブレストしながら企画した「キンチョール」の新CM「ヤング向け映像」
金融業
5. ソニー銀行株式会社|顧客対応業務で生成AIを活用
生成AIは顧客対応業務にも活用できます。その活用事例のひとつがソニー銀行株式会社です。ソニー銀行株式会社では、顧客問い合わせのメール対応業務において、生成AIの活用を2024年に開始しました。
具体的には、カスタマーセンターに届くお客様からの問い合わせメールの対応業務に生成AIを活用しています。株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所の協力のもと、回答作成の迅速化、回答品質の平準化などの課題解決に生成AIを活用できるか、検証や技術開発が進められています。
6. みずほフィナンシャルグループ|業務効率化と新たなイノベーションを志向する社内向け生成AI導入
みずほフィナンシャルグループは、生成AIを活用して社内業務の効率化と将来的なサービス革新を目指す取り組みを進めています。2023年12月に公開された同社の DX 事例では、まず全社員が使えるテキスト生成 AI(「Wiz Chat」)を社内向けに導入し、社員が日常業務で AI を活用できる環境を整備しました。
さらにその上で、生成AI を事務手続照会や与信稟議作成のような負荷の大きい業務領域に適用する試みも進められています。事務手続照会では、社内に散在する業務ルールマニュアル・FAQ 等を基に、チャット形式で照会者の質問意図を理解した応答を生成するプロトタイプを検証中です。
「与信稟議作成」では、顧客情報や財務データ・営業記録などを AI に入力すると、ワンクリックで稟議資料のドラフトを自動作成する支援ツールの開発を目指しており、既存の 1~2 時間を要する作業を約 10 分へ短縮することも視野に入れています。
これにより、営業担当者は資料作成負荷を抑えながら、顧客対応や提案活動により多くの時間を割けるようになる狙いです。さらに、社内公募型のアイデアソンを通じて「AIによる投資能力判断」「AI提案書自動化」などの活用案も発案・検証フェーズに入っており、将来的には生成AIを活かした業務変革と新規価値創造を目標としています。
参考記事:〈みずほ〉が見据える、10年後の金融。 生成AIを活用して、業務効率化と新たなイノベーションの実現へ。
7. 大和証券株式会社|AI オペレーターによるお問い合わせ対応サービスの提供開始
大和証券は、株式会社大和総研、株式会社ヘッドウォータース、日本電気(NEC)、株式会社 QUICK と連携し、2024年10月7日から「AI オペレーターサービス」を本格的に導入しました。このサービスでは、生成 AI を含む先端技術を活用して、株価や市況ニュースなどのマーケット情報から、ログイン手続き、NISA 関連の一般的な問い合わせまでを、音声ベースで即時応答できる AI が担当します。
公式発表によれば、国内大手金融機関において、音声による幅広い問い合わせを包括的に応答できる AI オペレーターを顧客に提供するのは初めての試みとのことです。大和証券は、AI による CX変革を掲げ、質の高い顧客対応と業務効率の両立を目指しています。
参考記事:大和証券株式会社プレスリリース
製造業
8. 日本コカ·コーラ株式会社|AIが導き出したオリジナルフレーバー
株式会社I-neと日本コカ・コーラが出資する合同会社Endianからリブランディングされて発売されたリラクゼーションドリンク「チルアウト」のフレーバーは、AIが導き出したオリジナルフレーバーとなっています。
フレーバーを決める流れとして、まずAIが回答者10名に対して20〜50問の質問を行いました。その計200問以上のやりとりから、AIが人間の好みを機械学習してリラックスできるフレーバーを決定したのです。AIによって選定されたフレーバーは、心落ち着くシトラスやハーブ、フルーツのような香りと、清涼感のあるクーリングフレーバーが配合されています。
日本コカ·コーラ株式会社は、商品開発だけでなく、AI画像生成ツール「Create Real Magic」を使用して、自分だけのクリスマスカードが作成できるWebサイトを公開したり、ボトルやロゴデザインを生成したり、ジョージアの広告企画では生成AI技術を用いてユーザーの写真を歌にしたり、未来を占ったり、日常写真をイラストにしたりと、様々な企画で生成AIを活用している大企業のひとつです。
参考記事:チルする?
参考記事:広告に用いた生成AIを公開 コカ・コーラ、クリスマス施策で
9. 株式会社日立製作所|フロントラインワーカーの生産性を高める生成AI活用の推進
日立製作所は Generative AIセンターを設立し、生成AI を軸とした業務変革をグループ全体で推進しています。記事によれば、同社はまず社内のガイドライン整備を行い、利用範囲や申請フロー、注意点などを定めた上で、ユースケース創出へと舵を切っています。
具体的には、営業担当による顧客リサーチ・報告書作成プロセスで、顧客名を入力するだけで、マーケティング分析や経営課題の仮説、解決案などを生成AIがドラフト化しました。これにより、従来のリサーチ工数を9割超削減できたという成果が示されています。
また、アンケートの自由記述コメントの要約、コールセンター応答候補の提案・エスカレーション判断補助などにも生成AI活用が進められており、応答業務の2割程度の負荷削減が見込まれています。さらに、ソフトウェア開発領域では要件入力 からAIによるソースコード生成やドキュメント作成補助なども試験的に導入しています。
将来的にはこれら生成 AI 活用によって、システム開発生産性を3割向上させることを目指しているとのことです。加えて、名古屋鉄道・三菱 HC キャピタルらとの協業で、他社業務への生成 AI 活用支援も進めています。
参考記事:生成AIの活用でフロントラインワーカーの生産性を向上! 日立製作所の取り組みに迫る
10. アサヒビール株式会社|生成AIを用いた社内情報検索システムの導入
アサヒビールは、研究開発部門を中心に、社内に散在する資料や技術文書を効率よく検索・要約可能にするため、生成AI を活用した社内情報検索システムを導入しました。
具体的には、丹青社が開発する「saguroot」を基盤とし、Microsoft の Azure OpenAI Service を使って、PDF・PowerPoint・Word 等の形式を問わず社内データを横断的に検索できる仕組みを構築しました。検索結果には、生成AI による約 100 字程度の要約が併記され、利用者は目的に合致する資料を迅速に見つけられるようになります。
アサヒビールは、このシステムを 2023年9月上旬から試験運用として開始し、将来的にはアサヒグループ全体に展開する構想を掲げています。
参考記事:生成AIを用いた社内情報検索システムを導入 研究所を中心に9月上旬から試験運用を開始 商品開発力強化やグループ間のイノベーション創出を目指す
11. パナソニックホールディングス株式会社|国内最大規模の企業特化大規模言語モデル「Panasonic-LLM-100b」の開発
パナソニックホールディングスは、ストックマーク株式会社と協業し、企業向けに特化した大規模言語モデル(LLM)「Panasonic-LLM-100b」を開発しました。本モデルは、汎用的な生成AIとは異なり、パナソニックグループが保有する製品情報や技術文書などのクローズドデータをもとに学習されており、誤情報を大幅に抑制した設計が特徴です。
パナソニックHDの担当者は、従来の汎用LLMが抱える「自社業務に適応しにくい」点を課題として挙げ、業務効率化と正確性の両立を目指すため、自社データと現場ニーズに沿った独自LLMの必要性を強調しています。結果として、1000億パラメータ規模という国内最大級の企業専用LLMを完成させ、研修用途から製品開発支援、工場設備の不具合対応サポートなど、幅広い部署で試行運用が進められています。
参考記事:【Use Case vol.1】パナソニックHD×ストックマーク 国内最大規模の企業特化LLM「Panasonic-LLM-100b」開発──協業によって、AIによる業務効率化を推進
【番外編】事務・社内支援
12. コクヨ株式会社|議事録作成時間を4時間から約30分に!90%の削減を実現
コクヨ株式会社では、議事録作成業務の効率化のために、AI議事録ツール「スマート書記」を導入して、議事録作成時間を90%削減することを実現しました。
専門用語が多く飛び交う会議においては、誤変換された文字起こし音声の確認と文字起こしされたテキストの修正に時間がかかります。AI議事録ツールには、Web会議ツールの文字起こし機能にはない用語登録機能や、AIが声質から自動で話者を認識して判別してくれる話者識別機能があり、これによって高品質での文字起こしができ、議事録作成時間の削減ができました。
参考記事:専門用語が多い会議の議事録作成時間を90%削減。Web会議ツールとスマート書記の文字起こしの違い
13. LINEヤフー株式会社|社内業務効率化とユーザーサービス高度化のための生成AI活用
LINEヤフー株式会社は、生成AIを社内業務とユーザー向けサービスの両面で活用する取り組みを進めています。まず社内においては、ChatGPT Enterpriseを導入し、全社員が生成AIを利用できる環境を整備しました。同時に、AI倫理ガバナンスやリスク管理体制を構築し、安全で責任ある利用を促進しています。これにより、ドキュメント作成や調査業務など日常業務の効率化を実現しています。
さらに、検索サービス「Yahoo! JAPAN」では検索結果の要約表示や対話型の質問応答機能を実装し、コミュニケーションアプリ「LINE」では生成AIを活用した画像編集支援や新たなチャット体験を提供するなど、ユーザーサービスの高度化にも注力しています。LYコーポレーションは、生成AIを社内業務と顧客体験の両面で進化させる「共創パートナー」と位置づけ、グループ全体での活用を推進しています。
参考記事:LINEヤフー、個人向けサービスを中心に16件で生成AIを活用 従業員約2万人に生成AIアシスタントを提供
活用事例からみた生成AIのビジネス活用を成功させる4つのポイント
1. 生成AIの活用目的を明確にする
生成AIを導入する前に、現在抱えている業務課題を明確にしましょう。例えば、
- 顧客対応の負担軽減のために生成AIで作業を自動化したい
- 会議が多いため議事録作成業務を効率化したい
といったような感じです。ただ漠然と生成AIが便利らしいから、と導入を決めるのではなく、なぜ必要なのか、どういった業務において必要なのかといった導入の理由や目的を明確に定めることによって、どういったAIツールを導入すればよいのか具体的に選定できるようになります。
2. 適切なAIツールを選定する
生成AIには様々な種類があります。また、その種類ごとに得意としていること、できることやできないことが異なります。1で明確にした課題や目的に合わせてツールを選定しましょう。
例えば、文章生成が得意なツール、プログラミングのコードの生成や修正が得意なツール、画像や動画生成などクリエイティブに特化したツール、議事録作成を効率化してくれるツール、顧客対応に関わる業務を自動化できるツールなどです。
3. 人間とAIの最適な役割分担を考える
すべての作業や業務を完全に生成AIに任せて自動化させるというよりも、あくまで生成AIは「人間の作業を補助するツール」として活用することがポイントです。プロトタイプを作成するのが生成AI、そこからさらにブラッシュアップしたり最終的なチェックや判断をするのが人間、といったイメージです。
生成AIがおこなったタスクに対して、創造性や判断、最終的な意思決定やチェックは必ず人間が確認するような体制にしましょう
4. 社員教育とAIリテラシー向上を図る
生成AIを使用する上での注意点や、効果的なAIツールの使い方など、トレーニングを実施することも、生成AI活用を成功させるポイントです。生成AIのリスクと注意点を十分に理解して、適切に扱える人材を育成していくようにしましょう。
また、生成AIの利用規約やガイドラインをよく読み、遵守することに加えて、AIのリスクや倫理的課題に関するガイドラインを社内で作成して、全体に共有するようにしましょう。
生成AIを活用する際の3つの注意点
1. 正確性と品質管理を徹底する
生成AIが出力してくれた結果を100%信用してはいけません。というのも、生成AIは大量の言語データを学習して、統計的な推測で文章を生成していることによって、誤情報を生む可能性があるためです。生成された情報が正しいのかどうか確認したりなど、最終的なチェックは必ず人の目で行うようにしましょう。
また、品質管理の側面として、AIの出力を定期的に評価する仕組みを整えておくことも重要です。フィードバックを繰り返すことで、継続的に改善し続けていき、品質基準を保ちながら、長期的に生成AIを活用していくことができます。
2. データのセキュリティとプライバシーに配慮する
個人情報や社内外の業務に関する機密情報を扱うような場合は、セキュリティ対策を万全にしましょう。生成AIの利用には、情報漏洩リスクがあります。また、入力したデータが再学習に使用される可能性もあります。再学習に利用されたくない場合は、使用しない設定があるのか、など利用規約を必ず確認するようにしましょう。
3. 法規制や倫理面に配慮する
生成AIはプロンプトを入力するだけで、画像や動画、音楽を生成してくれる点は大変便利ですが、AIが生成したコンテンツの著作権には不明確な部分が存在しています。どんなデータを学習しているのか、学習に使われたデータによっては、既存のものと類似したものを生成する可能性があります。
また、生成AIが作成した文章や画像、動画、音楽などを商用利用する場合にも、著作権を侵害していないか、リスクや生成AIごとのガイドライン・利用規約を確認するようにしましょう。また、AIが生成したものは、そのまま使用するのではなく、人の手で修正や編集などの手を加えるようにしましょう。
さらに、生成AIに関する法規制は国によっても違いがあります。現在進行形で各国で整備が進んでいるところのため、常に最新の情報をチェックして、AIの活用が規制に違反しないように注意して利用するようにしましょう。
まとめ|注意点を理解すれば生成AIは最高のビジネスパートナーに
今回の記事では、生成AIをビジネスで利用するために、実際の活用事例の紹介や、ビジネス利用を成功するためのポイントや利用する際の注意点などをご紹介しました。
生成AIをビジネスで利用するには、現在どんな法規制があるのかを確認したり、プライバシーやデータのセキュリティ対策には問題がないか、など、注意すべきことがあります。
生成AIは、業務を効率化してくれたり、新しいアイデアを生んでくれたりなど、ポテンシャルの高いツールです。十分に活用していくために、生成AIを利用する上でのリスクや注意点を十分に理解すること、また、社内での利用ガイドラインを策定する、社内で研修を行うなどの施策を行ったうえで、生成AIを活用していきましょう。
生成AIを活用して、上手く自動要約や要点抽出をするには、ベースとなる文字起こしの精度が高いことが必要不可欠です。
- 固有名詞や専門用語の変換が上手くいかない
- 「えー」や「あの」などの意味をなさない言葉も文字起こしされてしまう
- 文字起こしを修正してから生成AIを活用しているが修正に時間がかかっている
このような文字起こし精度にお悩みを抱えている方は、ぜひ一度、使えば使うほどAIの精度が上がる「スマート書記」をお試しください。
またスマート書記のAIアシスト機能を活用して自動要約・要点抽出も自動化できます。自動化することが可能です。AIアシストを活用すれば以下を自動化することができます。
- 要約文章の生成
- 要点の自動抽出
- 決定事項やToDo、質疑応答の抽出
スマート書記は特許取得済の独自アルゴリズムを活用し、機密情報を学習させることなく、使えば使うほどAIの精度が向上します。累計利用社数6,000社以上の実績、大手企業から自治体まで様々な組織で利用されており、セキュリティ面でも安心してご利用いただけます。
よくある質問とその回答
Q. 実際に生成AIを業務に取り入れるには、まず何から始めるべきですか?
まずは、現状の業務を把握し、課題を見つけましょう。「何を効率化したいのか」「どんな価値を生みたいのか」をはっきりさせてから、それに合う生成AIツールをピックアップします。ツールをいくつか選んだら、まずは一部署のみ、一つの業務のみ、など小規模な単位で試験導入して、より使いやすく効果のあるツールを選んでいくのがよいでしょう。
業務効率化に関する以下の記事では、基本的な業務効率化の流れをご紹介しています。生成AIツール導入にも応用できますので、こちらもぜひご覧ください。
Q. 生成AIごとの具体的な特徴が知りたいです
生成AIの特徴を大まかにまとめたものが以下の表です。
| AI種類 | 生成できるもの | 代表的なサービス | 主なビジネス用途 | 
|---|---|---|---|
| テキスト生成AI | 文章、メール、企画書、翻訳文 | ChatGPT、Gemini、Claude | 資料作成、メール対応、議事録作成 | 
| 画像生成AI | イラスト、写真風画像、図表 | Midjourney、DALL-E 3、Stable Diffusion | プレゼン資料、Webデザイン、広告素材 | 
| 動画生成AI | 実写風動画、アニメーション | Sora、Gen-2、Pika | 製品紹介、SNS投稿、研修動画 | 
| 音声生成AI | 音声合成、文字起こし、音声翻訳 | ElevenLabs、Whisper、VALL-E X | ナレーション、電話応答、議事録作成 | 
| 音楽生成AI | BGM、効果音、楽曲 | Suno AI、Udio、Amper Music | 動画BGM、店舗BGM、企業PR音楽 | 
| コード生成AI | プログラムコード、SQL文 | GitHub Copilot、CodeWhisperer、Claude | システム開発、業務自動化、データ分析 | 
| 3Dモデル生成AI | 3Dオブジェクト、空間デザイン | Luma AI、Meshy、Spline | 製品設計、空間シミュレーション、VR/AR | 
さらに詳しくそれぞれの生成AIについて知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
 
		 
		