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業務プロセス改善の進め方|課題発見から実行・定着までの実践ガイド

限られた人員で成果を高めるために、業務プロセスの改善に取り組む企業が増えています。無駄な工程を削り、コストを抑え、品質を安定させるための取り組みです。

ただ、いざ着手しようとすると、

  • どの業務から手をつければいいのか決められない
  • 手法が多すぎて、自社に合うものを選べない
  • 以前も取り組んだが、いつの間にか元のやり方に戻っていた

といった壁に突き当たる方も少なくありません。

そこで本記事では、業務プロセス改善の目的、課題の見つけ方、4つの手法、6ステップの進め方、定着の仕組みを解説します。「業務プロセス改善が続かない」とお悩みの方は、ぜひ最後までご覧ください。

全部門に共通する業務から改善を始めるなら

業務プロセス改善は、どの部署にも共通する業務から着手すると成果が見えやすくなります。会議とその記録は、部署を問わず毎週発生している業務のひとつです。Otolioは会議業務を丸ごと自動化するAIエージェントとして、録音から要点の整理、関係者への共有までを自動で行います。大手企業から自治体まで、累計8,000社以上でご利用いただいた実績があります。

目次

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業務プロセス改善とは|目的と得られる効果

業務プロセス改善とは、成果が出るまでの一連の業務の流れを見直し、無駄や滞りを取り除く取り組みです。個別作業の見直しに加え、工程の順序、担当、部門間の受け渡し方まで改善対象とします。

進め方は6つのステップに整理できます。現状の可視化、課題の特定、優先順位づけ、改善策の設計、実行とモニタリング、そして評価と定着です。

業務プロセスの改善が企業競争力に直結する理由

競争力を保つ企業は、限られた人・時間・お金をどこに使うかがはっきりしています。同じ人数でより多くの成果を出せれば、その差はそのまま市場での優位性になります。

業務の流れを見直して無駄を削ると、生産性は上がります。ここまでは多くの企業が理解しているところです。見落とされやすいのは、その先にある変化への対応力です。

硬直した業務フローを持つ組織は、市場や顧客の要望が変わったときに動けません。承認段階が増えるほど、判断待ちが発生し、意思決定が遅れる可能性があります。工程が短い組織は、決めてから動くまでが速くなります。結果として、コスト削減だけでなく、顧客への提供スピードや信頼の面でも差がつきます。

つまり業務プロセス改善は、コストを下げる守りの施策であると同時に、変化に追随するための攻めの施策でもあります。

コスト削減・品質向上・顧客満足度への効果

改善の効果は、数字で示せるものと、数字にしにくいものの2種類に分かれます。社内で合意を取るときは、この両方を用意しておくと話が進みやすくなります。

定量的な効果

数字で把握できる代表例が、コスト削減と生産性向上です。二重入力や不要な承認を1つ取り除くだけでも、人件費と運用コストは直接下がります。

同じ人数でより多くの案件を処理できるようになれば、売上や利益率の改善にもつながります。こうした成果は数値として可視化しやすいため、経営層が投資効果を評価しやすい点も利点です。改善前後の処理時間、エラー件数、リードタイムの3つを記録しておくと、報告の材料が揃います。

定性的な効果

一方で、数字に表れない効果も見逃せません。業務の流れが整理されると品質のばらつきが減り、担当者が代わっても安定したサービスを提供できるようになります。これは顧客満足度の向上につながり、リピートや紹介による新規顧客の獲得にも波及します。

働く側の変化もあります。工程を整理する過程で「なぜこの仕事をするのか」が言葉になり、担当者が自分の仕事の意味をつかみ直せます。これはモチベーションの維持や離職率の低下に効きます。

紙の使用量削減のように、コスト削減と環境負荷の低減が同時に進む施策もあります。CSR(企業の社会的責任)の観点から評価される場面も増えています。

なぜ業務プロセス改善は続かないのか

改善が定着しない主な原因の一つは、現場が変更しなければならない手順やルールが多すぎることです。ここを減らせるかどうかが、続く改善と一度きりの改善を分けます。

Otolioが企業のDX推進担当者や現場担当者と重ねてきたやり取りからは、改善が止まる構造が3つ見えてきます。

現場に「変えさせる量」が多すぎる

改善策を設計するとき、つい「あるべき姿」から逆算してしまいます。理想の業務フローを描き、そこに現場を合わせにいく進め方です。

ところが、企業の業務には長年積み上がった配布ルート・保管場所・承認フローがあります。「議事録はWordで課長承認、PDF化して全社共有」「報告書は法務レビュー後に印刷保管」。組織ごとの固有のやり方です。理想の姿に合わせるということは、この全部を同時に変えるということでもあります。

現場から見れば、覚え直す手順が一気に増えます。締め切りが迫れば、慣れたやり方に戻るのは自然な反応です。

そこで有効なのが、出口を変えないという考え方です。新しい仕組みを入れても、最終的なアウトプットはこれまでどおりWordやPDFで出せて、共有先も保管場所も変えなくていい形にしておくと、現場が変えるのは「途中の手間」だけになります。改善の効果は残り、覚え直しの負担は最小で済みます。

Otolioが実施した250件以上の導入企業アンケートでも、最も多い声は記録や報告の作成に関するものでした。作成が本業を押しのけ、会議の数に追いつかない、という内容です。困りごとは「記録を作る手間」であって、「共有の仕方」ではありません。手をつけるべき場所を取り違えると、現場の負担だけが増えます。

もう一点、定着を分けるのが操作の少なさです。同アンケートや現場ヒアリングでも、この点は繰り返し語られます。設定や保存場所を意識せずに使えるかどうかが、使い続けられるかの分かれ目です。

社内でツールを検討している担当者が、どの論点でつまずきやすいかを5つに整理した記事もあります。操作の負担、権限の設計、既存ツールとの兼ね合いなど、導入後に効いてくる判断軸を整理しました。250社を超える企業へのアンケートがもとになっています。

参考記事:AI議事録の社内定着を分ける5つの論点|250社超のアンケートに学ぶ検討段階の判断軸

現場・管理職・経営層で響く言葉が違う

同じ改善策でも、立場が変わると刺さる言葉はまったく変わります。すべての階層に同じ説明をすると、それぞれが重視するメリットが伝わりにくくなります。

商談や導入後のヒアリングで繰り返し確認されるのは、次のような構造です。

階層響く言葉響きにくい言葉
現場(実務担当者)自分の作業がどれだけ減るか/手順がどれだけ簡単になるか経営戦略・全社最適(自分の仕事と結びつかない)
管理職・マネージャー品質のばらつきが減る/属人化が解消する/部下の負荷が下がる機能の多さ(それより運用の楽さが気になる)
経営層・決裁者投資対効果/蓄積される情報の資産価値/統制とリスクの低減個別業務の時短(判断のスケールに合わない)

とくにつまずきやすいのが経営層への説明です。現場の時短メリットだけで稟議を出しても、決裁ラインを越えられないケースが多く見られます。金額によっては部長決裁を超えて役員・社長決裁に上がり、そこでは費用対効果の説明が必須になります。

このとき効くのが、「何分減るか」ではなく「何が組織に残るか」という語り口です。改善によって業務の記録が整い、後から検索・分析できる形で蓄積される。この見通しを示すと、経営層の関心と結びつきます。

推進担当者が孤立しがちなのは、この翻訳を1人で背負うからです。現場向け、管理職向け、経営層向けに、同じ施策を3通りの言葉で用意しておく。それだけで社内の合意形成はかなり楽になります。

現場でITツールが根付かない構造は、業種をまたいで似た形で現れます。営業・建設・製造に共通する5つのパターンを整理した記事もあわせてご覧ください。導入したのに使われない状態が、なぜ起きるのかを解説しています。

参考記事:なぜ現場にITツールは根付かないのか|営業・建設・製造に共通する5つの構造

効果が数字で見えず、次の改善につながらない

3つ目の落とし穴は、成果の測り方です。改善したはずなのに「なんとなく楽になった」で終わると、次の投資が承認されません。

原因はほとんどの場合、改善前の状態を記録していないことにあります。着手する前に測っていなければ、後から比較のしようがありません。処理にかかっていた時間、月あたりの件数、差し戻しの回数。この程度でいいので、着手前の数字を残しておく必要があります。

もうひとつは、指標が時間短縮だけに寄ることです。作成時間が半分になっても、品質が落ちて確認工数が増えていれば、組織全体では改善していません。時間・品質・関係者の負荷の3点をセットで見ると、実態に近い評価ができます。

改善が「やりっぱなし」で終わる組織は、この記録と評価の工程を省いています。逆にここを整えている組織は、1回目の成果を根拠に2回目の予算を取れます。

業務プロセス改善は何から始めればいい?

最初の候補として、部門をまたいで高頻度に発生し、効果を測りやすい業務が挙げられます。影響範囲が広く、成果が見えやすいためです。会議の準備と記録、報告書の作成、承認の受け渡しなどが候補になります。

そのうえで、どこに問題があるのかを正確につかむ必要があります。課題を特定しないまま改善策を打つと、効果が薄いばかりか、新たな問題を生むこともあります。数字による客観的な分析と、現場の声による主観的な把握。この両方を組み合わせるのが基本です。

データ分析でボトルネックを見つける

データ分析は、業務プロセスのどこが詰まっているかを明らかにする手段です。工程ごとの処理時間、エラー率、リードタイム、コスト構造を数値で集計し、比較します。これで「どの工程に時間やコストが偏っているか」が見えてきます。

ERP(基幹業務システム)やCRM(顧客関係管理システム)に必要なデータが蓄積され、抽出・連携の設定が整っていれば、集計作業の一部を自動化できます。

見るべきは平均値だけではありません。分布や外れ値を確認すると、特定の条件下でだけ起きる隠れた問題が見つかることがあります。たとえば月末だけ処理時間が3倍になる工程があれば、そこには繁忙期特有の詰まりがあります。

現場ヒアリングで数字に出ない課題を拾う

数字だけでは見えない課題も多く存在します。そこで欠かせないのが、現場担当者へのヒアリングと業務の観察です。

実際に業務を担っている人に聞くと、「なぜ時間がかかっているのか」「どこにストレスを感じているのか」が出てきます。手順が複雑で新人教育に時間がかかる、承認が多くて意思決定が遅れる、システムが直感的でなく入力ミスが起きる。こうした問題は、現場へのヒアリングによって初めて把握しやすくなる場合があります。

観察も有効です。本人すら気づいていない無駄な動作や、部門間で情報が途切れている箇所が見えてくることがあります。「慣れ」で見過ごされている非効率は、外からの視点で初めて表に出ます。

ヒアリングでは、質問の立て方で答えの質が変わります。「困っていることはありますか」より「先週、最も時間がかかった作業は何ですか」と尋ねるほうが、具体的な回答を得やすくなります。抽象的な問いには抽象的な答えしか返ってきません。

課題に優先順位をつける

課題を洗い出したら、すべてを一度に解決しようとせず、順番をつけます。判断の軸は次の4つです。

  1. 効果の大きさ:コスト削減や生産性向上のインパクトはどれくらいか
  2. 実現しやすさ:必要なリソース・時間・関係者の数はどれくらいか
  3. 成果の見えやすさ:短期間で効果を実感できるか
  4. 横への広げやすさ:うまくいったとき、他部署や他業務に展開できるか

とくに3つ目と4つ目は見落とされがちです。効果が大きくても半年後にしか結果が出ない施策から始めると、その間に社内の関心が薄れます。逆に、小さくても数週間で成果が見える施策から入ると、次の改善への推進力が生まれます。

「従業員の不満や定着率に影響する課題」も優先度が高くなります。非効率な承認プロセスが日常の不満を生み、離職につながっているなら、その改善は数字以上の価値を持ちます。

もうひとつ大切なのが、根本原因と派生的な問題を分けることです。派生的な問題ばかりに対処すると、別の場所で同じ不具合が再発します。「請求書の発行が遅い」の裏に「システム間が連携していない」があるなら、直すべきは後者です。

業務プロセス改善の手法4選

改善のアプローチは、組織の状況や課題の深さによって変わります。小さく始めるのか、根本から作り替えるのか、道具で解決するのか、考え方の枠組みを導入するのか。代表的な手法は次の4つです。選び分けの観点とあわせて見ていきます。

1. 小規模改善(クイックウィン)

クイックウィンとは、短期間で実行できて、すぐに効果が出る改善策のことです。

承認のステップを1つ減らす、書類のフォーマットを統一する、会議の時間を短縮する。現場で気づいた小さな工夫を積み上げていく方法です。ひとつひとつは些細に見えますが、担当者のストレス軽減と業務スピードの向上に直結します。

クイックウィンには、もうひとつの役割があります。「改善の成功体験」を組織に残すことです。大規模な改革は成果が出るまで時間がかかりますが、小さな改善はすぐに効果を実感できます。この体験が、次の改善への参加意欲を生みます。

改善文化をこれから根付かせたい企業にとっては、最初の一歩として有効なアプローチです。

2. 抜本的改革(BPR)

BPR(Business Process Reengineering)は、業務プロセスを根本から見直す手法です。今の形にとらわれず、ゼロベースで再設計します。

効率化にとどまらず、業務の目的や価値そのものを問い直します。製造業ならサプライチェーン全体の再編、金融業なら紙ベースの手続きの完全デジタル化。企業の仕組みを組み替える取り組みです。

BPRの特徴は、リスクとリターンがどちらも大きい点にあります。大規模な投資やシステム導入を伴うため、失敗したときの損失も相応です。一方で成功すれば、コスト構造や提供価値を大きく変え、競争力の向上につながる可能性があります。

従業員の役割や組織体制にまで影響するため、プロセス改善というより経営改革に近い性質を持ちます。着手するなら、経営層の関与を前提に計画を立てる必要があります。

3. ITツール・自動化

近年の業務改善で欠かせないのが、ITツールと自動化技術の活用です。代表例がRPAツール(Robotic Process Automation)とワークフローシステムです。

RPAツールは、請求書処理やデータ入力といった定型作業を自動化します。人はより判断が必要な業務に時間を使えるようになります。ワークフローシステムは、承認や依頼の流れをデジタル化し、業務の可視化とスピードアップを実現します。

ここで注意したいのが、非効率な業務プロセスをそのまま自動化してしまうケースです。ムダを高速で繰り返すだけになり、期待した効果は出ません。ツールを入れる前に、その工程が本当に必要かを一度問い直す必要があります。

導入そのものは目的ではありません。「業務をどう変えるか」を先に決め、それに合う道具を選びます。うまく回れば、工数削減だけでなく、入力ミスの削減、記録の統一、ノウハウの蓄積といった副次的な効果も得られます。

自社に合うツールを探している段階の方向けに、目的別に18のツールを比較した記事があります。何を基準に絞り込むか、導入がうまくいかない典型的なパターンは何かまで整理しています。

参考記事:【2026年最新】業務効率化ツールおすすめ18選|目的別比較・選び方・導入失敗例を解説

4. 改善フレームワークの活用

改善を一過性で終わらせず継続的な活動にするには、考え方の枠組みを持っておくと進めやすくなります。代表的なものにPDCA、Lean、Six Sigmaがあります。

PDCA(Plan-Do-Check-Act)は最も基本的な枠組みです。計画・実行・評価・改善を繰り返し、プロセスを磨き上げます。Leanは「ムダの排除」を軸にした考え方で、トヨタ生産方式に代表されるアプローチです。Six Sigmaは統計的手法で品質のばらつきを減らし、欠陥率を限りなくゼロに近づけることを目指します。

選び方の目安はこうです。品質のばらつきを統計的に抑えたい場合はSix Sigma、ムダや待ち時間を継続的に減らしたい場合はLeanが候補になります。PDCAはシンプルなので、改善活動を始めるときの入口として取り入れやすい枠組みです。

これらは単体でも、組み合わせても使えます。大切なのは、自社の文化と課題に合う方法を選び、改善の考え方を全員で共有することです。枠組みを導入すること自体が目的にならないよう気をつけます。

業務プロセス改善プロジェクトの進め方6ステップ

改善プロジェクトは、目標設定から定着までを6つの工程に分けると進めやすくなります。一度きりの取り組みで終わらせず、組織に成果を残すための順序です。

STEP 1|改善目標と範囲の明確化

最初にやるべきは、目的と範囲をはっきりさせることです。

「コスト削減」なのか「品質向上」なのか「顧客満足度の向上」なのか。ここが曖昧なまま進めると、施策の選定も評価基準もぶれます。目標はSMARTの観点で設定すると、後の判断が楽になります。具体的・測定可能・達成可能・関連性・期限付きの5つを指します。

範囲の区切り方にも注意が必要です。広げすぎるとリソースが分散して効果が薄れます。一方で、狭く区切りすぎるのも危険です。1つの会議だけを効率化しても、他の会議が今までどおりなら、担当者は2種類の手順を覚えることになります。かえって現場の負担が増える形です。

範囲を決めるときは、「同じやり方が通る単位」でまとめると、この問題を避けやすくなります。

あわせて、経営層の意向と現場の期待をすり合わせ、共通認識を作っておきます。この最初の合意が、後半の推進力になります。

STEP 2|現状プロセスの可視化

次に、今の業務プロセスを正確に把握します。フローチャートやBPMN(Business Process Model and Notation)で図にします。可視化すると、関係者全員が同じ理解を持てます。

ここで見るべきは、システム上のデータだけではありません。現場で実際に行われている非公式な手順や、暗黙のルールになっているやり方も対象です。

たとえば、営業担当が顧客対応でExcelの個別管理をしている場合。システム上には現れませんが、業務フローには大きく影響しています。こうした「表に出ていない工程」を拾えるかどうかで、可視化の精度が変わります。

この段階で業務の重複や無駄な動きが見つかることも多く、次の課題分析の土台が整います。

STEP 3|課題分析と原因特定

現状がつかめたら、課題を抽出して根本原因を明らかにします。

「業務が遅い」「ミスが多い」といった表面的な問題で止めず、「なぜそうなっているのか」を深掘りします。有効なのが、フィッシュボーンダイアグラム(特性要因図)や5 Whys(「なぜ」を繰り返し、根本原因を掘り下げる分析手法)です。

請求書の発行が遅いという課題を例にすると、原因は「担当者が忙しい」だけではないかもしれません。「システムと会計ソフトが連携していない」「承認フローが複雑」といった構造的な理由が隠れている可能性があります。

この段階で正しい原因を特定できるかどうかが、改善の成否を大きく左右します。時間をかける価値のある工程です。

STEP 4|改善策の設計と選定

原因が見えたら、改善策を考えます。ここで意識したいのが、現場に変えさせる量をどれだけ減らせるかという視点です。

改善策は、必ずしも大がかりなシステム導入や組織再編である必要はありません。承認フローの簡略化やマニュアルの整理だけでも、大きな効果を生むことがあります。

一方で、抜本的な改革が必要なケースでは、ITツールや自動化技術の導入、部門間の業務統合が選択肢に入ります。複数案を比較し、効果と実行可能性のバランスを見極めます。ROI(投資対効果)に加え、実現可能性、リスク、法令・セキュリティ要件、現場への負担を踏まえて優先順位を決めます。

そして設計段階で必ず確認したいのが、既存の出口を残せるかどうかです。具体的には次の3点を点検します。

  1. 共有先:今までの共有相手・共有方法をそのまま使えるか
  2. 保管場所:今までのフォルダ・システムに保存できるか
  3. 成果物の形式:今までのファイル形式(Word、PDF、Excelなど)で出せるか

この3つを変えずに済む設計にすると、現場が覚え直すのは途中の手間だけになります。逆に、この3つまで同時に変えようとすると、改善の内容が正しくても運用は止まりがちです。

新しい仕組みを検討するときは、機能の充実度だけで判断しないことです。「今の運用の末尾に出力できるか」を評価軸に入れると、導入後の摩擦が減ります。

STEP 5|施策の実行とモニタリング

選んだ改善策を、計画に沿って実行します。導入して終わりではなく、進捗と効果を追いかける必要があります。

実行段階では、現場からの抵抗や想定外の問題が起こります。これは失敗ではなく、織り込んでおくべき前提です。定期的なチェックポイントを設け、必要に応じて軌道修正できる柔軟さを持っておきます。

同時に進めたいのが、教育とサポートです。現場が改善策を理解し、日常業務で使える状態にならなければ、効果は定着しません。

とくに効くのは、関わるメンバーが「自分たちの意見が反映されている」と感じられる仕組みです。ヒアリングした内容がどう設計に反映されたかを共有するだけでも、受け止め方は変わります。

STEP 6|改善成果の評価と定着化

最後に、成果を評価して組織に定着させます。

評価では、KPI(重要業績評価指標)を基準に改善前後を比較します。コスト削減額や処理時間の短縮といった定量的な効果に加え、社員のモチベーションや顧客満足度といった定性的な効果も見ます。STEP 1で決めた目標に対して、どこまで届いたかを確認する工程です。

そのうえで、成功事例を組織全体に共有し、次の改善につなげる流れを作ります。改善で得た知見をマニュアル化し、新入社員教育に組み込めば、次世代の業務基盤にもなります。

改善の成果を組織の標準として残す方法については、進め方とメリット・デメリットを整理した記事もあわせてご覧ください。誰が担当しても一定の品質を保てる状態をどう作るかを解説しています。

参考記事:業務標準化で生産性をアップ!進め方や成功するためのポイント、メリット・デメリットを解説

成功事例から学ぶ業務プロセス改善のポイント

手法を理解しても、自社に当てはめる段になると迷うものです。他社が実際にどこから着手し、何がどう変わったのかを知ると、発想の手がかりが得られます。製造業とサービス業の事例に加え、全部門に共通する業務から着手した例を取り上げます。

製造業における生産性向上事例

製造業では、生産ラインの「ムダの削減」が業務プロセス改善の王道です。

代表例がトヨタ自動車の生産方式(トヨタ生産方式:TPS)です。「ジャストインタイム」と「ニンベンのついた自働化」により、効率化と生産性向上を実現しています。この2つを柱に、必要なものを必要なときに必要な量だけ供給し、異常時には工程を停止して不良品の発生を防ぐ仕組みで、生産性向上とコスト削減を両立させました。

参照:トヨタ生産方式 | 企業情報 | トヨタ自動車株式会社 公式企業サイト

ソニーセミコンダクタソリューションズグループは、品質確認の工程を製品開発の各段階に組み込んでいます。設計段階ではシミュレーションで検証し、試作・評価段階では実際の動作を確認します。量産準備段階では高温・低温での環境試験、生産工程ではウェーハ測定。開発から出荷までの流れに、品質保証が織り込まれた構造です。

参照:開発・設計・生産の取り組み(フロー)

ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング社は、AI分析ツール「Prediction One」を活用しています。半導体製造の後工程における不良率・歩留まりを予測し、従来モデルより予測精度を改善しました。決定係数は0.19から0.64に向上し、生産効率全体の最適化につながったと報告されています。

参照:スマートファクトリー最前線~半導体製造プロセス改革への取り組み~

製造業の事例に共通するのは、ムダの排除とデータにもとづく品質保証です。どちらも長期的な生産性向上の要になります。現場を巻き込みながら改善文化を育てることで、効率と品質を両立させています。

サービス業における顧客満足度向上事例

サービス業では、お客様の体験価値が最大の評価基準になります。国内でもいくつもの改善事例が公開されています。

KDDIは2024年3月7日付のニュースリリースで、生成AIの活用を発表しました。対象はLINE「auサポート」のチャットボットです。事前検証では、問い合わせ解決までの時間が今までと比べて約5分(約2割)短縮された事例を確認しています。解決までの時間短縮を、顧客体験の向上につなげる狙いです。

参照:au、チャットボット問い合わせ対応に生成AIを活用開始

星野リゾートは、都市観光ホテルブランド「OMO」に自動チェックイン機を内製で導入した事例を公式Noteで公開しています。予約システム・会計システム・ホテルシステムを連携させ、非接触でスムーズなチェックインを実現しました。現場の負荷を軽減しながら、ゲストの体験を高める取り組みです。

参照:3施設同時開業!でも開発期間は3ヶ月。内製化の底力で爆速開発をしたお話

すかいらーくホールディングスは、店舗業務のDXを進めています。デジタルメニューブックの導入、客数予測にもとづく人員配置表の自動作成、配膳ロボットの導入などです。生産性の向上と接客品質の維持を同時に狙う取り組みです。

参照:すかいらーくグループにおけるDX推進

3社に共通するのは、顧客との接点で発生する待ち時間やストレスを減らしながら、現場の負荷も同時に下げている点です。顧客満足度と従業員の働きやすさは、対立するものではありません。

会議の記録から着手した業務プロセス改善

もうひとつ、全部門に共通する業務から着手した例を紹介します。医療・介護・福祉領域で事業を展開する株式会社CBホールディングスの取り組みです。

同社の人事総務部総務課は、グループ全体の経営会議の準備と議事録作成を担当していました。会議は毎月1回、時間は3〜4時間、長いときは5時間を超えます。5社分の経営戦略や進捗を扱うため、議事録は「話したことをすべて書く」のが原則で、多いときは52ページに及びました。

作成は3名で分担し、最後に責任者がチェックする体制です。それでようやく、会議後2営業日で初稿、2週間で全社展開という運用を保っていました。会議中は資料共有の操作もあってメモが取れず、終了後に録音を聞き直しながら文字にしていく。この工程が負担の中心でした。

同社が選んだのは、記録の作成だけを外注や人海戦術で埋める方法ではありませんでした。ツールの導入を、業務フロー全体を見直す契機として位置づけました。録音から文字起こし、議事録の作成、共有までを1つの流れにまとめる方向です。

重視したのは2点あります。要点だけ知りたい人と詳細を確認したい人の両方に応えられることと、発言の記録が証跡として残ることでした。

変化は明確でした。分担していた担当者が抜け、工数の逼迫が懸念されていました。ところが実際には、1人で初稿を完成させられるようになりました。2.5人がかりだった作業が1人に収まり、初稿提出の期日は変えないまま負荷だけが下がった形です。

同社は次の段階として、議事録そのものをシンプルにし、作成・確認・共有の手間をさらに減らす運用の見直しを進めています。

この事例が示しているのは、着手する業務の選び方です。会議とその記録は、部署や職種を問わず発生します。改善の効果が特定部門に閉じないため、成功体験を横に広げやすいという特徴があります。

参考記事:「Otolio」を業務DXのきっかけに。負荷軽減だけでなく、効率的な業務フローづくりをめざして導入

業務プロセスの改善活動を定着させるための仕組み

改善は、施策を導入すれば終わりではありません。日々の業務に埋もれて忘れられれば、効果は一過性で終わります。組織に残すには、仕組みと文化の両方が必要です。

成果を測る仕組み、広げ方の順序、続ける文化。この3つが揃うと、改善は組織に残ります。

KPI・モニタリング体制の整備

定着の土台になるのは、成果を客観的に測れる状態です。その中心がKPI(重要業績評価指標)の設定です。

KPIを決めると、改善が実際に成果を生んでいるかを数字で確認でき、組織全体で同じ目標を共有できます。代表的なものに、処理時間の短縮率、エラー発生件数の減少、顧客満足度スコアの上昇があります。

大切なのは、これを日常業務のなかで確認できるようにすることです。ダッシュボードやレポートで進捗を見られるようにすれば、現場の担当者も改善の状況を意識し続けられます。BIツールやクラウド型の分析基盤を活用すると、定型的な集計や可視化を行いやすくなります。

もうひとつ整えたいのが、うまくいっていない兆候を早めにつかむ仕組みです。改善が滞るサインは、小さな不満や現場の一言として現れます。これを拾う経路を用意しておくと、数字に出る前にリスクを修正できます。

定量的な指標と定性的なフィードバック。この両方を持つことが、モニタリングの質を決めます。

複数部署で同時に試してから全社へ広げる

全社展開を一気に進めようとすると、かえって時間がかかります。大企業では、セキュリティ審査や既存システムとの連携確認、全社ルールの策定などにより、検討期間が長期化する場合があります。

かといって、検証範囲を細かく分けすぎると、稟議や評価を繰り返す負担が増える場合があります。段階ごとに稟議と検証をやり直すことになり、検討期間はかえって伸びます。

そもそも1人だけの検証では、判断材料がそろいません。分かるのは、その人の担当業務で成立したという事実だけです。業務のやり方は人によって違います。ある人は大きく時間が減り、別の人はほとんど変わらない。この差は、複数名が実際に試さないと見えません。

実際にスムーズに進む組織は、次の2段階を踏んでいます。

  1. 複数名で同時に試す:業務のやり方が違う人を混ぜる。アカウントを配るだけで終わらせず、それぞれが自分の担当業務で実際に使う期間をつくる
  2. 全社に広げる:トライアルの実績を稟議材料にして、全社展開と既存システムとの連携を本格的に整える

大事なのは人数そのものではありません。自社にある業務のやり方の幅を、トライアルで再現できているかどうかです。やり方が違う人を混ぜておけば、どの業務で効いて、どの業務で工夫が要るかが導入前に分かります。

各自の運用ルールと効果も並行して集めておきましょう。稟議に必要な材料が、トライアル期間中にそろいます。自社の現在地を確認し、次の段階を目指す、という進め方なら、改善が止まりにくくなります。

他社がどの段階でどんな成果を出しているかを知りたい方へ。導入前の課題・実施した施策・得られた効果を整理した記事があります。業種や規模の近い事例から、自社の展開イメージを描けます。

参考記事:業務効率化の成功事例とは?導入前の課題・施策・効果を徹底解説

改善文化の醸成|表彰・共有制度

仕組みだけでは、長く続けるモチベーションは保ちにくいものです。そこで効いてくるのが改善文化の醸成です。改善を業務の一部としてではなく、自分から取り組む価値のある活動として認識してもらう取り組みを指します。

具体的には、改善提案を出した社員やチームを表彰する制度が有効です。評価されることで「改善すれば認められる」という体験が積み上がり、組織のなかに前向きな循環が生まれます。

成功事例を全社で共有することも大切です。他部署の取り組みを知れば、自分の業務に応用できるヒントが得られます。改善が組織全体の成果につながっていることも実感しやすくなります。

見落とされがちなのが、失敗の扱い方です。改善活動は試行錯誤が前提であり、うまくいかない施策は必ず出ます。失敗を責める組織では、誰も新しいことを提案しなくなります。失敗から学びを引き出し、ナレッジとして共有する。この姿勢があるほうが、結果的に改善のスピードは上がります。

現場で使われなくなる代表的な理由として、次の3つが挙げられます。「使い方が分からない」「目的が伝わっていない」「今までのやり方に慣れている」です。文化づくりと並行して、この3点を潰しておくことが定着の近道です。

仕組みと文化の両輪が回り始めると、業務プロセス改善は一過性の施策ではなく、組織の力を高め続ける基盤になります。

まとめ|業務プロセスは小さな改善から始めよう

業務プロセス改善は、単なる効率化にとどまらず、企業の競争力と持続的な成長を支える取り組みです。現状分析から課題抽出、改善策の設計と実行、評価と定着まで、一連の流れを繰り返すことに意味があります。

この記事で最も伝えたかったのは、改善が続くかどうかを分けるのは施策の大きさではないという点です。今の承認・共有・保管のルートをどれだけ変えずに済むか。ここを意識して設計すると、現場の負担は最小で済み、効果だけが残ります。

その上で優先順位をつけるなら、3つの観点で見てみてください。部門をまたいで発生する業務か、短期間で成果が見えるか、うまくいったとき横に広げられるか。この3つを満たす業務が、最初の一歩に向いています。

効果はコスト削減や生産性向上といった数字だけではありません。品質の安定、顧客満足度の向上、働きやすい環境の整備といった、人と組織に関わる価値も大きな意味を持ちます。現場の声を取り入れる仕組みを作れば、エンゲージメントの向上や新しいアイデアの創出にもつながっていきます。

大規模な改革から始める必要はありません。まずは身近な課題を1つ解決するところから始めてみましょう。その小さな成功体験が、次の大きな改善への足がかりになります。

2週間で「変えられるかどうか」を確かめる

改善が続くかどうかは、今の進め方をどれだけ変えずに済むかで決まります。会議記録は、既存の共有先や保管方法を維持したまま、作成工程を効率化しやすい業務の一つです。Otolioは録音から文字起こし、要点や決定事項の整理までをAIが自動で行い、できあがった議事録はこれまでどおりWordやPDF形式で出力できます。14日間の無料トライアルで、普段の会議でそのまま検証できます。

この記事を書いた人
エピックベース株式会社|マーケティング部|青木喬平

2023年にエピックベースに入社し、累計利用社数8,000以上「Otolio」のマーケティングを担当。 本ブログでは、議事録・文字起こし・生成AI・AIエージェントに関するノウハウや、企業が業務効率化の実現・DXの推進に必要な情報を現場のリアルな視点からお届けしています。 ※ 本ブログはOtolio運営元であるエピックベース株式会社の社員が執筆・編集しています。

よくある質問とその回答

Q. 業務プロセス改善は何から始めればいいですか?

部門をまたいで毎週発生している業務を1つ選び、そこから着手するのが現実的です。全部門に共通する業務は影響範囲が広く、成果が見えやすいためです。会議の準備と記録、報告書の作成、承認の受け渡しなどが候補になります。反対に、年に数回しか発生しない業務や、例外処理の多い業務は最初の一歩には向きません。まずは小さく試し、成果が出てから横に広げる順序をおすすめします。

Q. 改善プロジェクトが失敗する主な原因は何ですか?

最も多い原因は、目的が曖昧なまま進めてしまうことです。「効率化したい」といった抽象的な目標では具体策が定まらず、現場に定着しません。現場の理解や協力を得られないまま導入すると、新しい仕組みが形だけのものになり、元のやり方に戻ってしまうこともあります。

成果を測っていないことも失敗要因のひとつです。改善前の数字を記録していなければ、効果を示せず次の投資も承認されません。また、改善が「仕事を奪うのでは」という不安を生むケースもあるため、意図を丁寧に伝えることが大切です。

Q. ITツールを導入するだけで業務プロセスは改善しますか?

ツールの導入だけでは改善しません。現状のプロセスを整理しないまま自動化すると、非効率がそのまま高速で繰り返されるだけになります。教育やサポートが不足すれば、現場で使われないまま終わることもあります。

ツールは目的ではなく手段であり、狙いは業務の質と生産性の向上です。ツール自体が新たなボトルネックになることもあります。まず小さく試し、現場の意見を反映しながら広げていく進め方をおすすめします。

Q. 業務プロセス改善の効果はどう測ればいいですか?

着手する前に、改善前の状態を数字で記録しておくことが出発点です。処理にかかっていた時間、月あたりの件数、差し戻しや修正の回数。この3つを残しておくだけで、後から比較できます。

測る指標は時間短縮だけに絞らないほうが実態に近づきます。作成時間が半分になっても品質が落ちて確認工数が増えていれば、組織全体では改善していません。時間・品質・関係者の負荷の3点をセットで見ることをおすすめします。

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